第9話

意識が遠のいて行きそうになる中、私を救ってくれたのは以外にもあの犬だった。

私が異形の物に捕らえられ、忌まわしい薄茶色の爪を打ち込まれるのを、ただ怯えた態度で眺めているだけだった犬は、猛然と奴に飛びかかって行った。

異形の細長くどす黒い腕に噛み付くと、首を左右に激しく降り回し私に突き刺さっていた爪を引き離した。

「§◇!?¥√ゞ¢/€・・・」

異形の物から、およそ地球の言葉とは違う呻きが発された。

犬は低く唸り威嚇を続け、異形の物は少し後退りしている様に見える。


そして更に次の瞬間、私が驚かされたのは、犬は私の方を振り返るとその口を開きこう言ったのだ。

「おい、お前大丈夫か」

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