異世界青春狂騒曲~クエスト失敗で即終了!?~
月本 招
プロローグ 太陽と影
「テツぅ、あいつらまたトイレを占拠してずっと騒いでいるんだ。みんな怖がっちゃって……」
「チッ、またか。いい加減頭にきたぜ。俺に任せろ、ちょっと文句言ってくる」
【ガタっ】
【スタスタスタ】
「だからよぉ、やっぱり俺は
「おめーよぉ、この間までずっと
【スタスタスタッ】
「あぁん? その名前を出すんじゃねぇよ。ムカつくわ」
「おい、コイツどしたん?」
「あぁ、この間見事にフラれたんだわ。『アンタ、自分の顔を鏡で見たことあんの?』とか言われてよ。横で見てたけど、アレは笑ったわ」
【スタッスタッスタッ】
「思い出したら腹立ってきた。ざけんじゃねぇぞ。あのクソアマ! マジでめっちゃくちゃにしてやりてぇぜ。あーイラつく」
「てかオメー、そんなこと言われて黙って帰ったん?」
「ハァ? んなワケねーだろ。つーか、アレだよアイツ。あのオタク野郎が近くにいたんだよ」
「あ、アレか」
「あのカス野郎か」
「アレ、マジで一度シメっか。存在自体がウゼんだよな。オタクのくせに調子コキやがってよ」
【タッタッタッダダダダ】
「うぉらぁーっ!」【ゴキッ】
「ぐふぉっ!」
「うわぁ何だコイツ!」
俺、
コイツらはマジでロクでもない。ちょっと見た目と腕力に自信があるからって、校内を我が物顔で練り歩き、見かけた可愛い女の子には強引にナンパしまくり。その他大勢の男子には気に入らないと、突然胸ぐらを掴んでビンタや蹴りを入れたりと、その行動は目に余る×100でも足りないくらい。
「てめっ、御影! 死にてーのか!」
「外まで聞こえてんだよ。テメーこそ彩音ちゃんに謝れクソ野郎! 陰口なんて言いやがって」
俺は4人を相手に必死で戦った。2人は殴り飛ばしてやったけど途中からは一方的にやられてしまった。騒ぎを聞きつけた数人の先生がトイレに飛び込んできて、俺たちは無理やり引き
先に手を出した俺が一番罪が重いらしく、生徒指導室でこってりと絞られたが、もちろん反省なんてこれっぽっちもするつもりはない。乱闘騒ぎは昼休みだったけど、気づけば5時間目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響いていた。
生徒指導室をあとにすると、4人組がムカつく顔をして待ち構えていた。第2ラウンド開始かと思われた時、後方から声がする。
「おぉう! テツく~ん、お勤めご苦労さまー! 一緒に教室戻ろ」
「ん、あぁ」
「チッ、クソアマが」
朝日奈彩音が俺に声を掛けてきた。4人組はわかりやすく舌打ちをしてお決まりの悪態をつく。
「おーい、そこのドブみたいな顔したブサイクども。今度テツくんに何かしてみろ。次はこの朝日奈彩音がてめーらをボコすからなー」
そう言って、彩音は「しゅっしゅっ」と声付きで下手くそなシャドーボクシングを披露した。ゆるふわポニーテールの尻尾が大きく揺れる。4人組は背を向け、近くにいた無関係な生徒を威嚇しながら去っていく。
「もういいって。アイツらに関わんない方がいいよ」
「大丈夫。キミはわたしの友達なんだから遠慮しないでよ」
「友達ねぇ……」
朝日奈彩音は俺と同い年の15歳。俺たちは同じ花咲中の3年生だ。
彩音とは小学校からの友達で、俺は彩音が小学3年生で転校してきた時から彼女のことがずっと好きだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます