【意味怖】WEBマンガで稼いで生きていきます

私は今、WEBマンガを投稿し始めていた。


ここ半年間ずっとランキング1位を独占して


かなりの収入を稼いでいる。




内容はありふれているかもしれないが






【生い立ち~毒親・毒友と共に歩いた半生~】






というタイトルで


生きていくことが本当に辛かった毎日をテーマに


体験した事を書き綴る自虐形式のマンガだ。






私は親に肯定されたことが無かった事。


何か喋ろうものなら、すかさず「そうじゃない」


と言われ、しまいには5文字以上しゃべるな。


と言われていた。「おなかすいた」すら言えなかった。






もちろん虐待もされていた事。


身体に痣が無い日はなかった。






友達にも恵まれなかった事。


友達は常習的に万引きをしていたが


実行犯はいつも私だった。






男に告白させられたり、お昼ご飯を買わされたり


約束をすっぽかされるなんてザラだった事。






ネタには事欠かなかった。






そんな私も18の時に素敵な男性が現れた。


夜の店でいつも私の暗い話を毎日聞いてくれた。


もう申し訳ないと思うほど過去の辛い話を打ち明けた。






そんな私をお店から連れ出して


街の全貌が見渡せる最高の夜景を見せてくれた。


そして、その時彼はこう言ってくれたんだ。


「君が欲しい」






私は「私の全部をあげる」と言った。


そして彼の肩に手を回し胸に顔を押し付けた。


このまま時間が止まればいいのに。






そういうと、彼は困った顔をして


「それじゃあ先へ進めないじゃないか」


なんて言ってくれた。






本当に嬉しかった。


その時までは。






彼が言っていた


「君が欲しい」


は私が思っていたのと少し違ったらしい。








なんとなく、気分が浮かない時に見ている人気WEBマンガがあった。


凄く共感できて面白いなと思っていた。


わかる、それ凄くわかる。


そのマンガを見ていると、まるで自分を見ている様だった。








最新話を見ると主人公は「君が欲しい」と言われて喜んでいる。


しかし、主人公に君が欲しいと言った男の心の吹き出しからは


「君というネタが欲しい」という解説が書いてあった。








全てを理解した瞬間私の中で何かが切れてしまって


その日から、私もWEBマンガを書くことにした。








本当の作者はもういない、WEBマンガの続きを。

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