SunRise〜私たちがアイドルになるために始める魔法〜

@Karunchan

第1話 始まり

私は東京都でアイドルをやっている。

『i』というアイドルグループのメンバーだ。

私と、同じグループの女の子3人でユニットを組んでいるのだが……


「はぁー」


今日もレッスンを終えて家に帰ってきた。


「疲れたな……」


最近は忙しくて学校にも行けていないし、休みの日は仕事が入ってるから友達とも遊べない。

でも、それは仕方がない事だと理解している。

だって、私たちは今人気絶頂のアイドルグループだから。

私たちにファンの人たちは夢中になっているのだ。

だけど、正直言うと……

私はこの生活が嫌だった。


理由は簡単。


私にはやりたいことがあるから。

そのやりたいことというのは……


「はぁ〜、早く明日になんないかしらね〜」


そう言いながら、ベッドの上でゴロゴロする。

こんな風にダラけられるのも久々である。

だが、今は1人暮らしをしている為、誰も注意してくれる人は居なかった。

なので思う存分だらけることができるのだ。


それにしても暇だ。何か面白いことはないだろうか? そう思い、スマホを手に取る。

すると、ちょうど良いタイミングで電話がかかってきた。

相手は私のマネージャーだ。


「もしもし?」


『あ!やっと出てくれた!』


どうやらずっと電話をかけていたらしい。

しかし、全く気がつかなかったとは……


「ごめんなさい。全然気づかなくて……」


『いいよ。それより明日の仕事について話があるんだけどいいかな?』


「はい!」


こうして私はマネージャーの話を聞くことにした。

次の日の朝。


「ふわぁ〜」


大きなあくびをしながら起きる。

今日は久しぶりに学校に行くことができる日なのだ。

昨日の夜、マネージャーさんから聞いた話によると、私が所属している事務所の社長さんが直接学校に来てくれるらしく、そこで今回の件についての話し合いが行われるそうだ。

まぁ、話し合いと言っても多分怒られて終わりだろうけど……


「さっさと支度しないと遅刻しちゃうな」


ギリギリまで寝ているのだが、そういう訳にもいかない。

なぜなら……


「おっはよう!!」


元気よく挨拶しながら部屋に入ってくる人物がいた。

 彼女の名前は天川春香あまかわはるか

私の幼馴染であり親友でもある少女だ。

ちなみに、私の住んでいるマンションの隣の部屋に住んでいるため、毎日のように一緒に登校している。

ちなみに今日は始業式のため朝早くから学校に来ている。

「おはよう春香」


「うん!おはよー!……って、あれ?なんか顔色悪くない?」


「え!?そ、そうかしら?」


「うん。なんだか具合悪そうな感じに見えるけど大丈夫?」


心配してくれてるみたいだけどこれは……


(ヤバいわね……)


実はここ最近あまり眠れていないのだ。


原因は単純明快。


アイドル活動で疲れが取れていないからだ。


「本当に大丈夫?もし無理してるんだったら休んだ方がいいと思うよ?」


「ありがとう。でも、私は大丈夫だから気にしないで」


「そう……?それなら別にいいんだけど……」

納得していない様子だったが

何とか誤魔化せたようだ。

他愛ない会話をしながら教室に向かう。


「じゃあ、また後でね」


そう言って私たちは別れた。

その後、自分のクラスに入ると

すぐに担任の教師が入ってきた。

そして、全員席に着いたところで

始業式の時間になった。


それからしばらくして、

校長先生の長い話が終わり放課後になった。


さて、いよいよアイドルの活動だ。


学校を出て、私は事務所に向かっていた。

その道中、これから起こるであろう出来事に

憂鬱になっていた。

というのも、社長さんに会うのが

怖くて仕方がないからだ。

今まで何度も怒られてきたけど、

やっぱり慣れることなんてできない。


でも、行かないわけにはいかないし……


「はぁ〜、どうしよう……」


と悩んでいるうちにいつの間にか目的地に到着していた。

コンコンとドアをノックした。

すると中から話し声が聞こえた。

どうやら誰かいるらしい。

良かった。

とりあえず一安心だ。

「失礼します」と言いながら部屋に入る。


するとそこには1人の男性が座っていた。

私が所属する芸能事務所

『アーリエスプロモーション』の社長である。

年齢は40代後半くらいだと思う。

見た目はかなり若いが、貫禄のある立ち振る舞いだ。


「あの……それで話というのは一体なんでしょうか?」


恐る恐る聞いてみる。すると……


「君たちのユニット『i』についてなんだけどね……」


ついに来た。この時が来たのだ。

緊張で心臓がバクバク鳴っている。


「はい」


なんとか返事をする。


「実は解散することにしたんだ」


一瞬何を言われたのか理解できなかった。

理由のわからない困惑と同時に怒りが湧き上がってきた。

しかし、そんな私を察したかのように彼は続けて言った。


 曰く、私たちの人気が少し落ちてきたことと、

他の子たちもそれぞれ仕事が忙しくなってきたこと


それとこの機会に新しいメンバーを

入れて新しく生まれ変わることが理由らしい。

確かにどれも間違ってはいない。


だが……


一番の問題は私たちの気持ちを無視して勝手に決めたことだ。

私はもう嫌なのだ。

自由に生きることができない人生が。

だから、私は彼に向かってこう告げた。


「わかりました。では、私はこれで失礼させていただきます」


そう言い残し、その場を去る。

後ろからは引き止めるような声が聞こえるが無視する。

私は自由になる為に、今の生活を捨てることにした。

「ふぅ〜」

大きく息を吐く。



あれから数ヶ月経ち季節は冬になった。

私は普通の女子高生として日々を過ごしていた。

そんなある日、

『サンライズプロダクション』という

別の事務所からメールが届いた。

内容は

『あるオーディションに参加してくれないか?』

というものだった。

正直、迷った。

なぜなら、そのオーディションはアイドル限定のものなのだ。

しかも、合格すればアイドルとしてデビューすることになる。


つまり、アイドルとして活動しなければならないという事だ。


はっきり言って、もうアイドル活動をする気がない。なので断ろうとしたのだが……


『もちろん強制ではないよ。ただ、

受けてくれればそれなりの報酬は

用意するつもりだよ。それにもし受かったら

君たちにとってプラスになることも

たくさんあると思うよ。だからどうかな?

考えてみてほしい。』


最後の文を見て少し興味を持った。


私は考えながら学校に登校した。


「ねぇ、何か悩みでもあるの?」


教室に入ると親友の春香が、話しかけてきた。


「えっ!?どうしてそう思うの?」


「だって、最近ずっと難しい顔してるじゃない」


「そ、そうかしら?」

「そうだよ!まぁ、話したくないなら無理には聞かないけど……」


「……ありがとう」

「うん!」


本当に優しい子だ。

だからこそ、彼女の前では嘘をつくことは絶対にしてはいけない気がする。


「実はね……」


それから、私はこれまでのことを全て話した。


「……ということなんだけど春香はどうしたらいいと思う?」


「うーん……難しい問題だね」


「そうよね……ごめんなさい。こんな話を聞かせちゃって……」


「ううん。気にしないで。それよりも……」


彼女は真剣な表情でこちらを見つめながら言った。


「私にも手伝わせて」

「……ありがとう」


こうして私たちは一緒にオーディションを受けることになった。

数日後、

私たちは『サンライズプロダクション』の事務所にいた。

「久しぶりだな。元気にしてたか?」

「おかげさまで」


「そうか。それは良かった」

そう言うと社長さんは微笑んだ。

「それでオーディションは」

「ああ、そうだったな。君の友達も

参加してもらって構わない」


社長の話を聞いた後、詳しい説明を聞いた。

どうやら、そのオーディションとは

アイドル事務所が主催する

新人発掘オーディションで、

アイドルだけでなく歌手や女優なども

参加しているらしい。

そして、そのオーディションに合格できれば

アイドルグループでデビューできるらしい。

ちなみに、合格の特典として

事務所に所属する

専属マネージャーを選ぶことができる。

さらに、それとは別に賞金も出るという。


「話は分かりました。でも、どうして私なんですか?」


「それはだね。君が一番輝いていたからさ」


「私が?」


「そうだ。君は歌の才能がある。

そして、彼女もまた素晴らしい能力を

持っているようだね。」


社長さんが春香の方を見る。

すると……


「はい!私にできることが

あればなんでもやります!!」

「よし、決まりだ。頑張ってくれたまえ」


「はいっ!!頑張ります!!」

こうして私と春香はオーディションに参加することが決まった。

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