第9話 カラオケ
「ねぇすごいよ、見てみて、カラオケできるって」
「こういうホテルってカラオケできるんだ」
こういうホテルにはもちろん入ったことがなかったので知らなかった
「すごいよね!やろやろ」
「俺あんまり歌得意じゃないんだけど…」
「まぁいいじゃん、こういうのはうまい下手じゃなくて楽しむことが大切だから」
「そうなの?」
「そうなの!」
美鈴が得意げに語ってくる
俺は友達とカラオケなどいったことがなかった
その反対に美鈴は比較的誰とでも仲良くできて、友達も多いほうだと思う
その美鈴が言うのだからそうなのだろう
「よし、最初はこれだ!」
美鈴は俺がカラオケにあまり来たことがないことを多分わかっているので先に曲を入れてくれた
気を使わせてしまった
モニターに付いているスピーカーから美鈴の選択した曲が流れてくる
「明るい曲だ、」
多分俺の知らない曲なので最初のイントロを聞いて思ったことを口に出した
「ふふっ、湊でもサビは知ってると思うから聞いてて」
「わかった」
イントロが終わると美鈴が歌い出した
美鈴の歌声は友達と来ているからなのか、それとも生まれ持ったものなのか、素人の俺が聞いてもうまいと思った
「♪〜♪〜♪」
サビに入った
俺はこの曲が車のcmで使われているものだとわかった、たしかによく聞いてみると車が颯爽と道を駆け抜けていく光景が目に浮かぶ
「これって車のcmのやつ?」
俺がそう聞くと
正解と言いたそうな笑顔をこちらに向けてきた
「どうだった?」
曲が終わり採点に入った
モニターには94という数字が出ていた
美鈴は満足げな顔をこちらに向けてきた
「俺、音楽そんなに詳しくないけど、すごい上手だったと思う!」
「そういうことじゃなくて、やり方の話、わかるかな〜って、まぁ褒めてくれたのはありがとう」
美鈴は照れくさそうに前髪をいじりながらそう答えた
「よし、じゃあ次俺入れるね」
と、言ったは良いが何を入れようか決めていない
こういうときは誰かに習えば良いんだ
ということでランキングを見る
俺でも知ってるような有名曲が結構ランクインしていたのでそこから選択した
「そうそう、マイク持って、あとは歌うだけ」
イントロ中美鈴に教えてもらう
最初は勝手がつかめなかったが曲が終盤に近づくに連れて、わかってきた
「いいじゃん!」
曲が終わり美鈴に褒められた
モニターを見ると85の文字
美鈴には到底及ばなかった
「全然だめだ〜」
「そんなことないよ!全然平均より上じゃん!」
平均は78だったので一応上回ってはいるが美鈴にそれを言われると嫌味に聞こえてしまう
いつもなら美鈴に負けると悔しいと思っていたのだが、今はただ美鈴と一緒にいるだけで楽しかった
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