ヤンデレ義父に執着されている娘の話

アオ

義父の執着

おはようございます。お嬢様。」

イケオジの執事のアルバートに起こされ、目を開ける。

「おはよ、アルバート。」

メイドのアリスに身支度をされながら、ふと振り返るこれまでのことをーーーーー。



「プップー、キキー!ガッシャン!」


ヨンちゃん......ごめん……


32歳のくたびれた社畜のOLの私、如月夏乃はトラックの事故でその短い生涯を閉じた。天涯孤独の私は施設で育ち、高校卒業後就職、ところが入った企業がブラックもブラック朝から晩まで安月給で働かせられ私は心身ともにボロボロになってしまった。なぜ辞めないのか、そう思う人もいるだろう。しかし辞められない理由があった。私が会社からの帰り道に出会った犬のヨンちゃんの病気を治療するために稼がなければならないからだ。ヨンちゃんは出会った当初人間にいじめられていたのだろうか、とても警戒心が強く人を近寄らせなかった。近寄ろうものならすぐに威嚇して追い払っていた。私はそんなヨンちゃんを会社帰りに見つつ不思議に思っていた。

なんでこの犬は人間に近づかないのかと。

ちょっとじゃれれば餌をもらえるかもしれないのに、とそんなことを考えていた。

でも私はよく分かっていなかったのだ。

ヨンちゃんがそうする理由をーーーーー。



ある日のこと、いつも元気なヨンちゃんが震えていた。大丈夫かな?病気かな?そう思ってヨンちゃんに近寄ろうとすると必死に震えてヨンちゃんは威嚇してきた。

そして見てしまったのだ。ヨンちゃんのお腹にある傷を。それはどう考えても自然にできる傷ではない。人間によって傷つけられたものだ、と。

そして私は手を伸ばした。

「大丈夫だよ?怖くないよ。」

そう言ってヨンちゃんに手を伸ばすと噛みついてきた。でもそれでも私は撫で続けた。ヨンちゃんは途端に困った顔になり私の手を舐めてきた。

ごめんって謝るみたいに。

それから紆余曲折あって私はヨンちゃんと一緒に家に住むことになった。

それはそれは穏やかな日々だった。

でもそんな日は長くは続かなかった。

ヨンちゃんが突然難病にかかってしまったのだ。私は苦しそうなヨンちゃんを見ていられなくて病院に何度も連れて行ったけど

治療法は見当たらないらしい。

そんな時、その難病の治療薬が見つかったことを医者に教えてもらった。

でも、ギリギリの生活をしている私に払える額ではなくなんとかお金を貯めようと必死に貯めていた。

そしてなんとかお金が貯まる矢先事故で死んでしまった。



ふと気がつくとボロボロのオンボロ小屋で

罵り合う声が聞こえた。


「あんたが悪いのよ。うちに泥棒猫が産んだこんな子を連れてくるなんて!」

「しょうがないだろ?俺が孕ませちゃったんだから責任取らないと」

「だからって!」

そんな言い争いが聞こえたと思ったら

突然言い争いが止んだ。

そしてボサボサのおじさんに雪の降る外に連れ出された。そしてしばらく経ったところで

「ここで待ってな、俺はすぐに戻るからな。」

そう言って私は1人寒い中置いて行かれた。

私は待った。ずっと待った。

そして待ち続けたがついにおじさんは帰ってこなかった。

涙が出た。

寒い。

お腹がすいた。

眠いーーーーーー。






そうして意識がなくなりそうになった頃、

従者を連れた貴族のような男の人が通りかかった。そして

「この匂いはっ!やっとか。」

そう言った男の人は私に聞いた。

「私の家に来るか?」と。

私はすぐに答えた。

「おじさん、家に着いてったら暖かい?

お腹いっぱい食べられる?」

「ああ。そうだ。」

「うん。なら連れてって。」


そうして私はこの男レオナルド・スイット公爵に連れられ公爵邸に行き保護された。そして何故か義娘になったのだった。

そして、保護された先で父親となったレオナルドに溺愛され、そして前世の知識を活かし様々な道具を発明したり、マンガやアニメでの魔法を参考にした斬新な魔法を使うことで私は公爵家の天才、天才発明家、大魔法使いといった名前で呼ばれるのだがそれはまた別の話。




「お父様、おはようございます。」

「おはよう。ナツ」

お父様は優しい。私をとても甘やかしてくれる。そしてなんでも甘やかしてくれる。

でも私はそんなお父様が怖いのだ。

時々獲物を見つめる目で見てくるから。

とても懐かしい目で。

本能が告げる。

私は思い出しそうな何かを思い出しては行けないし、何も気が付いていない。



レオナルドはしばし振り返る自分の前世(ヨン)を。

そして一緒に住んでいた夏乃の優しさを。

そして夏乃が転生したことに気づいた時の驚きと嬉しさを。

レオナルドは嗤う。

夏乃はいつ私の正体に気がつくのかと。

そして夏乃が気がついたらどうしてしまおうかと。ふふっ、まあいい。

気がつくまでは優しい父親として接しよう。

だが気がついたなら今度こそ手に入れる。

そのために神なんていうやつと取引して夏乃を読んだんだからな。



夢を見る。怖い目をした男に支配される夢をーーー。彼は私に異様に執着して私を苛んだ。彼は私に愛していると言いながら押さえつけそして嫌がる私を無視して私のハジメテを奪った。

そして足に鎖をつけられてペットのように愛玩された、私の意思は関係なしに。

次第に私は弱っていきそして自害した。

こんなことは夢だ。夢であって欲しい。

でもなんであの男の目とお父様の目がかぶるのだろう?いけない、思い出してはダメだ。





#==

ヤンデレ注意⚠️

公爵の前前世は犬のヨンですが、公爵の前世では夏乃「前世」とナツ「今世」の間のもうひとつ生で主人公を監禁していたヤンデレです。ちなみに公爵は全部記憶覚えていて、ナツは覚えていません。

今世の公爵は1000年ほど生きてます。



お読み下さりありがとうございます!

少しでも気に入って下さった方は評価をよろしくお願い致します!

モチベに繋がります。


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