虚偽と終焉
結城 優希@毎日投稿
虚偽と終焉
「ねぇ翔海君!誰とLIMEしてるの?」
俺の彼女である結菜からのこの言葉が悪夢の始まりだった…
ことの始まりは1か月前…
ガキの頃からの腐れ縁で大親友の西田が憧れていた九条彩音に一か八か告白すると言うのだ。俺はもちろん西田もまたその告白が成功するだなんて1ミリも思っていなかった。件の女子に告白した男子は尽くフラれたともっぱらの噂だったのだ。
そしてついたあだ名は"姫"
誰の手に渡ることもない高嶺の花……
それが彼女だった。
それにも関わらず……西田の告白は、成功した。そして、西田には敵意が向けられた。それはそうだろう。高嶺の花だった"姫"が1人の男子の彼女になったのだ。嫉妬されないわけがない。
まぁ俺は素直に祝福したさ。親友だからって言えたら良かったんだろうが、そうではない。ただ俺には既に彼女がいて、俺もまた西田と同じように嫉妬されていたからだ。純粋に…嫉妬され仲間ができて嬉しかったのだ。
そして、俺達はダブルデートをするようになった最初は壁があったが西田の彼女である彩音さんと徐々に仲良くなっていった。今思えば、それが良くなかったのかもしれない……
話は変わるが俺と彼女とが仲良くなっていったのにはきっかけがあった。
それはある日、俺が彼女の姿を……アニメイトで見かけてしまったからだ。
その日俺は貰ったばかりのバイト代の入った財布を片手にアニメイトに向けて走っていた。
「今日は〜バイトの給料日〜♪推しのグッズを買い込むぞ〜♪」
「よし、さっさと買って家で眺めるしま…え?彩音さん?」
「これとこれも欲しい。けどお金が今そんなに無いしなぁ。しっかり選んで買わないとなぁどれにしよ……え?翔海君?え、ちょっこれは、その……違くてぇ〜」
「彩音さんも
「イレナちゃんとかめっちゃ可愛くてほんと推せる!もう最っ高!!あ、気持ち悪い…よね?」
「そんなことないよ。俺もそのアニメ観ててめっちゃすきだから。今日もそのグッズを買いに来たんだよ。良かったら好きなアニメとかについてもうちょっと話さない?」
「うん、話そう!」
この一件で俺たちはすっかり打ち解けたのだった。その場でLIMEも交換してそれからちょくちょく話したりしていた。
とある日2人でコミケに行くことにしたのだった。場所が場所なので結菜も西田も連れて行けずに2人で行くことにしたのだが、これが俺が結菜に疑われる原因となってしまい冒頭のセリフに繋がってしまった。
親友の彼女と2人っきりでデートとも捉えることの出来る状況だったため結菜には男友達と遊ぶと言ってあったのだがそれが良くなかった。西田に聞いて俺が男友達と遊んでいなかったという情報を掴んでいたのだ。そして、俺が彩音さんと2人でどこかに出かけたということまで知ってしまっていた……
結菜は俺が彩音さんに浮気していたと勘違いしていた。コミケの会場が遠く家に帰るのが遅くなっていたのも良くなかった。結菜は俺が彩音さんとピーーーーをしたとも勘違いしていたのだ。
もちろん俺は事情を説明した。だが嘘をついていたのはやましい事があったからだと結菜は俺の説明を信じてくれなかった。
「そうか、翔海君は彩音さんとねぇ〜まだ私としてないのに…私よりも先に彩音さんと……許せない…許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない!!!翔海君には責任とってもらわないと。フフッ」
そう言って結菜はおもむろにキッチンの方に歩いていった。(やばいやばい、結菜の目がすわってるんだけど…)
「あ、あの〜結菜さん?その…手に持ってるやつは何に使うんです?」
「ハハッ、察しが悪いなぁ〜ちょっと考えたら分かるでしょ?翔海君を……殺るんだよ。翔海君は相変わらず鈍感だねぇ〜フフッ…ハーッハッハッハッハー、翔海君、大好きだよ。でもね、これだけは譲れないの。たから……死んで」
「グハッ、ハァハァハァハァ」"パタッ"
「フフフフッ、ハーッハッハッハッハー次は彩音さんか、さぁ……殺りに行こうか……」
西田サイド
「ねぇ彩音、翔海と行ったコミケは楽しかった?」
「えぇ、私のヲタク趣味のことを話せる相手が今までいなかったからヲタ活仲間が出来て、一緒にコミケに行って推しの話をしながらグッズを買い込んで……めちゃくちゃ楽しかった!!行かせてくれてありがとう、西田君!」
(やっばいめっちゃ可愛いんだが…2人っきりで遊びに行くのにちょっと嫉妬してたけどこの笑顔を独り占めに出来たし俺はもう満足だわ……)
「お、結菜!こんな所に1人でどうしたんだ?」
(え?血?包丁も……しかも言語化出来ないけど雰囲気がこう…異様だ。)
「彩音さん、み〜つけた〜ハハッ」
「結菜さん、え?冗談ですy……カハッ、え?なんで……」"バタッ"
「彩音?彩音、彩音、彩音ーーーーーーー!ハァハァハァハァな、なんで……おい、結菜どういうことだ!」
「ハハハハハッ、ハーッハッハッハー」
「救急車、救急車呼ばないと……」
"トゥルルルトゥルルル"
「え〜救急です!事件です事件、彼女が刺されて……はい、お願いします。」
その後、懸命な救命活動が行われたが彩音は……助からなかった。
そして結菜はというと既に壊れていたため一切抵抗することなく警察に逮捕されて行った。後から警察から説明されたのだが結菜は要領のえない供述を繰り返しており、精神科のある病院に入院することになったそうだ。その後の裁判で実刑判決が下され、一応この事件は終結を迎えた……
虚偽と終焉 結城 優希@毎日投稿 @yuuki58837395
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます