第477話 流れるプールダンジョン配信伝説

 なんというタイミングなのか。

 流れるプールがダンジョン化したというニュースが入ったのでした。


 私はツブヤキックスとかに、『【緊急】水着ダンジョン攻略配信・流れるプールをキャッキャウフフしながら攻略しちゃおう』とか流した。

 物凄い勢いで食いつくお前ら。


 なお、ホセとパンチョの映像を隅っこに貼っておく。

 うちのニューカマーだからね!


『誰だこのラテン系!?』『はづきっちが中国でスカウトした濃い人達だよ!』『なんで、はづきっちは変わった配信者とばかり縁があるんだ』


 普通の配信者とも縁があります!


 普通の乗り物では時間が掛かりすぎるということで……。


『わしが行こう。たまには運動せねば……』


 ウェスパース氏が屋上で巨大化したので、私とイノシカチョウとホセ&パンチョがその背中にワイワイと乗り込むのだった。

 うおー、広い! 大きい!


『流石に六人乗せると重いな……。まあいい』


 ウェスパース氏がゆったり羽ばたくと、浮かび上がった。

 彼はそのまま、流れるプール方面への飛翔を開始する。


 速度は電車と同じくらい出てるんじゃないですかね?

 かなり速いはずだけど、あまり実感がない。


 なお、兄と三棋将の方々はスーパーカーで別の現場に向かっております。

 プール型施設が同時多発ダンジョンなんですねえ。

 女性リスナーさんたちの多くはそっちを見るみたい。


 この隙に、イノシカチョウは水着のバーチャライズ準備を終えたようだ。

 もみじちゃんは黄色ベースで、そこに赤い紅葉のイメージがついたワンピース……っぽく見えるけど、実は系統はビキニ。

 かわいい。


「色々小さいので見ごたえがないのでは?」


 いやいや、もみじちゃんのいいところだから、それ。

 もっとどーん自信がある感じで行こう!


 はぎゅうちゃんは、スポーティなビキニで色は黒と紫がかったピンク。


「派手すぎない……?」


 いけるいける!!

 スタイルいいからすごく見栄えするし!


 ぼたんちゃんは牡丹の花柄がついた、清楚なビスチェタイプのビキニ。


「どうかな? はづきちゃん。好みに合わせたつもりだけど……」


 あっはい大好物ですが、なんで近くにくっついてくる……?

 あーっ、近い近い。


 ホセはなんか、情熱的な赤とオレンジベースにリュウゼツランとかギターとかナチョスが描かれた不思議なブーメランパンツ!

 パンチョはなんか、情熱的な赤と黄色ベースに闘牛とかパエリヤとかサッカーボールが描かれた不思議なブーメランパンツ!


 君たちは兄弟か何かかね。


「俺たちは魂の兄弟!」


「¡Perfecto(いいぞそのとおり)!」


 なんか二人で盛り上がってる!

 濃いなあー。


「セニョリータの水着もなかなかいいぜ。口説いちまいそうだ」


「別に口説いても構わんのだがな」


「「ダンジョンじゃなく人間に燃やされちまうからな! jajajajaja(ハハハハハ)!」」


 ラ、ラテン系~!


『わしの背中がこれまで生きてきた中で一番騒がしいのう!』


「女子チームはおしとやかだからねー」


「あら、騒がしくしろと言われたらできるけど?」


「対抗意識燃やすなー」


 イノシカチョウもキャッキャしている。

 うんうん、よきよき。


 こうして私達は流れるプールに到着……。


「おっと、配信開始! お前らこんきらー! いつもの衣装の私です。当然、この下に新作の水着を着ていてですね」


※『こんきらー!』『こんきらー!』『なん……だと……!?』『今年も水着の季節ですなあ』『世界が切羽詰まった状況なのに、水着してくれるの嬉しい』『あっ、勇者パーティも水着で向かってるって!』


「な、なんとぉー!? 凄い数になりそう。あ、流れるプールはあれですね。郊外にある屋内型大規模アトラクションなんですけど、巨大なダンジョン化してて山一つを飲み込むほどの流れるプールが……」


※『大きい大きい大きい!!』『規模がでかいなあ』『ここのボスだったジーヤははぎゅたんとぼた姉で倒してたよな?』『なんでこれほどのダンジョンが……?』


「不思議ですねー。多分魔王が直接手を下してるんだと思うんですけど。じゃあ突撃しますね。とつげ」


「うおおおおお行くぜ兄弟!!」


「試合開始だあああああああ!!」


「あっ!! ラテン兄弟が飛び降りていった! あたしたちも負けてられないよ! おりゃあ!」


「先輩、お先でーす!」


「二人とも待ちなさーい!」


 イノシカチョウも行ったー!


「私より速いとは……」


※たこやき『順調にはづきっちに感化されておる』おこのみ『世界はやがてはづきっちになるってことぉ!?』


 それはなんか恐ろしいなー。

 私はのんびりと、ウェスパース氏に降りてもらったのだった。

 そうしたら、近くにバスが到着する。


 そこから降りてきたのは、既に水着モードのユーシャちゃん。


「ドラゴンが飛んでるなーと思ってたから多分そうだと思ってたけど。やっぱりはづきちゃん!!」


「ユーシャちゃんお久しぶり~!」


 ユーシャちゃんは袖付きバンドゥビキニ。

 なんであちこち金色なんです?


「スポンサーさんがね、勇者っぽいカラーで作ってくれた特注で……」


『この金色からユーシャちゃんのパワーに反応して魔力が飛び出すのです!!』


「おっ! 意思を持つドローンのアフームたんも元気だねー」


※『はづきっちがユーシャちゃんの腰とか肩とかぺたぺた触ってるぞ!』『セクハラやないかw』『ユーシャちゃんもまんざらではないな……』おこのみ『いいぞいいぞ』『ついでのようにアフームたんをなでてるな』


「あっ、私の水着はこうです、こう」


 バーンとノンワイヤータイプの暴食ビキニをお披露目した。


※おこのみ『ウグワーッ!! ふ、不意打ち~!! ありがとうございますありがとうございます!』『センシティブ! ナイスセンシティブ!!』『うお……でっか……』『固定資産税かかるよこれは』『足元見えないでしょ!?』『えっ? 中に住めちゃう』『ママッ! ママーッ!!』『思わずオギャっちまいそうになったぜ……』『おいおいおい……!! しかもベルっちとダブルかよ!』『俺は何を隠そうベルっち推しでな……悪魔っ娘スキスキちゅっちゅっ』


 ワーッとセンシティブ勢が盛り上がる。

 女子も女子で、なんかかわいー、とか、※さといも『ああ~近くに寄ってはすはすしたい』『あんた公式マークついてるのにその発言いいのかw』とか知ってる人が喜んでらっしゃる。


 勇者パーティのみんなも水着かわいいですねえ。

 あれっ、カイワレは全身タイツみたいなの着てるの?

 水吸って重くならない?


 ということで、大変賑やかに勢揃いした私達。

 流れるプールダンジョンに挑むわけです。



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