第29話

マダムの足首はやはり半透明だった。足元の青い水が透けて見えている。


「私は以前にもここに来た事がありますよね?」

マダムに対峙しながらそう告げた。

「そしてその時も、マダム貴女と一緒だった」

「あら、やっと思い出してくださったのね」

マダムが涼やかに微笑む。その顔はもはや祖母の顔では無く、先ほど研究室に居たアンドロイドの女の顔だった。

そう、私の彼女と瓜二つの。

5年前に事故で亡くなった里菜その物だった。

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