第13話

「ねえ、本当に良かったの?」

ミテナが言った。

「大丈夫だよ」

ヒテナはそう返す。

クナは相変わらず黙ったままだ。

3人は教会の近くの裏路地に居た。

兵士が巡回しているため、

簡単には動けないのだ。

「静かに!」

「アスペロ兵が来る」

ヒテナは左手を構えた。

兵士が違う方向を向いた。

その瞬間に近づく。

そして兵に静かに手を添えた。

「ぐわっぁ」

兵士は一瞬で氷漬けにされた。

ヒテナの能力は左手で氷を操る能力だ。

この兵はアスペロ直属の部隊だろう。

政府もこの3人の事は危険視しているらしい。

「もうすぐ暗くなる」

「そろそろ移動しよう」


「飯はここでいいだろう」

そこは路地裏の奥にある、小さい店だった。

「ガシャッ」

ガラスの曇った、ひどく古そうな扉を開けた。

中には1人の老人しかいなかった。

「なに食べる?」

「私は食べない」

クナが静かな声で言った。

「私はヒテナと一緒のやつ」

ミテナとヒテナは姉妹ではないが、

まるで姉妹かのように仲がいい。

「じゃあ、この肉を」

2人が頼んだ肉はなんの肉かわからなかったが

美味しかった。

「そろそろ寝る場所を決めよう」

ヒテナは嫌な予感がした。

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