第12話

私は、ケンをまじまじと見つめた。ケンはどこからどう見ても普通の犬だ。私は犬の種類について詳しくないのでよく分からないが、ケンはコリーだろうか。

私があまりに見つめるので、ケンは眉間に皺をよせた。

「なんだ? 」

「いや、あの、助けてくださってありがとうございます」

私は犬が喋っているという超常現象を受け入れることにした。これ以上、ケンを見つめたところで、私には何も理解できない。

ケンは鼻をならした。

「いや。巻き込んだのはこっちだ。マダムの奴、さっきの化け物を手懐けようとして失敗したんだ。」

「あの化け物を手懐ける? 」

あの得体の知れない恐ろしい化け物を?

「それが俺たちの仕事。でも、マダムは奴に好かれすぎてどうしようもなくなった」

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