信じてくれないかもしれないけど、魔法使いなんだよ 2人用台本

ちぃねぇ

第1話 信じてくれないかもしれないけど、魔法使いなんだよ

【登場人物】

少年、?(青年のイメージ)。

母がちょい役で出てきますので兼ねてください。


0:少年がクレーンゲームに挑んでいるが、さっぱり取れる気配がない。


少年:うーん・・・あっ!なんでぇ

少年:今度こそ!・・・ああ・・・

少年:・・・まただめだぁ・・・どうしよう、もうお金ないよぉ

?:君、これが欲しいの?

少年:え?

?:プレゼントしてあげようか?

少年:・・・怪しい人ですか

?:面と向かって聞くその態度、嫌いじゃないよ

少年:おじさん、クレーンゲーム上手なの?

?:おじさんじゃなくてお兄さんね

少年:・・・コツ、ある?

?:コツ?

少年:・・・僕、どうしてもあの大きなぬいぐるみが欲しいんだ。そのためだったら怪しげなおじさんともお話しできるよ!

?:うーん、クソ生意気な子だね☆

少年:でも僕、もうお金がないや・・・

?:知ってるよ。ずっと見てたから。もう2000円くらい使ってたよね

少年:ずっと見てた・・・おじさんやっぱり変質者?通報したほうがいい?

?:通報したところで僕を捕まえるのは無理だと思うよ。あとお兄さんね。呼び方を変えてくれるなら、君の願いを一つだけ叶えてあげるよ

少年:ほんとですかお兄さん!

?:うん、その切り替えの良さ、やっぱり嫌いじゃないよ

少年:僕、あのぬいぐるみが欲しいです!手段は問いません!

?:おっと、店から強奪しそうな勢いだね

少年:どうすればあのぬいぐるみが手に入りますか?おじさ・・・じゃなかった、お兄さん、クレーンゲーム得意ですか!?あれ取れますか!?

?:うーん・・・僕自身はこの手のゲームが苦手だからねぇ

少年:え、役立たず?

?:変わり身早ぇな。・・・うん、僕にはこれは取れないよ。だから、君が取るんだ

少年:僕の時間を返してください

?:うん、いいよ。そのつもりだから

少年:え?

?:僕、魔法使いなんだ

少年:え?病院行く?

?:一ミリも信じてないことはわかったよ

少年:頭大丈夫?(心配そうに)

?:うん、心配そうに言われるのが一番嫌かな。・・・僕は魔法使い。君の願いをなんでも一つだけ叶えてあげるよ

少年:あーはいはい、じゃあどこかに行ってください。それか1000円ください

?:まあまあ。そうだな・・・この場合、時間操作魔法がいいかな?

少年:え?

?:よく見てて。ワン、ツー、スリー!

少年:え!?クレーンゲームのカウントが復活した!?

?:ね?すごいでしょ?さあ早く、操作して

少年:え、なんでなんで!?いつお金入れたの?どっから?なんでぇ!?

?:ほらほら、カウントが30秒って出てるよ。これ0になったらこのゲームって終わりなんでしょ?

少年:わああ!えっとえっと・・・えい!・・・ああ

?:あらら・・・君、もしかして、もしかしなくてもこのゲームの才能、ない?

少年:・・・そんなのわかってるよ!

?:ほらほら拗ねない。何度でも巻き戻してあげるから。・・・そぉれ

少年:わ!また!どうして

?:言ったでしょ?僕は魔法使いなの

少年:・・・そっか、お兄さん手品師だ

?:手品じゃないんだけどな・・・ほら、レバー操作して。今度はうまくいくかな?

少年:うん!・・・あっ!惜しい!!

?:かするようにはなったけど・・・持ち上がらないねぇ

少年:どうして・・・

?:大丈夫、トライ&エラーだよ!

少年:でも、お兄さんのお金が・・・

?:ん?何か言った?

少年:・・・ううん。ありがとうお兄さん、僕今度こそ取れる気がする!

?:よし、その意気だ。じゃあ行くよ、時間よもーどれ

少年:タネが全然わかんないけどすごい

?:タネも仕掛けもないんだけどな。ところで少年、どうして君はこんなにもこのぬいぐるみが欲しいんだい?

少年:縦のライン・・・あ、いい感じ

?:聞いてないね

少年:今度こそ・・・あああっ

?:惜しいっ!あともう少し右だったね

少年:うう。お兄さんが話しかけるから

?:ごめんなさい。でも華麗にスルーしたじゃない

少年:気が散るの!

?:はいはい。それで?どうして君はこのぬいぐるみがそんなに欲しいんだい?正直、あんまり可愛いとは言い難いフォルムをしているけれど

少年:可愛いなんて思ったことないよ。ぶっさいくだよね、こいつ

?:ええ?じゃあどうして君はこんなにも真剣にそいつを取ろうとしてるのさ

少年:お母さんが好きなんだ

?:お母さん?

少年:うん。僕には全然わかんないんだけど、哀愁漂うこの表情がいいんだって

?:不思議な美的センスの持ち主だね。君はこのぬいぐるみをお母さんにあげたくて頑張っているの?

少年:うん。お母さん、今寝てるから。起きた時、大好きなぬいぐるみがあったら嬉しいかなって思って

?:クソ生意気ボーイだと思っていたのに、いい子じゃないか。・・・ところで、お母さんが寝てるっていうのは?

少年:・・・お母さん、3日前に車に轢かれたんだ

?:え?

少年:公園で僕と遊んでたんだけど、僕が公園から出た瞬間、ちょうど車が向かってきて・・・お母さん、僕をかばって車に轢かれたんだ

?:それは・・・

少年:血がいっぱい出てて・・・僕がお母さんの言いつけを守らなかったから・・・僕がちゃんと前をよく見ていたら・・・飛び出さなければ・・・

?:少年

少年:だから!僕、お母さんに大好きなぬいぐるみをプレゼントしたいんだ!病院のベッドに飾ったら、起きてくれる気がするんだ!だからお兄さん!もう一度だけお金ください!

?:ん?あーいいよ、もーどれ・・・っと

少年:僕・・・今度こそ絶対取るんだ・・・

?:うん、頑張れ!・・・ん?あれ、でも待って?

少年:あ、いけそうっ

?:あっ・・・!ちょっと待って!取っちゃダメっ!!!

少年:うぇ!?・・・ちょっとおじさん!なにするのさ!!もう少しで取れそうだったのに!!

?:ふぅ・・・ギリセーフ

少年:なんで!?なんで邪魔したのさ!!せっかく!せっかく!!

?:君の本当の願いを叶えるためだよ

少年:はぁ?何言ってんのさ!

?:僕は未熟だから、一年に一度だけ、ランダムに選んだ人の願いしか叶えてあげられない魔法使いなんだ

少年:なにその胡散臭い設定!だから手品師でしょう!?

?:違うんだって。今君の願いを・・・ぬいぐるみを取ってしまったら、僕は真の意味で君の願いを叶えられなくなる

少年:真の・・・願い・・・

?:君の本当の願いは何?そのぬいぐるみを手に入れること?

少年:僕の・・・願いは

?:言ってごらん。叶えてあげるよ

少年:でも・・・そんなこと・・・

?:言って

少年:・・・お母さんに、目を覚ましてほしい・・・

?:うん、その願い、聞き入れましょう

少年:え?

?:ここはまた時間操作でいいかな。3日前、君が公園にいる時間まで戻すよ

少年:えっ・・・えっ?

?:今度は飛び出さないでね。いくよ、ワン、ツー、スリー!



0:3日前。公園にて



少年:え・・・ここ・・・

?:君たちが遊んでいた公園だろう?

少年:どうして

?:言ったでしょう。僕は魔法使いなんだって

少年:うそ・・・ほんとうに?

?:・・・ほら、あの人がお母さん?君を呼んでるよ


0:母登場(?役の人が兼ねてください。)


母:たっくんーそろそろ帰るよ

少年:あっ

?:さぁ、おいき。車にはくれぐれも気を付けてね

少年:う・・・うんっ!!

母:たっくん、誰と話してたの?

少年:えっと・・・魔法使いのお兄さん

母:魔法使い?ふふっ

少年:お母さん、今度僕にクレーンゲームのコツ教えて

母:ええ?お母さんも苦手よ?

少年:えへへ!お母さんと一緒にやりたいの!

母:あらあら


0:2人退場。


?:君の願い、確かに叶えたよ。・・・あ、ランクアップしてる。やりぃ。ノルマ達成!あ~いい仕事した~




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信じてくれないかもしれないけど、魔法使いなんだよ 2人用台本 ちぃねぇ @chiinee0207

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