逆異世界転生した元最強は、モブのままではいられない
黒ノ時計
第一章 幼少期
第1話 プロローグ
ここは東京アリーナと呼ばれる大会場の中にある倉庫区画。
本来、この場所は本日開催されていた恐竜博2023の備品を管理していた場所なんだけど、今は二種類の剣が衝突し、三人の人間が踊り狂っていることによる余波で瓦礫の山が形成されてしまっていた。
しかし、そんなことは今はどうだっていい。
今の僕にとって、魔法やドラゴンといった幻想が存在しない現代世界でこうして剣を交えて敵と戦うことができているのが、ただ楽しいと感じているのだから。
敵は「WARS」と呼ばれる欧州からやってきた秘匿異能組織の幹部だ。首から十字架を下げ、先程までは聖書を片手に持っていた少年姿の神父だけど、今は彼の身長を軽く超える大きさの大剣を振るう一人の剣士である。
対するは、漆黒の剣を右手に振るう僕と、僕の左腕に腰を落ち着け、僕の首にしっかりと手を回した栗色髪の美少女女優だ。
彼女は上野百合という名前で、凄く簡単に言うと僕は敵の魔の手から彼女を守っている真っ最中というわけだ。
どうしてこんな状況になっているのか?
それは、僕が現代では平穏無事に暮らす高校生モブキャラクターを演じている傍らで、この世界においても最強として名乗りを挙げようとしている愚か者だからである。
そう、僕は異世界からの転生者にして元最強の戦士、その名は――。
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