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「仁藤さんっ!」
「一ノ瀬君、どうしたの?」
一気に駆けて息が苦しくて、
「あの……実は……」
髪が短く、背が高い梨音は、いパーカーとジーパンという
何せ学校でのあだ名は「第四小学校の王子さま」なのだ。
そして梨音は、さっきからずっと、友樹に男の子と思ってもらえるよう振る舞っていた。
(昔の私と、あれこれ違いすぎる……)
今の自分が「さくらちゃん」を名乗っても、友樹に信じてもらえるとは思えない。
それに、こちらの
子供の頃、梨音と友樹は両思いだったのに、香奈恵の嘘で台無しになったのだ。彼女のいる場所で、自分が「さくらちゃん」であることだけ伝えると、その後でとんでもない嘘をつかれてしまうかもしれない。
「急いでいるんだけど」
友樹を待つ香奈恵が、
そんな彼女と友樹を見比べて、梨音は、今は
「この学校に受かったら、
その言葉に友樹は、ニッコリと王子さまのような笑顔でうなずく。
「もちろん。
そう言って、友樹は
「約束だ。一ノ瀬君が
軽く右手を
それだけで、
「あと、その時に話したいことがあります」
「わかった」
指切りを解いた雅之は、「じゃあ、春にここで会おう。話の続きはその時に」と手を
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