散る蕾

片眼の兎

第1話

まだ蒼い若葉の匂いをさせる細く白い項が幼子から娘へと変わる危うい色を垣間見せそのたおやかさに胸が苦しくなる

濡れたように艶のある黒髪はたっぷりと重く結い上げた黒髪で細い首が折れるのではないかと心配になる

鏡に映る顔は痛々しい程に幼く震える唇にさした紅が其処だけ血を落としたように赤い

眦に塗られた赤は娘の涙の色か

結い上げた黒髪に豪奢に揺れる簪は娘の心と同じく重く不安気に揺れている


この細い首を折ったなら

娘は地獄を見ずに死ねるのだろうか

硬い蕾を乱暴に壊され心は破瓜の血に塗れ花開く前に襤褸雑巾のように使われ娘は壊れて散るのだろうか


生きたまま地獄に放り込まれた娘は悲しい程に儚く美しかった

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散る蕾 片眼の兎 @katameno-usagi

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