御痴走帖
黒石廉
おくいぞめの巻
オードブル:前口上
なんとはなしにエッセイを書いてみたいと思った。
エッセイといえば、作者の日常について書かれたものにはまっていたことがある。本当に面白かった。上京する子どもに向けた親からの贈り物が大量の避妊具だった、青年からほとばしるのは熱情ではなくて……などという原田宗典のエッセイ、今思い出しても傑作である。
といっても私の日常に面白いことは転がっていない。
誰が書いたことなのか忘れてしまったが、SNSでこんな話を読んだことがある。すなわち、「○○さんが快便であったことについてなど知りたくないのに、○○さんはトイレに行くたびにそれを報告する。だからフォローを切った」。
私が日常について書くとすれば、それこそ「う○こなう!」と書くぐらいしかできないであろう。
それどころか「ステータスオープン!!」といって、喜々として本日の作品について、色や形を詳らかにしはじめる危険性すらある。
いい年をした大人がそのようなことを喜々としてやっているというのは一種のホラーであるが、できることならば自分自身を題材としたノンフィクションよりもフィクションで怖がらせたい。
だから、食やら本やら犬やらについて書こうと思う。
タイトルはもちろん随筆の名手の乗り鉄先生のあれからいただいている。
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