【完結】最弱スレイヤーがその身に神を宿しました。〜神社で徳を積んでたら神の力使えるようになったんだが〜

カツラノエース

第1話 いつもの昼下がり

誰が想像できただろう?これから主人公になる男がヒロインに速攻蹴り飛ばされる物語ストーリー



「スレイヤー」それは街に突如として出現する災害獣さいがいじゅうを討伐する為に作られた職業。


そんなスレイヤーにも当然底辺は居る。そう曽木かんたの事だ。「はぁ、依頼こないなぁ」スレイヤーになって早1ヶ月。曽木かんたの元には災害獣討伐の依頼は1つも来ていなかった。それも当然だろう。スレイヤー試験は合格点ギリギリ、曽木かんたの武器である「神威」は名前こそ強そうだが特に能力が付いている訳でもない、何一つ特徴がないのだ。「面白くねぇーの」そう呟きながら公園の外に目をやった途端、道路のアスファルトが吹き飛んだ。


それと同時に地面から巨大なムカデのような化け物が飛び出した。「災害獣!?」クソったれ、急に現れるんじゃねえよ、でも俺はスレイヤーだ。やるしかないだろう「行くぞ!神威」そう叫び自身の武器である黄金の刀身を持つ日本刀を具現化させる。そして、「うぉりゃー!」かんたは災害獣に向かって走り出し、神威を振り下ろそうとした途端、「邪魔よ!どきなさい!」どこからか飛んできた美少女に蹴り飛ばされた。


「ぐはぁ!?」蹴り飛ばされた意味も分からないままかんたは吹き飛び、アスファルトに叩きつけられた。

「雑魚は引っ込んでなさい」水色の髪の毛、ツインテール、水色の瞳。そんでもって超絶美人。(可愛い...)頭から血を流している事も気がつかないくらいにはかんたは彼女に釘漬けだった。


「こんな雑魚、一瞬で真っ二つにしてやるわ。行くわよ、王刃剣おうがとう」そう言い、自身の武器である大剣を具現化させた。それと同時に「ギガガガガ!」災害獣は彼女に飛びついた。その途端、災害獣は真っ二つに割れた。


彼女の武器、王刃刀が青い稲妻を刀身に纏わせ、災害獣を叩き割ったのだ。「早すぎだろ...」かんたが引き気味にそう呟いた。「街中に急に出てきた割には弱いわね」彼女はつまらなそうにそう呟いた。

真っ二つになった災害獣はぷしゅーと言う音と共に消えていった。

消え終わった事を確認すると彼女は、「さっきはいきなり蹴ってごめんね笑私は東雲みずき。A級スレイヤーよ」そう言った。


「痛ててて...たく、いきなり人様を蹴り飛ばすんじゃねえよ...俺は曽木かんた。よろしくな」血が出た頭を押さえながらかんたは愚痴を吐き、自己紹介した。「まぁこれっきりの関係になるでしょうけどよろしくね」みずきがウインクをしながらそう言うと、

「なんでこれっきりなんだよ。俺はもうみずきと人生歩む気満々だぜ?」かんたはニヤリとにやけながらこう言った。その途端、「ぐはぁ!?」バチーンとみずきの右ストレートがかんたの顔面に炸裂し、「気持ち悪い事言わないでよね!」そう吐き捨てた。「ご、ごべん」鼻に血が溜まって、上手く話せないがかんたは謝った。

「まぁでも蹴ったのは私だし、病院くらいならついて行くわ」みずきはそう言うと、アスファルトに倒れているかんたに手を差し伸べた。(全く、蹴ったり殴ったり手を差し伸べたり忙しい奴だな)そう思いながらかんたは「着いてきてくれ」そう言った。


地面の損傷が激しかったので警察に連絡だけしておき、2人はその場を離れ、病院へと向かった。

歩きながらみずきはかんたに質問した。「ねえ、かんたはどうしてスレイヤーになったの?」そう聞くとかんたは「俺は昔災害獣に両親を殺されているんだ。だからもう誰にもそんな辛い思いして欲しくなくてスレイヤーになったんだ。まぁ俺弱いから誰も守れないけどな笑だからさっきの件で俺決めた、スレイヤー辞めるわ。」かんたは少し寂しそうにそう呟いた。


「なんで辞めちゃうの?まだスレイヤーになったばかりでしょう?ここからよここから!」みずきは大袈裟に慰める。それはかんたがスレイヤーを辞めると言い出した理由はさっき自分がかんたに雑魚と言ってしまった事が原因だと思い、みずきも責任を感じていたためだ。


「慰めてくれてありがとう。でも俺はE級スレイヤーだ。まともに戦うこともできない」それを聞いたみずきは何も言えなかった。E級スレイヤーなんて聞いた事がない、要するに最弱だ。それは諦めるのも仕方ない。そんな事を考えていた時、かんたが立ち止まった。何やら神社を眺めているようだ。


「何かあるの?」みずきがそう聞くと、「俺は毎日ここに来てお参りをしていたんだ。みんなを守れるスレイヤーになれますようにってな」かんたがそう悲しそうに静かに呟くと、「最後にもう一度お参りしても良いか?」かんたはみずきにそう言った。「ええ、お参りしましょう」こんなの断る理由がない、みずきはかんたにそう言い、ついて行った。


神社は古いが綺麗だった。「ここ、俺が掃除してるんだよ。神主さんにはいつも感謝されてる笑」かんたがそう言うと、(かんたって結構良い人なのよね、なのにかんたは言っちゃ悪いけど凄く弱い。神様は不平等ね)なんて考えて考えていると、社に着いた。

「じゃあ手合わせて来る」そう言うとかんたは社に近ずくと手を合わせた。みずきは後ろで待っていた訳だが、途中でかんたの異変に気づいた。グズグズ、かんたは泣いていた。


「クソ、なんでだよ...俺は人を守れないってのかよ...神様、俺に力をくれよ」泣きながらにかんたはそう願った。誰よりも強くなりたいと願った。みんなを守れる強いスレイヤーになりたいと願った。その瞬間、かんたにある声が聞こえた。

「いつも掃除をしてくれている心優しき青年よ、ならば我が貴様に力を貸してやろう」そう誰かが呟いた途端、

かんたに光が集まりだした。


「なんだ?どうなってるんだよ!?」

そして光はかんたの身体の中に吸い込まれていった。「大丈夫!?かんた!!」みずきが目の前で起きた現象に理解が追いつかず何も言えなかったが、我に戻りそう言うと、

「俺にも分からない...けど」「けど...?」不自然な終わり方をしたかんたの言葉に疑問を抱きそう聞くとかんたは身体の奥底から滾って来る力を噛み締めながらこう言った、

「誰にも負けない気がする」

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