第468話 ジーヤ発見までのひととき伝説

 魔将さえいなくなれば、この国に残ってる配信者と、対ダンジョン装備の軍隊でなんとかなる。

 これで中国は安泰ですねー。


 暫定政府はこれまでと違って、海外からも協力を受け付けるつもりみたい。

 どんどんと海外の配信者が到着しております。


 頑張って欲しい~。


「せんぱーい」


「もみじちゃん!」


 飛行機に混じって小さいのが着陸してきたなーと思ったら、バングラッドウイングだった。

 上にもみじちゃんとチェンファが乗ってる。


 で、そのまま滑走路を私の方までスーッと滑ってくるバングラッド氏なのだった。

 武人モードに戻ったら、女の子二人を肩に乗せてるスタイルになる。


「うわーっ、いきなり高くなった!」


 チェンファがじたばたする。

 びっくりするよねえ。


 ということで、これにて合流。


 もみじちゃんはチェンファとともに、西部地域の解放を行っていたのだけど、魔将がみんないなくなったから戻ってきたのだ。

 ここから先は、私達本来のお仕事だ。


 そう、大魔将を見つけてやっつけないとね。


「先輩、また新しい仲間が増えたんですか」


「そうそう。カンフーマスターのリーさん。厳密にはカンフーではないらしい」


「カンフーアクションマスターのリー・ダオロンです。よろしく」


「そこ厳密なんですね」


「ええ、カンフーって断言すると怒る勢力が国内にですね……。俺はむしろ海外受けするスタイルだと自負してるんで、はづき小姐に見いだしてもらったこれからが本番だと思ってます。あ、この国の決戦にもお付き合いします!」


「先輩がまた不思議な才能を持つ人をスカウト成功してる……」


 私の周りにはちょっと変わった人が集まる……。

 ということで、もみじちゃんとハイエルフの長老とか、水虎さんとか、仙人の人たちに会わせた。


「先輩がまた不思議な人たちと知り合いになってる……!!」


「それはそうね……」


 向こうからやって来るからね。

 私は来る者は拒まずなのだ。


 ちなみにもみじちゃんは、やっぱり大いにモテていた。


「人間の身であれだけ高度な結界術を使えるとは……! 年月を重ねた天仙に相当するよ!」


「我ら妖怪が力を合わせて作り出す隠れ里のようなものを生み出せるとは……。末恐ろしい人だ」


「味方で良かった」


 最後のハイエルフ長老の言葉に、その場の重鎮たちがうんうん頷くのだった。

 もみじちゃんの評価が高くて私も嬉しい。


 で、私達が空港のロビーで飲茶などを食べているのだけど、その間にみんなが大魔将の行方を探ってくれている。


 地仙のバイシンさん曰く、「この国にたくさんの配信者が来たでしょう。彼らが各地で配信を始めますから、それで大魔将があぶり出されるはずです。三日くらい待ちましょう」


 そういうことになった。

 

「先輩! 飲茶とか点心っておやつじゃないんですか!? なんかどんどんいろいろな餃子や焼売とかが出てくるんですけどー!!」


「いっぱいあって楽しいよねえ」


 こうしてエビ焼売も美味しいし、野菜たっぷりを生地で包んだやつもしみしみで美味しい。

 中国茶も美味しい。


「いいお店ばかり連れて行ってもらうから、どこに行っても美味しい~。この国を取り戻さなくちゃ」


 私は使命感に燃えるのだった。

 だが、本当に三日くらい空いたので、私は福州を練り歩いて配信したりなどするのだった。

 お散歩配信ですね。


 道行く人たちがみんな声を掛けてくる。

 すっかり有名になってしまった……。


※『そりゃあねw』『はづきっちを知らない人の方がもぐりになりつつある』『世界一有名な配信者ではw?』


 そうだったのか!

 通行人の人たち、私の横に展開しているコメント欄を不思議そうに見上げている。

 若い人だと、その場でスマホをポチポチしてコメントを流したりしてるみたいだけど。


 いやあ、この数になるともう目で追うのが大変ですねえ。


 一日目は福州練り歩き配信、二日目は飲茶作ってみた配信、三日目はリーさんからカンフーアクションを教わろう配信をした。


 リーさん曰く。


「はづき小姐の怪鳥音は気が抜けているんですよ」


 後ろで案内人にして現地のお前ら、スーイェンさんがうんうん頷いてる。


「はづき小姐はそこがいいとこでもあるんだけど」


「それはそうだけど、やっぱりカンフーアクションとしてはね。気合の入った怪鳥音を。こう、ホアアアアアア! アタァァァァァァッ!! みたいな」


「うわーっ、どこから声が出てるんですか」


「日々の鍛錬の賜物ですよ」


「その鍛錬は何に役立つんだろう……」


 得意げなリーさんに、訝しげなスーイェンさんなのだった。

 ちなみに、リーさんみたいなスタイルの人は絶滅危惧種らしい。

 今はみんな、サイバーとかアクション系にしても怪鳥音で顔がうるさい感じにならない人の方が全然多いとか。


 リーさん、アチョーとか言った後すごく顔がうるさくなるんだよね!

 余韻に浸ってる感じもする。

 うーん、確かにこれは受けそう……!!


「だが私には無理だあ」


「諦めないでくださいはづき小姐!!」


「いや、はづき小姐にあの顔させるのはダメ! 尊厳破壊すぎる!」


 あっ、リーさんとスーイェンさんが口論を始めた!

 私は彼らの姿を、お茶を飲みながら眺めるのだ。


※『強火カンフーアクション勢と、強火はづきっちお前ら勢の激突かw』『ほんとに面白い人ばかりみつけてくるよな、はづきっちは』『はづきっち、配信だとそんなにたくさん喋るわけでもないし、トークが際立って面白いわけでもないからな……』『うむ、あえて言うなら生き様が面白い』


 な、なんですとー!!

 私が衝撃を受けていましたら。


『はづきさん! 発見されました! 大魔将です!!』


 ついに待望の連絡が飛んでくるのだった。


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