鬼退治完了
30分の休憩中、どうしたらより効率よく駆除できるかを考えていた。
各コミュニティにそれぞれオーガキングのような個体が存在しているとすると慎重にならざるを得ないので夜の内に全てを倒しきれないかもしれない。
ただ、それはあまり良くはない。
配信的にもダレるし、帰宅までの時間とギルドでの手続き時間も考えたら1日は無くなる事を考えると明後日の冒険者学校の出席日にも影響が出るかもしれない。
ではいかに効率よく倒すか。
取り巻きのハイオーガについては【生死の天秤】でいいので問題ない。
オーガキング(推定2体)を確定でデメリットで30分動けなくなる【盛者の理】と【力の代償】抜きに倒すとなると、地道に削っていく事になるが逆に時間がかかりそうだ。
「そうだ、トレインしよう」
まず下準備として夜の内に他2つのコミュニティに侵入して【生死の天秤】でハイオーガ達だけを倒した。
その際オーガキングには一切触れず、島の中の生存モンスターをオーガキングと即死で倒せない将軍のハイオーガだけになるようにする。
その後オーガキングAが起きてしまうのは承知の上で【大王の証】を奪う。
当然怒り狂ったオーガキングAはオレを殺そうとしてくるので完全にまかないよう気を付けつつもう一つのコミュニティに侵入。
そちらでもまだ寝ているオーガキングBから【大王の証】を奪ったらオレを追ってきたオーガキングAをオーガキングBに擦り付ける。
キング系のモンスターは縄張りを強く意識するモンスターだ。自分の縄張りへ侵入してきたキング系モンスターへ強い敵意を抱くのを利用して潰し合ってもらう。
そして両者が争ってる中漁夫の利で両方倒して終了、帰宅!というわけだ。
「グオォォォッ!」
「ガァッッ!」
オーガキング同士のぶつかり合いは激しい。
地響きがする程の力と生存本能で相手を砕こうとする2体。その余波だけで将軍ハイオーガはオレが手を出すまでもなく死んでいった。
やっぱこんな暴力の権化みたいなモンスターはダンジョン内はともかく地上ではまともに相手してられないな。
どちらのオーガキングも【大王の証】が無いおかげか、傷付きながら相手を傷付けている。
このまま片方が死ぬまで待つという択もあるのだが、そもそもこんな作戦をするくらいには早く帰りたいので。
「満額課金砲、5連発着火っ」
事前に準備しておいた課金砲を一斉に起爆させた事によりオーガキング2体は夜空の星となった。
【生命探知】で何も生存していない事を確認する。もう島の中に生命の灯火は一つも残されていない。後は帰宅するだけだ。
鑑定は出来ていないが、【大王の証】は恐らく一定以上の威力の攻撃を無効化とかそんな感じの防具だったんだろうな。
同じ島に複数のコミュニティが共存できる理由が解らなかったのだが(普通ならキング系はどちらかが死ぬまで争う)、【大王の証】のせいでお互い相手を殺しきれないから距離を取ってそれぞれのコミュニティを築いた……とかそんな感じではないだろうか。
「……はい、ということで旧香川4番ダンジョン跡地のスタンピード残党駆除完了です。皆様も深夜までお付き合いありがとうございました」
コメント欄は「汚え花火だ……」、「100%赤字」、「オーガキング可哀想」など……まぁ概ね良し!
コメント欄に居た最強さんのネームバリューか、視聴者もちゃんねる登録者数も鰻登りだ。なんだか利用しているようで申し訳無さが勝ってしまう。
でも最強さんだとお礼も心配させたことへの謝罪も配信外で話すことも出来ないからなぁ……。
後でステータス画面経由のメールでも送ろう。
「配信の目的も達して後は帰るのみなので一旦ここまでにしようと思います。最後になりますが、ここまで見てくださった方はもしよろしければちゃんねる登録と配信通知諸々よろしくお願いします。それでは、ご視聴ありがとうございました」
感謝の言葉を述べて配信を切る。
なんとか朝になる前に終われた……。
深夜も開いてるホテルの予約を取っていたが無駄にならなくて良かった。使い捨てクルーザーはオート操縦が完璧なのであっという間に帰れるだろう。
今回の配信でちゃんねる登録者数も一万人が見えるくらいに増えた。
明後日の出席日でようやく夏休みになるので、そろそろ旧東京1番ダンジョン攻略に向けて本格的に動き始めるときが来たかもしれない。
まずは念入りな草刈りからになる。長時間の作業配信になることが確定しているので、長期休暇でないと中々攻略開始できなかった。
脱【生命の敵対者】を目指して本格的に頑張ろう。
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