第15話

幕間11


「そんな…バカバカしい」

「ムシが口の中にも飛び込んだ顔して、どうした?」

「これ、速達の電報だわ。」

女の子が凍って結霜した窓から外に眺めます。

「どうして緊急連絡先を私にしたのか、迷惑だよ」

「手紙?どんな内容」

「幼なじみが危篤状態におちいるくらい、しょうもない内容だわ」

「彼?彼女の家族は?」

「彼以外はみんな政治犯だった。あんたも監獄の中で一家団欒したい?」

「それはしたくない」

「よし、トワリシュチТоварищи、気合いが勝っとるわ」

「トワリシュチって?」

「進めよ、トワリシュチ!Вперёд, товарищи!あいつらに負けやしないわ」

「いきなり大きい声でびっくりしたよ」


「飛べ!Лети!あなたは何でもできる!Ты всё сможешь!」

電文に、クリップで手書きのメモが付随しています。


第0.5章 (C)

いいわけない。目の前に男の人が消えた。周りの人はその異変に気づいていない。そんなの、あり得る?

「「周り」の三つ目の文字はこれ」

「なんかいいね」

シアナは無意識に手をこする。若女将に麺をのばすのを手伝って、手がかゆくなるのと、のど部を撫でて、蕁麻疹が出そうからだ。

多分、うち皆は瓶の中で暮らす人だったかも。魔王としてもそうだ。ピザと税金に心身をむしばれる。魔王と勇者の物語に、いつも魔王が邪悪な存在に書かれているけど、そんな偏った正義は、目の前にいるたった翼の生えている同齢女子に、どうしても結びつかない。

法学のものと例えなら、魔王が邪悪という解釈は、「物語的安定性」が保護されるが、「具体的妥当性」が問われてしまう。

けど、「法学」というのは、すぐにも破壊されてしまう、脆いものだ。直接的に戦場に行かなくても、ともに戦争を経験してきた。エライオトナたちは、安易に戦争を起こしたとき、なんの「法」でも束縛されない。


「シアナ、ぼーっとしないで、片付けよう」


第1章

「水は無限でないのなら、水玉が通貨と使えるじゃない?」

もしも数百年の人が、ある円盤をひねって、水が長い円筒から出ることを見たら、きっと神の贈り物と思い込んでしまうのだろう。

皿洗いしたあとに、エルフに勉強の指導をしなければけないが、無限に流れそうな水の柱が、人を吸い込むように魅力的である。指導って言っても、その知識自体は難しいくないけど、なんとか頭の中から結びつく知識を、東部からの友人にやさしい連邦語を教えるのは、すごく大変だった。

へそくりをためて所詮500リンジー、ムーテおじさんに好意をしてしたらすぐもらえる額何だけと、チチを裏切る気持ちが、シアナにそんなことを拒ませる。ムーテおじさんとハハがこっそりとやっていることを、チチに伝えたら、必ずしも気分が良くなると思わない。むしろ、万が一、いや、おそらくチチの実の娘ではないことを明らかにしたら、周りの人に苦痛をしか増やさないのだろう。偽通貨のように、親子関係を鑑定する技術がまだ現れていないから、助かった。ウソの重ねで支えてきた紙風船は、未だに破ることなく、助かった。

「シアナ、水が溢れているよ。どうした、今日は?」

「…メイっち、食事のあとにストレッチしたら、体に良くなりそう」

「…ストレッチétirements?タイマン太猛?」

「『東部大陸語で』ジッヘイ热气じゃない、体を伸ばすことだわ」

「『東部大陸語で』伸びる?木偶の鼻のような伸び方か?覆水盆に返らず?」

「『東部大陸語で』それは比喩じゃない、文字通りの伸びるだ『連邦語で』神様よ、私を連れ出してDégage-moi d'ici !」

若女将がシアナの心の声を代わりに話した。

みんなが沼に落ちていく世界に、救い主がほしい。


第2章

物語のリレーは少女に送り戻りました。

「実は、愛することも憎むことも厭わないように二択にして、極めて単純な人間であれば、幸せになれる。」

2人の帰り道に、ダメイドが少女にアドバイスしています。

「私の理解では、人は2つの皮を持つべきだ。 1つは外界の変化に対応するため、もう1つは自分の心を守るためである。」

「そんなに複雑にして、自損になるだけだ。お嬢様も、切り替えが上手く行っていないのだろう?」

「ただの逃げだわ。…そう考えていたからダメ人間になった?」

「年上に向いても、恐れ知らずのひな鳥が言うもんか?偽リンジーの見分け方もわからないくせに…」

「偽リンジー?」

「お嬢様の財布から1枚借りたら、使えないなぁ。おそらくブエニ地方から何度も持ち主を替えて、お嬢様の手元に入ったじゃない?」

「待って、借りた?」

「ポイントを掴めていないね。ブエニ地方を言ったら、何かを思いつく?」

「となりのサン=エティエンヌ=ブエニ県ってこと?」

「そうだ。ちなみに高級しそうなレディーバッグもそこら辺で作られたことが多いよ」

「これがあれば十分だわ」

少女がボロボロな巾着バッグを出しました。

「柄のある、上品なバックが欲しくない?」

「明日の百両より今日の五十両Un tiens vaut mieux que deux tu l'auras..このバッグほど使い勝手のいいものがないわ」

「強情だね。明日、シャードエッグOeufs Cocotteを作っておくから、起きたら食べてね」

誰かと話し合って歩くのなら、いつもの帰り道が、短く感じます。

「美德は時間とともに卑しくなる。」

少女が自分のベットに横たわっています。この部屋に置いてあるベッドが、「自分のベッド」になって3週間近く経ちました。少女に、えらいことをやりたい気持ちが湧き上がります。

「財布からリンジーがだされたかしら?」

少女が驚いて目を覚ましました。

6月5日。


第3章

少女が魔王城の外に不審な音に反応しまして、玄関までいきました。

「どちら様?Qui se tient là ?」

少女がドア越して外に尋ねます。

「『シルドウィグスボーグ語で』姫様だDin prinsesse」

「『シルドウィグスボーグ語で』誰です?Hvem er du?」

「『シルドウィグスボーグ語で』くそ、この野郎!For fanden da også!」

シアナさんの声がしますが、この喋り方からしたら、間違いなく連邦公園管理局に飛ばされた「姫」でした。

「魔王の力のせいで、このどうしようもない女の体に閉じ込められた」

魔王城のドアが開けられました。

「何事も過剰なものはない。Ne quid nimis. 命を恐れない者は、生に値しない。」

突然、飛び出したマリー王女が少女を嚇かしました。伝説の勇者が魔王を倒した剣が少女の首にかかっていましたが、布製でした。

「この子、気が合うから気にいった」

王女がシアナさんの肩に乗せます。

「マッチャという苦いジェラートをおごってくれたぜ」

「朝っぱらから何をしたいかしら?」

「落ち着いて聞いて」


「お金は何かと交換される特別な商品である。でも、連邦、海峡の向こう、それと銀行とは限らない。この計画を知った3人から、ブルティーノ人のためリンジー、略してブリンジーBringétを作って流通させて、そして最初から溜まったブリンジーを本物のリンジーと交換したら、儲かる」

「発送のない案だったわ」

「これはきっと、王女と王女のコラボになるのだ」

「王女だったのはたった一人だ」

「そうだわ。私はあくまでも城の管理人だ」

「魔王のくせに、控え目だ」

「ボロボロな建物だね。いっそうここを焼き・鳥屋に改造しよう」

「待って、今何時だと分かる?」

「マリーの王女が昼から仕事で、うちも授業があるから、仕方ない。うち、心の準備がぱっちりだ。いつでも魔王の全力でかかって来い!」

「まあいいわ。あ、ちょうどよかった。宿題、手伝って…待って、シアナさんしか誘われていないわ」

「じゃ失礼」

「たいていの人は助けっ人に感謝する。でも、あんたは違う。」

「あのジェラートをおごってくれるのであれば入らせるわ」

「食いしん坊魔王っこなら、いくら倒す機会でもある…」

「聞こえているわよ。食いしん坊こそ変なピザが好きのだろう」


第4章

6月9日。

「おいしいサンドイッチだ。買うならブリンジーを使ってください!」

シアナさんはサンドイッチを積んだ台車を学校の中に歩いまわっています。

「ねぇユージェ姫、バカシアナが給料を3ヶ月分前借りしてサンドイッチを作る理由は分かるかしら?」

「それは…秘密。女が秘密を持つこそ女になるわ」


「匂い除けのスライムは如何?支払いはブリンジーだけ」

校庭はまさに、フリーマッケットとなりました。

「一見して美しいこの光景は、空からのワインの雨が広がるこの無限の詩的風景は、いったい誰のためのものなのか?」

「いくら王女って言っても、部外者じゃない?」

「残念ながら、名誉学位を取りに来たのよ」


「ねぇユージェ姫、この見張るだけていいのなら、陰のところに座ってもいいじゃない?」

「今は友たちの立場ではなく、雇い主だわ」

庭の真ん中あたりに黒い箱が置いてあって、蓄音機とつないで、ブリンジーに関する宣伝を放送しています。騒ぎのおかけで、昼の休憩から1時限目がなくなりました。



「レベスクさん、また残りの新聞を捨てようとしている?」

少女の放課後の帰り道に、レベスクさんに遭いました。

「これ全部、買い取るわ」

「何だこれ、リンジーじゃないよね?」

「リンジーじゃなくて、ブルティーノ人のブリンジーだわ」

「モノポリーゲームの道具か?面白そうから、もらっておく」


トロワヴィルにで。

「ブリンジーで買い物したいの」

「魔王の末裔を困窮させる下ブルティーノの人間らに心は痛まない?ごめんね、僕は魔王姫を守る騎士になれなくて…でもこのくらいなら払ってあげる」

ダノンさんが少女のオシに弱いようです。

「…計画通り」

ノートを持たない少女はちょっと陰険な笑いが浮かべて、ダノンさんの視線を逸らしていました。


第4.5章(C)

誰もが尊厳を持って生きたいと願っています。 ですが、尊厳は人によって違います。

「あなたは優しすぎる。この残酷な世界は、きっとあなたを噛み砕き、吐き出すつもりだろう」

Tchi Hauの若女将が「ブリンジー」札を握って、悔しがります。


「大損したわ。その酔っ払いが食事代も払わずに、吐き出したまま立ち去った。」

「お金じゃない?ブリンジーって書いてある」

「連邦のお金はリンジーだわ」

「エー!Hé月が綺麗だね。あなたたち東部大陸の人間は月見するのじゃない?不運な被害者のように世界を恨むことも、宝探しの冒険家のように世界を眺めることも選べるんだ」

「経営に何もわからないくせに」

「うちの楽観主義は馬鹿げているのかもしれないPeut-être que mon optimisme est ridicule」

人生の要諦は、世の中に関心を持って生きることです。

シアナさんは自分が「ブリンジー」の創造者の一人である話を、鼻にバジルの葉っぱがついている雇い主かつ家主に話せませんでした。


「今日は短い文を教える。楽観主義は主観的現実を変える。L'optimisme modifie la réalité subjective.」

「はい、シアナ先生」


エルフ耳の女の子が書き取りした文は「楽観主義は主観的な現実を変えるだろう。L'optimisme modifiera la réalité subjective.」でした。




第5章

2人きりの魔王城に。

「砂丘は風によって形を変えるが、砂漠は常にそこにある。」

「こんな喩なんてわからないわ。砂漠という名詞を知っていても、見たことないし」

「あたしの夢はお金持ちになって、一番やりたいことをする。つまり何もしなくてもが生きることのできるようになること。」

「人たちはそれを名詞、食いつぶすle dépensierと呼ぶわ」

「常に夢を見るべきだ。 もしそれが実現したら?」

「何事も「もしも」があれば、ラ・シテを瓶詰めにもできるわ。Avec des « si» on mettrait La Cité en bouteille. でも、その世間と少し距離を置き、繊細な感性で人性を解剖しながら生きることも、悪くないかも」

「そういえば、ブリンジーの件、あたしがオールインする」

「どれだけのお金を持っているの?」

「それは…市長に聞いてね。時間だ、お嬢様の負け」

「わざと私の持ち時間を減らしやがって…」

「負けた人が明日、掃除してきな」

立ち上がるダメイドがチェステーブルの一隅に置いた懐中時計を床におとしてしまいました。

「事務系に私に任せてよい!この先祖が残したへ懐中時計の賠償請求の書類を作るわ」

「面倒くさっ。ささっとあたしを魔王の力で倒せばいいだろう?」

「善には善の報いあり。多分」

「高貴な血は嘘をつかないBon Sang Ne Peut Mentir. 「自分の物差しで他人を測ってはいけない Il ne faut pas mesurer les autres à son aune」と親から教えられなかった?」

「解放させてあげて損した。身近な人ほど大きな敵はいないわIl n'est pire ennemi que ses proches.は?私の親?十数年と放っておいてきたのに、たった数リンジーで親子の絆を取り戻そうとしている親より最悪な親がいないわよ、そのメイドドフィオンmaid de fion」


二人はお互い髪を引っ張ってきて、お互いもじゃもじゃな髪型を作りました。時代を先取りしすぎた髪型でした。

「魔王っていう設定が意味あるの?」

少女が腕に新しくできた爪痕を触れています。

「その翼も、要らなかったら、スープを煮込んであげる。味付けしなくてもお嬢さんの手料理よりおいしいんだ」

二回戦です。


第6章

6月10日。

天井から剝がれたレンガの砕けたくずで起こされ、早起きした少女がフォーの店に立っています。

「5リンジーの看板が20リンジーとなった…」

「リンジー?古紙の方は価値があるわ。経営なんて、炭を運ぶ貨物汽車の後ろに炭の塊を拾う仕事以下じゃん」


少女がしばらく街を散策したら、朝市から帰りのシンメイさんと出会いました。

「この謎の通貨はなんと、必ずたまごが買えるらしいよ。ほぼ金のたまご券だ。『東部大陸語で』お金さえあれば、どこに行ってもハッピーレディだわ。只要有钱,到哪都是快乐小姐」

「私の長い…10数年の人生で初めて聞いたわ。何を言ったかしら?Répétez, qu'avez-vous dit encore ?」


この日、軽い冗談のような “ 呈示払いpromesse de payer le porteur sur demande”と書いてあるブリンジーが、リンジーよりも受けられるようになってきました。


「通貨は人々の信頼に基づいているから、これは非常に新しい形の抗議だ。」

歴史学者のコメントです。

「1ブリンジーは金銀とかリンジーとかに関係なく、100のたまごが交換できる額を設置されて、そこから1/2·(la moitié)ブリンジー、1/4 (le quart)ブリンジー、1/8(le huitième)ブリンジーと分割していく」

「これは最初に、ティボービル西高校と市立大学の学生の間でしか使われていなく、モノポリーごっこの道具らしかったが、その後徐々に街まで広がっていった。商店ではリンジーとブリンジーも使えて、さらにこの2つの通貨の間には、変動的な為替レートまであった。」

「ブリンジーの金銭的な取引特性を実証できることは、誇りである。お金は木に生えている果実のわけではないから。」

「ブルティーノ人がブリンジーを使って、リンジーに起きたインフレーションを対抗している」

「ラ・シテに屈服してはならない。たとえ数百年が経っても、魔王の城下町の名残が未だにあらゆる面でこの町に影響し続いている」


第7章

他人を哂うのは人間の本能です。

6月10日の午後、誰からの予告もなく、オノレ大通りが勝手に封じられました。大量の牛で。ピザを運ぶ少女が飛べるが、ほかの人間は、道を塞いだ酪農たちと喧嘩しそうになります。

「誰が牛乳を提供するのか? 私たちだ!」

「黒い路面に「白」をかけるのは構わないけど、せめて人を通せよ」

「たまに多数派が少数人に従わなければ、人間らは足踏みしてしまう。それは必要なことだ。」

「すすめよ、クォーターバック、吠える犬は噛まぬChien qui aboie ne mord pas.」

少女がそれから大通りを渡る時に聞こえてくる対話を考えたら、どうやら牛乳会社が酪農への売掛金を滞納しているようです。

「もっといい抗議方法があるはずだわ。」


「これは…衝撃的な光景だ」

駆け付けてきたがミローさん話しました。駆け付けたよりも、がちがちな魔法の絨毯で空から放物線に沿って落下したというです。

「衝撃的だったのはミローさんのほうだわ」

「あぁ…これ?魔法の絨毯を改造してみたらこうなった。何を言いたいかわかるから言っておくけど、ほうきと魔女は絶対に相性が悪いんだから」

「魔女っていうならクモの糸を放てて飛ぶじゃなかったかしら?」

「全然違う!まぁいいっか、ユージェ…魔王のお嬢さんもル・ロティle rôtiを食べたくなったのだろう?よし!あいつらに罰金を科そう」


遠くから憲兵の行動機械がノロノロと走ってきました。

「ミノさん、入れ替わりのポーション、飲んでください!」

ミノさんが行動機械から出て、ミローさんのいる方向に歩き出しましたが、ミローさんも逃げ出しました。


「あ、このままじゃピザが冷めそうだわ」


「遅いだね。あの路線で伝えたら、いくら方向音痴で十数分前もつくはずだった」

届く先は、スミレ通りの薬局でした。

すると、少女がピサを、薬剤師の男の人の顔に投げました。


第8章

「待って、その透かしは?」

「何か?見えないけど。店長がいないから、ウインナーでも食べる?」

少女がブリンジーをためつすがめつ見ます。今日の後半は暇です。やることがすべてトロワヴィルの令嬢を一手に引き受けてしまいましたから。

「もしもし、あ、ごめんなさい、たった今たまごが原材料とする商品はすべて販売停止となって…」



6月11日。ふだんやや賑やかな教室が異常に静かですが、たまに私語が飛び交います。

「そこの魔王さん、デルヴァル先生の授業は?」

「聞かれてもわからないわ。」


「立ち入り検査って?」

「あら、法学クラスに在籍して、国が民との反対の立場にいる暴力装置であることでも知らず知らずにここで座っていたの?哀れたやつね」

「モニックほど賢くないってば」

「にしても、今回の反応は神速だわ」

「もう一度聞く。ブリンジーを考えたのは誰?」

怒りの抑えきれない声に、誰も返事しませんでした。

ラ・シテから来た、国立銀行の腕章ををつけている人は、まさに教室の中の異類でした。

「甘いだわ。一人の不満を気にしないなら、多数者の恨みがどうであろうと関係ないだろう?」

「頭を下げて立ち去るべきだ。 あんたはここにいて、ただの役立たずだ。」

「このなかなか手に入らないたまごを喰らえ」

教室の後ろから投げられてきたたまごが男の人に当たりました。



学者のコメントです。


「…分かってきたことは、ブリンジーの存在は完全に合法なものでした。それは通貨ではなく、魔王城を質権設定した永久債の利子ゼロ債券であります。理論的には、2975万個新鮮なたまごを同時に揃えて持っていたら、ブリンジーを帳消しして魔王城ごと交換できます。たまご一つを45グラムとすれば、1,340トンのたまごなんて、大したもんですよ。ブリンジーが派生したエコノミーシステムが閉じた系になったらまだしも、しかし、全てのブリンジーが市民の手元に届いたわけではなく、一部は隠されたままでした。」


第9章

「何をしている?」

「あ、お姉ちゃん、奇遇だ。懐中時計を持っていて、駅の時計と時間合わせに行く途中だったけど…」

「汽車と電報というのは魔法なんかも比べにならないものすごく便利だね。魔物のいる森の王になるよりも、le roi de le fondement基盤の王のほうは位置が高い…」

「汽車にしろ電報にしろ…今すぐでも傘がほしくなるぅ…」

雨が降ってきました。

「シー…隠れよう」

2人はびしょ濡れしたにもかかわらず、有刺鉄線のついているフェンスと隣接にある木の箱山の後ろ伏せています。

「その服…シルドウィグスボーグの禁衛隊じゃないか」

「一体いくらくらい豆知識を知っているのかよ」

貨物汽車に扉の開いた車両に、大量のたまごや小麦が積んであります。禁衛隊の服を着ている男と誰かが話し合っている。


「だるーいぃ、あ、傘、持って」

三人目が会話に割り込んできました。

「いよいよ私のその時が来た」

駅員の服を着る女の人がしゃがんできます。

「この仕事は私を蝕んでいる。私はこの何年もの間、背景人物になろうと努力してきた。正義の味方として。私は彼らのように頑張るのではない。私は彼らの一存だ。」

「メダム ジャクリーヌ・カラドゥ、もっとシャワーを浴びたほうがいい、もしくは香水のブランドを変えるべきだ」

女の人が傘をもらって、名札を見て話します。

「じゃ、その賢さが足りない小さな頭で汽車と共に過ごしてもと石炭の匂いが付着しない魔法を教えてちょうだい、魔女さん?」

「憲兵のお姉ちゃんは魔女なの?」

「知らないなんて言わないで、マーシャン法律事務所のおじょうちゃんよ」


第10章


「ァイーAïe」

憲兵のお姉ちゃんが立ち上がるとき、胸が箱にぶつかりました。

「なぜ学校の先生が女の子を壁に向かわせて罰をしないのか、やっとわかったよ。」


「体のバランスが悪い魔女なんて、初見だ」

「コレージュCollègeは男子校だったし、それにシェレルはポーションを作り直しているから、外勤をカバーしてあげていて…何でもない」

「濡れても敏捷な種族になりたいねぇ…あ…そういえば、この間、美術館で見たもらったデ・ラ・マーレ町のセイレーン像は…」

「詳しく言って、耳を傾けて拝聴するから」

「ミノおじさん、どうして憲兵のお姉ちゃんの体にいるの?」


「どんないきさつだったか知らない、知りたくもないけど、雨も止んだから、傘を返してください。仕事に戻るから」

「あ、そうだ。仕事の潜入調査で…」

「人の話をコピペするならせめて使用料を払え」


「もう十分だ、黙っていられる?」

駅職員の女の人が去りました。

「私…僕はただ、償いたいだけ。名声には興味がない。シェレル・ミローお手柄を立てば、みんなが幸せになる」

「聞いて、目の前にあるパズルはたくさんだけど、あなたが最初に解かなければならない唯一のパズルは、どうやって成長するかということだ。」

「皮肉?」

「レ・ーヴルLes livres,5月号。小学校の時1年くらい予約購読した。たぶん父は小切手を書くときに、ゼロを余分に書いたんだと思う。作文に使いたかったから暗記した。

「この姿でなければ、嬢ちゃんと一緒にいてただの不審者だ」

「ミノおじさんは悪い人ではないと信じている」

「次は一緒にショッピングしに行こう。」

「お姉ちゃんの中身をミノおじさんと確認したら、それは悪いセリフだ」


第10.5章

「まだ胸が熱くて痛い。痛み止めの魔法があったらいいな」

「ウイスキーだったら痛み止め効果があるものの、使ったらダメ人間になると思う」

「ウイスキー?パブごと移転させてくれればいいじゃないか。あ。」

自称憲兵の女の人が自分の体に触って、何かを見つけています。

「にしても、この二つのたまはじゃまだね…見てもらってもいい?打撲の跡はある?」

「少し…ってか胸元を隠しなさいよ」

「ウィOui! 僕も栄誉の壁mur d'honneurに載ることになるんだ。」

「恥の壁mur d'honteだろう。憲兵のお姉ちゃんの体を気ままに動かしてならない。刑法第✖条横領罪で起訴されるのもおかしくない」

「横領罪は親告罪と分かっていない?」

「さあ。神の検査官が訴追してくる?」

「白昼夢をやめな。僕はシェレルの同僚だから、害さない。これもそれも憲兵としての仕事の一環だ。モンポットMon pote」

「あなたのささやきを聞きたいなら聖歌隊を素早く雇った。…ぜんまいを巻いて、一、二、三、走れCours!」

「くそ!ちょうど彼女にファイルに穴をあけてコーディングして仕分けをした話をしたかったのにね。」

「こんなに離れたも聞こえているよ。興味もないよ。」


第11章

「イーカロス君、迷路を飛び抜けよう。翼を広げて飛べ。そして、飛ぶ高度は、高過ぎずと低過ぎずと、中間になるを気をつけること。」

「何考えてるのかしら?」

少女がからかってくる歴史の授業での隣さんに白い目をむいて、ドアを押し開けて、教室から出ました。ブルティーノはラ・シテに発展が遅れているが、きちんとしている街です。究極の答えもなければ、絶対的な権威もない。これぞ連邦での教育を受けた人間にある考え方です。


「なにニヤニヤしているの?」

少女が学校の庭で水たまりに飛び込んでいるシアナさんと出会いました。

「あ、翼っち。2人だけの秘密だから他の人には内緒だぞ。おいしいビジネスを考えたんだ。電話で向こうの人に今の時間を教えて稼ぐという方法だ。こうすれば、毎回毎回駅に懐中時計を持って時間合わせに行かなくて済むんだ」

「1人相手に1分かかったら、ビジネスにならないのじゃない?100人相手に対して同時に正しい時間を伝えられるの?」

「ありがとうね。 うちのランチ前の楽しみを台無しにしてくれて。」

「淑女たち、「いいもの」を見てみたくない?」

「おー、ジャン=マシュー・ガリポーくん、魔王の一族の御名において残酷なことを言わせてもらうわ。あなたの気持ちを大切にしたいと思う人には、何の善根も積まないかもしれない、あなたのことを気にかけたくない人には、損がないかもしれない。」

「新たな楽しみ、頼むよ」

「新たな?これ、連邦極東領地会社の株券。スライムを逃がさない柵を発明したから母は褒美としてくれた。ほら見て、この金額の単位は極東銀貨だ。」

ガリポーはドヤ顔で2人の前に小切手の2,3倍くらい大きさの紙を見せました。

「見栄えということはいつも虚飾に欺かれる。闇と汚れの井戸に落ちなさい」

「嫉妬の罪を犯した翼っち。なかなかいいおかずじゃないか」

「魔王の末裔よ、いつかあなたのうぬぼれが自分の翼を焼き、支えを失って空から落ちるだろう。…おい、水たまりをジャンプするな、これは紙切れだから。」


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