300字SS置き場

桂瀬衣緒

第1話 某所にて(お題:クリスマス)

「ねぇ、」


 座卓で手にした紙を確認しながら。

 疲れ切った様子で隣に腰を下ろした彼に声をかける。


「ん?」


 付き合い始めて三ヶ月。


「今日何の日か知ってる?」


「大正天皇の崩御日」


「……他には」


「逸見さんもそうだっけ?」


「なんで命日ばっかりなのよ。誕生日で有名な人いるでしょ?」


「あぁ、リヴァイ兵長がそうらしいな」


「……なんでそんなに詳しいのよ」


「そりゃ調べたから。現実逃避で」


「むぅ」


 不服そうな声に笑って、


「まぁでも、終わったら飯でも行くか」


 白い袴の神主は、巫女の頭に手を置いた。


 今日は十二月二十五日。

 ここ神社では、一番の繁忙期に向けて準備に追われている。

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