第1話

第1章

「ユージェ姫、私が命の光、私が欲望の火。私が罪、私が魂…」

「シンメイさん?」

「何でもないよ…ただユージェ姫がキラキラと光っていると思っているわ」

「…シャワーを浴びてくるわ」

「ごめん、ユージェ姫、お邪魔するわ」

シンメイさんが自転車を木製ドアの横に止め、勝手に魔王城に入りました。


「あれ、ユージェ姫はもう教科書を買ったかしら、あ、これ、前年度の教科書じゃない?連邦郵便がストライキ期間中だったから納品が来ていないってことかしら?1回目の授業を受けてから教科書を買ったほうがいいと私が思うよ」

「買ったから仕方ないの」


少女が浴室に入りました。

「…寒い…お湯がでない…」

「あ、この辺りは地熱チューブがメンテナンス中だよ、ユージェ姫は新聞を読んでいなかったかしら?あ、ごめん。」

「私、我慢できるの」

「あらら、ユージェ姫って…そういえば、リョネルさんの所ならお湯が出るかも、憲兵隊の寮は別システムだったそう。ユージェ姫だったら彼も喜んで使わせるわ」

「やっぱ浴びられない…そうするわ」


少女は元の服に着て、着替えが籐かごに入れて、シンメイさんと魔王城を出ました。


少女とシンメイさんが警察署から出てきました。

「ね、リョネルさんって目の隈がひどくなっていない?」

「憲兵っていうのはそんな大変な仕事だったのか」

「こんな非効率な公務員システムなんていつか崩壊するわ」


少女とシンメイさんが4階建の歴史感のある建物に入りました。

「ミノさんの部屋って…あ、3Bだわ」

少女がキーホルダータグを見て階段に登ります。


「お邪魔しますー」

「きれいな部屋だわ、リョネルさんらしくないわ」


「かっこいい子じゃない?」

シンメイさんが片隅の机に指差します。机の上に紙で作ったれきっとした古代の女神像があります。

「ミノさんって手先が器用だったわ」


少女が服を脱ぎ捨てます。

「浴室に入るわ」

「了解だわ。私はこの部屋を見学するね、あらら、ユージェ姫、人の部屋で服をばら撒くのは礼儀正しくないよ」


第2章

「気持ちよかった顔をしているね」

「あははっ、あとでミノさんに礼を言うわ」

少女が浴室をモップで拭きました。


「じゃ、私はこれでね、また店の面倒を見ないといけないから、自分でカギを戻してね」

「いってらっしゃい、シンメイさん」

少女は石造建物の入り口でシンメイさんと別れました。


少女がしばらく街を歩いたら、見かけのないスーツ姿の人が近づいてきました。

「そっちのお嬢さん、連邦観光促進機構 ルプレイヌ=ド=メ区出張所はどの方向ですか」

「観光促進機構か、あの「ル・セジュール・リキード」の看板のあるビルがお見えですか?あの角で右に入って数百メートルですわ」

「ありがとうな、お嬢さん」


「観光か…父ならどう考えているの?」

少女が考えごとをしながら「ル・セジュール・リキード」の看板のあるビルに向かいます。

ル・セジュール・リキードとは、この地域最大の熱供給会社だそうです。


「いらっしゃいませ、お客様」

「来月の光熱費を払いにきました」

「かしこまりました、では、身分証明書をご提示お願いします」


少女が自機免許を見せました。

「やっぱこれ、あったほうが便利だわ」

「しばらくおかけになってお待ちください。」


「ド・ルプレイヌ=ド=メ様、お手続きが以上となります」

「ありがとうございます。」

「ちなみにお客様、供給番号と銀行口座を紐づけば毎月は更に5%お得ですよ、いかがでしょうか?」

「悪いですが、私は銀行口座を持っていません」


少女が熱供給会社のビルを出ました。

「40リンジー50センcents…シアボーネさんに前借りしたくないな…来週までどうやって過ごせるのか…」


「あ、ユージェ!」

テンダム自転車を押して、歪んだ姿で歩いている男の子が歩いている少女を呼び止めました。

「あら、アドリーゼさんじゃないか、また違う色のテンダム自転車だわ、レイトさん、こんなにテンダム自転車を持っているの?」

「あの時はごめんって、僕が悪かった」

「謝るならベルトードさんにやるべきじゃないの?」

「あいつに謝ったら僕のプライドが崩壊するぞ」

「あ、ちょうどよかった、アドリーゼさん、この鍵を憲兵のミノさんの席に届いてくれる?ちょっとだけの寄り道だわ」

「えぇー、やだよー」

「でないと、アドリーゼさんが大回りしたことをレイトさんに言うよ、ウルフ・ユニ・ヴェロってこっちじゃないだろう」

「それだけはやめて、わかったってば」

少女がアドリーゼさんに鍵を渡しました。


第3章

「ああ、風って気持ちいいわ、お散歩日和だわ、オノレ大通りまで歩いておこう」

少女がラングラード川に沿って上がっています。オノレ大通りが通る道に、川を跨いている石橋に足をとめて、川の下りを眺めています。


「ユージェちゃんじゃないか、お久しぶりだわ」

女の人が少女を呼びました。

「あ、エディスおばさん、こんにちは、お久しぶりです」

「お買い物ですか」

「そうだわ.トロワヴィルってスーパーマーケットを知っている?となりのマーゴトン・ヴァル・ディエール市発祥したチェーン店だわ。最近このヴァンディエール区にも店が開いてきたわ」

「ああ、こういうことですわ。そういえば、エンリおじさんはお元気ですか」

「おじさんは元気だったよ、春こそ稼ぐ時だわ、マーシャン法律事務所に住み込めるほど忙しかっただけど」

「エンリおじさんも大変ですね」

「そういえばユージェちゃん、今度、うちに住んで見ない?サラもユージェちゃんに会いたかったよ。魔王城なんかも逃げることはしないし」

「 「魔王城なんか」じゃないの…父の遺物でもなるの…」

「あら、これは失礼だったわ、ユージェちゃんのお父さんも、エンリおじさんの戦友だけの関係だったかしら、よその人間より親しいけれど…」

「ありがとうございます。エディスおばさん。お気持ちが頂きますが、今はその時じゃないのです」

「今度はうちに訪ねて来てね、エンリおじさんも法に詳しい専門家だわ、いつでも援助してあげるわ」


少女が魔王城の方向に戻ります。

「エグランティーヌさんはお嬢さんのか…」

「お呼びですか?」


反射材を着る女の子が飛んできました。

「っきゃ!エグランティーヌさん!エグランティーヌさんってここに何をしているの?」

「パトロールですー」

「パトロール?」


「おおむね休日ですけど、この時間が小学校の学習塾の下校の時間ですー」

「そういうのか」

「皆さんピエール=エノー中学校を受けるのに必死に頑張っていますー。子供たちがオノレ大通りを安全に通れることも、トロワヴィルの社会的責任ですー」


エグランティーヌさんはライトスティックを振りながら言います。

「これらの行動機械の操作者も、全然「止まれarrêt」と「行けaller」のサインに従っていません」

「単語が印字されるサインを認識するのは難しいもんだわ、似ているし…」

「こら!そっちのおじさん、子供が渡っているじゃないですか」

「赤いと青いライトに変わったらどうなるのかな」

「それだと赤いと青いを見分けない人は可哀想ではないですか」


少女は警笛をならす一個一個の行動機械の列を見て、嘆きながら歩き出しました。


第4章

「あ、ミノさん、こんばんは、パトロール中?」

憲兵のマークが塗ってある行動機械に、少女が声がけしていっています。

「ええー、この辺りを一回まわって報告書を書いて終わったら、お久しぶりの寮帰りが待っているよ、そういえば、ユージェちゃん、鍵は?」

「鍵はアドリーゼさんにあげたわ、彼は警察署に寄り道をしなかったの?」

「あのアドリーゼに頼るなんて、ユージェちゃんはまだまだ甘いだね」

「やられたわ」

「こんなことになったのは、ユージェちゃんにも責任があるよ。ユージェちゃんも予定はないように見えるだね。さ、乗ってきって、一緒にアドリーゼを探そう」

ミノさんが体を横切って行動機械の扉を開けました。

「カビの匂いがするの…」

「仕方ないじゃない、こんな地方って予算があまりないから」


行動機械が丸い石が敷かれる狭い街道数分走ったら、右の路地裏に曲がりました。

「こら!アドリーゼ!なにをやっている?!」

アドリーゼさんがスプレー缶を持って、白い壁に黒い文字を塗っています。

「あ、やべっ、逃げろ」

「アドリーゼさん!ミノさんの鍵は?」

「あ、忘れた」

少し遠い所に走って行ったアドリーゼさんが戻りました。

「アドリーゼ!何をやっていることを知っているか?!」

「都会感を増やそうとしているんだ、だって、こんな地方は何もないじゃないか」

「アドリーゼさん、そんなことをしっちゃだめだわ」

「アドリーゼよ、このままだと補導に進んでしまうよ。今回はユージェちゃんの顔をたったから、特別に逃してあげるけど、1週間以内に壁を元通りに戻せよ」

「はーい」

「鍵は?」

「これ、どうぞ」

「日が暮れるじゃない?早く親元に戻ってなよ」

「ほーい」


「ごめん、ユージェちゃん、魔王城まで送るよ」

「ありがどうミノさん」

行動機械のライトが暗くなった石の街道を照らしています。


「ミノさんって手先が器用だったわ」

「あ、それ、見っちゃたのか、実は僕、この憲兵の仕事をやめて、紙像専門のスタジオを開きたいんだ…お金がないから何もできないじゃない?…この仕事を続ける理由は、お金を貯めるだけだよ…」


世知辛い世の中だわ。少女が行動機械の外で後ろに走って行く景色を見て思います。


第5章

「疲れたー、今度、シンメイさんの洗濯機を借りよう」

少女が魔王城に戻ってすぐに籐かごを木製ドアの内側に投げ、暗やみの中で2階上がって、自分の部屋に戻りました。

「ライトが付かない、そっちの線路もメンテナンス?あ、痛っ」

少女の翼が昼買った本にぶつかりました。本が乱暴に床に落とされました。



少女が速くて短いノックで起こされ、玄関に行ったら、新聞が落とされています。新聞の表紙に5月3日が書かれています。

「すみませんー、この家のお主さんいますか」

「あ、はーい」


少女が木製ドアを開けたら、新聞社のロゴが入った大きなサコッシュを前掛けしている男の子がいました。

「おはようございます。私はペイジ・レベスクといいます。今週から新聞配達をしています。ド・ルプレイヌ=ド=メさん、まだ今月の購読料が納まったことを確認できませんのでお伺いします」

「あら、私は先週までの購読でしたわ」

レベスクさんはズボンのポケットから1枚のしわの多い紙を出しました。

「先週の購読者リストにド・ルプレイヌ=ド=メさんが乗っていますから新聞を届いてしまいました…お家に新聞があった方が時事が知られるではありますか…」

「ですから、今月から購読しませんわ、新聞なら返してあげますわ」

「えぇー、そんなー、購読料を集まらないと、私がこの新聞を買わないといけなくなります。妹の塾の講習料も…2番目上のおじさんの奇病の治療代も…」

「わかりましたからお口はおやめください。1リンジー20センでしょう?財布を取ってきますわ」

少女が上の階に行きました。


「潜入成功!ペイジは俺の朗報を待てなよ」

「必ずお宝を見つけてくれよ、アドリーゼ」


「アドリーゼさん?どうしてここにいるの?」

少女が降りました。

「あ、ばれた、逃げるぞ」

「アドリーゼってバカだな、せっかくチャンスを作ったのに」


「レベスクさん?妹とおじさんのためじゃないの?」

「ごめん、それは適当に作った話だ、忘れて」

アドリーゼさんとレベスクさんが走り去りました。

「ああ、バカがバカを引き付けることだわ」


第6章

少女が魔王城を出ました。魔王城の外の庭がバラバラに人が通っています。

少女が庭に沿って自転車をこぎます。しばらく経ってから、庭の境目に広い道が見えました。

「今日もジュール・ラヴォー街道の花はいい匂いがするわ」


少女が自転車でTchi Hauに行きました。

「ブラが…ない!」

「こっちを見るじゃない!私のを狙うのじゃないわ!また壊そうとするかしら」

「あった、うち、すぐ見つかったよ、すごくない?」

「「ブラが…ない」っと叫ばなかったらな」

「あの二人って仲がいいわ」


「おはよう、シンメイさん、一緒に学校に行こう」

「あら、ユージェ姫じゃない?私もこれからユージェ姫の所に行くつもりだったわ」

「おっすー、メイっち」

3人がTchi Hauで合流して、それぞれの自転車で魔王城に向かいます。

「学校行くのに翼っちの庭を通るのね」

「ご先祖様の誰かが社会活動家で、巨大な庭園の土地を公衆に寄付したようだわ、おかけで北は中学校、南は高校だし…勝手に通り道まで作られたから毎日賑やかで寂しくはしないわよ」

「そんなことかしら(ユージェ姫が心配だわ…誰も寂しさを聞いていないじゃない…)」

「翼っちの庭が広すぎて、目が疲れる。バスが通ったらよかったな、翼っち、バス誘致をして」

「無茶いわないで、シアナさんこそそっちのエネルギーがあるじゃないの?」

「翼っちって魔王の末裔だろ、魔王軍とか統率していないか?まさか魔王城の裏側に養っているのか」

「ね、シアナ、勝負してみない?先にオノレ大通りに着く人は優勝だわ」

「やだー、賞品は何もないじゃないー」

デジュネdéjeunerの弁当に肉まんを作ったわ、ついでにシアナのアイデア通りの新品メニューを作ってあげようと思っているのけど…」

「シアナ選手っ、負けないぞ」

シアナさんとシンメイさんが加速しました。


「は…は…うちの…葬式は…壮大な…ほうが…いい…」

「もっと鍛えろ、シアナ」


「翼っちって最後にゴールだ、翼っちが負けた、覚悟してね」

「私は勝負なんて最初からしていないわ」


3人が道の境目の突き出る所に、向こうの金属柱が、「止まれ」のサインから「行け」のサインに変わることを待ちます。

「本当に紛らわしいわ」

「本当だわ」

「「行け、止まれ、行け、止まれ、行け、止まれ…止まけalrêrt

「シアナって純度100%のバカだわ」

「純度100%こそナチュラルだぞ」

「あはははっ…」


第7章

3人が学校の敷地に入って、屋根のある自転車駐輪場に自転車をとめて、各自にかばんから1枚の通知書を出して握って、人気のある場所に向かって歩いています。

「シンメイさん、見て、今日って休日なの?」

ウイっスーwithhhウエストwestティボービル!(訳:ティボービル西と共に)」

「シアナって海峡語を自慢したいかしら」

「中学校の時はほとんど1位だった、下から数えるほうだけど」

「よく言えるね、いい度胸しているな」

「シンメイさん…どうして私の紙がシンメイさんのと違うの…」

「あ、ユージェ姫は法学だったかしら、あの列は法学優先だわ」

シンメイさんが遠くに指差します。

「単位制高校ってこんな仕組みなの?1限目からガラガラの…シンメイさんの紙はどっちなの?」

「私は魔導学優先だわ」

「ちなみにうちは数理学だ」

「うそ、シアナが数理学?」

「うち、第一志望がないよ、目を閉じてチェックを入れたら、数理学だった」

「シアナらしいね」


「じゃ、私たちはあの方向に行くわ、またあとでねユージェ姫」


少女が列を並んでいる時、列外れに一人の女の子が声がけてきました。

「そこの翼っこ、魔っ、じゃなくて、貴族だった?」

「はい。ジャンヌ=ユージェニー・ド・ルプレイヌ=ド=メというの」

「あたしはクレール・ガルデ、よろしくね」

「ガルデさんって列を並ばないの?資料も取るのよ」

「蒸し暑いだし、突風を浴びるほうが気持ちいいだよ、それに、最後にすれば争いもないじゃない」

「でも、列の最後だと資料の紙がなくなるのじゃないの?」

「そんな時はジェニーちゃんのを寄せて」

「ガルデさんに貸したくないー」

「ならばジェニーちゃんごとを取り寄せばいいの話じゃなっい☆、ほら、つばさマッサージ」

「っきゃー」


「翼っち、大ピンチ」

「頭がハエくらいでしか見えないけど、シアナって何が見えた?」

「翼っちが女だらけに囲まれた」


「次の方どうぞ」

「うちだ」

「…数理学はこっちじゃないですが」

「ふぇっ!」

「シアナってバカだな、ずっとこっちを並んでいたわ」

「どうしてメイっちが行ってくれないか」

「並び始まった時に言ったわ、シアナが大丈夫大丈夫っていっていて、並び続いたじゃない」

遠くからスタッフが来ました。

「10年生のシアナ・グネルさんはいますかー」

第8章

「シアナ・グネルはこっちで元気いっぱいです!」

スタッフがシアナさんの目の前に来て、手の中のクリップボードをチェックしています。

「申し訳ないのことですが、シアナさんは数学の成績がないですね、ゆえに、数理学優先クラスに入れません」

「ふぇぇー」

「今日中に優先学科が定まらないと、最悪の場合、校則によって即退学の手続きも考えられます」

「そんなー」


そこで、後ろの列から一人の男の子が出てきました。

「僕がシアナさんと交換します」

「レオっち?」

「シアナさん…ずっと会いたかった…デ・ラ・マーレ町の時から、ずっと前から好きだったよ」

「そっちの生徒さん、列を出ていただけます?」

「はい」

「お名前教えてください。」

「レオ・ボーマノワールといいます」

「レオ・ボーマノ…あった、数学もそこそこですね…では、私についてきてください」


「よかったねシアナ、後でボーマノワールさんに礼を言うね」

「ありがどうな、レオっち、シュウマイをたくさん奢るぞ」

「…シアナさんって相変わらずだな…よかった…」



昼休み時間になりました。

「まさかいきなりの授業だね、教科書を買えばよかった…翼っこって予知能力があるのか?」

「そんなファンタジーなことじゃないわ、昨日、たまたま本屋に行きたかっただけだわ」

「本屋って売っている?教科書」

「ブルティノー=ダンボワーズ駅のル・デスフォージで買ったわ」

「ああ、てっきりラ・ウネのことを指していると思ってしまった」

「ラ・ウネ?」

「ティボービルあたり最大級の本屋だよ、今度一緒にいこうよ」

「ああ、ヴァンディエール区にあまり詳しくないの、いいよ、今度、時間があったら…私、バイトもしていて、ずらさないといけないの」


「翼っち!」

シアナさんが割り込んできました。

「シアナさん?教室を教えていないのに…」

「私も先気づいたわ。シアナの目がいいってこと、これは魔導学に相性がいいわ」

「シアナって数理学じゃないの?」

「レオっちがうちと交換した」

「レオさんって?」

シンメイさんが小さい声で言います「片思いはつらいわ」


第9章

「ユージェ姫デジュネ一緒に行かない?」

「間に合わないわ、このスケジュールを見て」

少女がシンメイさんに資料の紙を見せました。

「…うそ、お昼休憩35分でまたの授業再開?…5限目…6限目…10限目まであるのか?!」

「けど代わりに明日は休みだわ」

「うちの魔導学、午後から1限目で下校だよ」

「だからごめん、シンメイさんシアナさん、一緒に帰れないわ、私を待たなくていい、先に帰っていいわ」

「デジュネはどうする?ユージェ姫ってデジュネ買っておいてないじゃない、肉まん半分あげるわ」

「うちの肉まんじゃん、うちが許さないぞ」

「シアナってあの時は負けたじゃない?」


肉まんが入っているケースで揉めているシンメイさんとシアナさんを見て、少女がこう言います。

「私、大丈夫だわ」


ガルデさんがバケットBaguetteと大きい水筒を持って少女に近づきます。

「あたしのブランチBrunchを分けよう」

「すっご、まさかバケットをこのまま持ってくるのか」

「っ隙間あり、肉まんゲットだぞ」


「翼っこ、これからもこんな短いデジュネの時間を慣れないといけないよ、ほら、コーヒー」

ガルデさんが水筒のフタに、コーヒーを注ぎました。

「ありがどうガルデさん、では遠慮なく頂くわ」

少女がバケットを折って、コーヒーに入れて食べます。

「甘っ、ガルデさん角砂糖入れすぎだわ」

「翼っこ、オリジナルのコーヒーがお好み?それだと苦すぎない?」

「連邦の人間ならコーヒーは甘くない派が圧倒的じゃないかしら」

「うちもメイっちに賛成だぞ」


「あなたたち、意地悪な」

「嫌なら、うちたちを訴えてこい、世の中に怖いものなし、シアナ・グネルはここにいるのだ」

「グネルって大学側の教授の…でもグネル教授って子供はいないらしいね」

「こいつを試験なしで入学させた主犯者だわ」

「ごちそうさま」

「うぉっ、翼っこ、食べるのは早っ」

「翼っち、大食い様だな、スポンサーがいないぞ」

「食べ終わったら教室移動だ、ごめん、ここの2人、あたしと翼っこは先に行くね」

「翼っちを独り占めなのか?許さないぞ」

「シアナ、私たちはこっちだよ、デジュネを済ませよう」


第9.5章

「いつの間に日が暮れたね」

「10限目はほとんど聞いていなかったわ」

街灯が照らした石の小道に、少女が自転車を押しながら、ガルデさんと一緒に歩いて、バス乗降場に向かいます。

「じゃ、あたしはここでバスを待つね」

「バスって動いているの?ストライキ期間中じゃないの?」

「あははっ、心配しないで」

すると、Hors serviceと表示される1台のバスが回ってきました。

クレClaiって遅くない?」

「ごめん、グランGran、高校ってこういうもん」

「早く乗って、今はストライキ期間中だぞ、労働組合にばれたらまずいって」

「自分の行動機械で来ればいいじゃん?」

「修理に出しているのだ、ったく」

「カルデさん、いってらっしゃい」

「おーい!そこの翼の女、俺たち、バス車庫に帰るのに魔王城を通るけど、通りがけに降ろしてやるよ、自転車も中に積んで」


第10章

グランビルさんが運転するバスは少女をジュール・ラヴォー街道に降ろしました。

少女が自転車を押して庭の中で歩きます。

「今日も疲れたー、あっ、シンメイさんに洗濯機を借りるのを忘れた、早くシャワーを浴びて、シンメイさんの家にいこう」


少女が籐かごを自転車のハンドルに掛けて乗っています。

「自転車の前にカゴを設置すればどうなるのかな、そんな発明が誰かが作ればいいなー」


少女がTchi Hauについたそのとき、お店の看板のライトが消えました。

「ごめんなさいお客様、今はちょうど営業が終了する時間ですわ…あっ、ユージェ姫こんばんは。ユージェ姫が何を食べたいなら別の話だよ、食材がある限りは作ってあげるわ」

シンメイさんがテーブルを拭きながら、頭を入り口に向けて、少女に言います。

「ううん、私は洗濯機を借りに来たよ」

「あーあ、ユージェ姫の家って家庭用高級機械製品がほとんどないね」

「けっこう昔の話で魔王城っていうのは、多くの使用人がいたわ、これもそれも、家事が使用人の手作業だったし…」

「昔の貴族屋敷という不平等な小さな社会も現世「人間は皆平等である」に転換されるわ。貴族であっても時の車輪に逆らえないじゃない。数百年の歴史のある技術の結晶と思想の進歩をなめているのか…それにもかかわらず…」

「私はこんな争いがしたくないの…」

「ああ、ごめん、ユージェ姫をつかまえて腹いせをしまったわ…嫌なお客を思い出したから、そうだ、ユージェ姫はエビ蒸し餃子を食べない?お久しぶりの仕入れだよ」


「あのう…私、洗濯機を借りに来たの…話が長すぎないの?…」

「あははっ、ごめんね、洗濯機を貸すのついでに干してあげるわ、ユージェ姫って庭に服を干したら盗まれるじゃない?」

「魔王城が広くない?使わない部屋で干すわ」

「カビが生えない?…なんでもないわ」


「メイっち、皿の洗い物が終わったよ」

「はーい…ユージェ姫、早くうえに上がるなよ、シアナがユージェ姫を見たら、割り込んで洗濯機を使うとかの嫌がらせをするかもしれないわ」

少女がTchi Hauの上の階に行きました。

上の階からガチンっという音がしました。

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