第20話 スレイヤー武道会⑨


次の瞬間――


「ぐぁぁ!?」

雷が突き出していた


それと同時に、

伏雷ノ霆霹ふくらいのいかずちッ!」

自分に向かって突っ込んで来ていた数体の災害獣が吹き飛んだ。


ライトはいきなり起きた事が理解出来なかったが、

「大丈夫か!」

「大丈夫?」

かんたとみずきの声で我に帰った。


「お前達は...なんでこんな所に!?」

ライトはいきなり現れたかんたとみずき救世主に驚きを隠せずそう言う。


だがそれに対してかんたは、

「それはあとから説明する、お前は後ろに下がっておけ、後は俺たちがやる。」

そう言い、手を切り落とされうめいている雷の方を向いた。


「貴様...よくも...よくもこの俺の手を...!」

雷はいきなり自分の腕を斬られた事にものすごく腹が立っており、そう言いながらかんたの方を睨んだ。

そしてその途端、

「許さんぞ!災害獣召喚モンスターゲートッ!」

その叫びと共に何体もの災害獣を召喚した。


しかし、かんたは全く動じず、

「みずき、災害獣は任せたぞ」

「ええ!」

みずきにそうコンタクトを取った。

その途端にみずきは動く。


みずきは正面から突撃してくる災害獣達に向かって王刃剣おうがとうを構え、

雷の波紋サンダーウェーブッ!!」

稲妻を飛ばした。


「ギャルゥゥゥゥゥ!」

何体かの災害獣はそれで倒した。

そして、雷の波紋サンダーウェーブを避けた何体かの災害獣には、

「まとめて消し飛ばしてあげるわ!伏雷ノ霆霹ふくらいのいかずちッ!!」

稲妻の一撃で全てを蹴散らした。


それを見ていたかんたは、

「こっちも始めるとするか」

みずきに手助けは必要無いと判断し、標的を雷1人に絞った。


雷はソレに気づき、

「クソッタレが...後悔させてやる...形態変化 キメラ!」

自身の能力を発動させた


その瞬間、雷の身体に異変が起きた。

まず、斬られた右腕が再生した。しかし、その腕は人間の物では無かった。再生した腕にはびっしりと深緑色の鱗が付いており、爪はとても長く鋭かった。

それを見たかんたは、

「なるほどな、それがお前の能力か。てっきり災害獣を召喚させる事が出来るだけかと思っていたが笑」

侮辱も込めたセリフを吐いた。ソレに対して雷は、

「バカか、災害獣を召喚させる事ができるのは俺が持っている「召喚の加護」のおかげだ。それでこの腕は俺の元々持っている能力である「キメラ」の力だ、分かったか。」

そう苛立ちながら返す。ソレに続けて雷は、

「お喋りはここまでだ。さぁ、殺戮ショーの始まりだ!」

そう言い放ち、かんたに飛びつき、ワニの腕の様になった右手を振るった。


しかし、

「なッ!?」

手を振るった時にはもうそこにかんたはいなかった。

目の前から突如として姿を消したかんたに動揺していると、後ろからかんたの声が聞こえた。


「遅せぇよ雑魚」

その声には、スレイヤー武道会で起きた異常事態の全ての元凶である雷に対する確かな殺意が込められていた。

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