目指せ!婚約破棄! 3人用台本

ちぃねぇ

第1話 目指せ!婚約破棄!

【登場人物】

ユーリ:婚約破棄を目指す男の子

マリア:したたかな令嬢

エマ:マリアの従者


ユーリ:マリア・ルーシェ!僕は君との婚約を解消するっ!

マリア:…はい?

ユーリ:君のような女性と四六時中一緒にいるなんて耐えられない!今すぐに婚約を解消して頂く!

マリア:えーっと、殿下?私の聞き間違いかしら?今なんと仰って?

ユーリ:うっ!そ、そんな幻術を使ったって僕は怯まないぞ!君の手の内はわかっているんだからな!

マリア:私何もしておりませんわよ?

ユーリ:微笑むな!首をかしげるな!君の手の内はわかってるんだからな!

マリア:それは先ほどお聞きしましたわ。とりあえず殿下、落ち着いてくださいな。…あそうだ、クッキー食べません?美味しい紅茶もご用意いたしますわ

ユーリ:も、物で釣るな!僕をなんだと思ってるんだ!自分のほうがちょっと年上だからって偉そうにするな!

マリア:10個も離れているのにちょっとと仰って下さるのね、マリア嬉しいですわ

ユーリ:顔を赤らめるなぁ!

マリア:エマ、殿下にお茶を

エマ:かしこまりました

マリア:お砂糖は二つでよろしかったかしら?

ユーリ:砂糖なんていらない!僕を子ども扱いするな!

マリア:まあ、無糖で飲めるようになったのですか?素晴らしいですわ


0:マリアが頭を撫でようと近づくと、慌てて飛びのくユーリ


ユーリ:なっ!頭を撫でようとするな!というか茶など要らん!話を聞けっ!僕は君との婚約を解消する、絶対にだ!

マリア:…理由をお聞きしても?

ユーリ:それは君がいかがわしい魔術で僕を惑わし傾国(けいこく)を企んでいるからだ

マリア:まあ殿下、傾国だなんて…そんな難しい単語をよくご存じですね

エマ:お嬢様、関心を寄せる場所が違っております

マリア:あら、そうかしら

エマ:この場合は「傾国を企むだなんてとんでもない」と否定なさるのがよろしいかと

マリア:そうなのね、エマは賢いわねぇ

エマ:恐れ入ります

ユーリ:僕を置いていくな!

マリア:まあ殿下、私が殿下を置いていくだなんてありえませんわ。私は死ぬまでずっと、殿下のおそばにおります。…ああでも、私の方が恐らく先に天の国に誘われ(いざなわれ)ますから、それはお許しいただきたいのですが


0:マリアに手を握られて真っ赤になるユーリ


ユーリ:近づくなぁ!手を握るなぁ微笑むなぁ!そ、そうやって色仕掛けで僕を篭絡(ろうらく)しようとしているのだろう!僕にはわかっているんだからなっ

マリア:10歳でもう篭絡だなんて言葉を習得なさっているのですね!殿下は本当に素晴らしいわ

エマ:お嬢様、またズレております

マリア:あらそうなの?

ユーリ:君はいつもそうだ!たった一つの微笑みで僕の心臓を傷めつけ、寿命を縮めようとする!この…悪魔めっ!

マリア:エマ、殿下はなんとおっしゃっているの?私不覚にも殿下のお言葉が理解できなかったのだけれど

エマ:「君があまりに美しく笑うからドキドキが止まらずに苦しい」と仰っております

ユーリ:なっ!僕はそんなこと言ってない!この不整脈が君の怪しい魔力のせいなのはわかっているんだからなっ!大体なんだ、その全身から発する禍々しいオーラは!

マリア:オーラですか?

ユーリ:見ているだけで心をかき乱されるそのオーラのことだぁ!知らないとは言わせないぞ!

マリア:エマ、私そのようなオーラを纏って(まとって)いるのかしら?

エマ:恐れながら殿下、お嬢様にそのような魔力は存在いたしません。恐らくお嬢様のただならぬ色気が思春期の殿下には効きすぎるのではないでしょうか

ユーリ:い、色気の一言で済ませて良いわけあるかぁ!こんな身体中燃やし尽くさんと企む女は…存在するだけで害悪に違いない!

マリア:まぁ!

ユーリ:君がいるだけで心臓がうるさくて周りの音が聞こえなくなる。君が何をしているか考えるだけで思考が停止してしまう。…僕から聴覚も思考力も奪い国を傾けようとしている証拠だ!

マリア:私、そんな魔力も超能力も持ち合わせておりませんわよ?

ユーリ:うぐっ!…ほらぁその笑顔!く、唇に指を乗せるなぁ!体温が5度は跳ねたじゃないか!僕を焼死させるのが目的だろう!?

エマ:恐れながら殿下、人間の体温が突然5度も上昇すればおそらく死に至りますが、5度程度では焼死は不可能かと

ユーリ:う、うるさい!物の例えだっ!とにかく僕は君との婚約を解消する!絶対の絶対にだ!父上にも母上にも相談するからな!

マリア:陛下と王妃様…本日帰国されるご予定なのですね?

ユーリ:ああそうだ!だから僕は今日君との関係を完全に断つ

マリア:わかりましたわ、では私も王宮に向かわせていただきますね。エマ、馬車の用意を

エマ:かしこまりました

ユーリ:な!なんで君まで一緒に行くんだ!

マリア:あら、婚約を解消するのならば一緒に向かったほうが事が早く済みますわよ?

ユーリ:そ、それはそうだが

マリア:(ボソッと)…というのは建前で、本当は狭い馬車の中で殿下と二人きりになりたいのですわ

ユーリ:なぁっっっ!?

マリア:あら殿下、(声をひそめて)お顔が真っ赤でしてよ?いかがいたしまして?

ユーリ:み、耳元で喋るなぁぁ!

マリア:かーわいい

エマ:お嬢様、心の声が漏れております

マリア:あらいけない

ユーリ:…僕は絶対に!君と婚約解消するんだぁぁぁ!!

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