トルコライス:お子様ランチが食べたい

 大人びた子どもであった。

 ついでに老け顔でもあった。

 

 ファミレスで同級生たちがおもちゃを買ってくれと騒ぎ、それに親たちが根負けした。

 「廉ちゃんは良いの?」と問われた幼い私は「お誕生日に買ってもらったおもちゃがあるから良いの」なんて答えて驚かれるくらいに大人びていた。


 老け顔の利点なのかどうかわからないが、比較的顔が変わらないらしい。

 昔は年齢を言うとそんなに若いのと驚かれたものだが、しばらく経つとそんなにいっているのと驚かれることが多くなった。

 

 それはさておき大人びていた私である。

 「僕はお子様ランチなんか食べないよ」と言ってお子様ランチを決して選ばなかった。

 実際に一度も食べたことがない。


 そのことを二十歳すぎてから激しく後悔するようになった。

 しかし、今となってはお子様ランチは注文できない。

 後悔先に立たずとはよく言ったものである。


 トルコライスという代物がある。

 なんだか色々と乗っかっていて大人のお子様ランチと呼ばれることもあるのだそうだ。

 トルコと名前がついているが、トルコとは関係なく長崎のB級グルメらしい。

 長崎に用事があっていったとき、これを食べたいと主張をしたのだが、一緒に行動していた一団には相手にされなかった。

 ギリギリまで色々と抱えているのに、ここでそんなもの食べに行っている暇はない。グラバー園でハートの石を探すという超重要ミッションがあるので付き合っていられない。むしろ、お前がこちらに付き合え等。

 結局、食べられずじまいで、その後、長崎に行く機会に恵まれていない。


 たまに近所でトルコライスを出す店がないか調べることがある。

 マンガ喫茶やファミレスでは出すところもあるらしい。

 しかし、ここまで待ったのだから、本場(?)に近い豪勢なものを食べたい。

 ちなみにいくら大人の「お子様ランチ」といえど、さすがにピラフの上に刺さっている国旗はないらしいので、良い店を見つけたら旗は持参しようと思っている。

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