待つ女
片眼の兎
第1話
あなたのくれた透かし模様の桜が美しい手鏡に顔を映して紅をさす
青黒い顔に可憐な花が一輪咲いた
明日は帰ってくるかしら
帰らぬ男を待ち続けた女が死んだ
日の当たらぬ暗い湿った部屋で
骨に皮が張りつき薄い着物の上から行儀良く並んだ背骨の形がくっきり見える程痩せ衰えた身体で
きちんと正座し事切れていた
死後硬直で硬く握りしめた手に持った手鏡には
土気色の顔に塗った白粉がひび割れ醜く剥がれた女の悲しい顔が映っていた
待つ女 片眼の兎 @katameno-usagi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます