第11話 神様の複雑(お題:願い)

 君の願いを叶えてあげる。


 全知全能のこの僕が。




 髪飾りが欲しい?


 ダメ。僕は未来も見えるんだ。


 そんなの三日後に君のパパが叶えてくれるから。




 お菓子屋さんになりたい?


 ダメダメ。


 それは十五年後、君が勝手に叶えちゃうんだ。




 は? 水が飲みたい?


 ほら、あそこに水飲み場があるよ。




 結局なんにも叶えないんじゃないかって?


 だってくだらないことばっかだし。


 僕がその気になれば世界だって滅ぼせるのに。


 大人しくしてるのを褒めてほしい…よ?






 突然頭に乗っかったのは少女の手。




 じゃあ、 私が褒めてあげるね、 と。




 僕ともあろう者が、こんな幼子に願いを叶えてもらうとは。


 ふてくされる僕に、無邪気に笑ってみせた少女の手のひらは、随分と心地よかった。

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