第455話 海路? やっぱり空路?伝説

 期末テストが終わり、もうすぐ夏休みに突入!

 つまり、ここからは今まで積み上げてきた対魔王な計画がノンストップで動き出すということです。


 勇者パーティにせよ、他の計画にせよ、あまり長く続けているとだれて来て、パッと見の登録者数に比べたら、あまり同接がつかなかったりするようになるのね。

 まだまだ序盤のボーナスがある間に決着をつけるのだ!


「ということでですねー、中国を解放したらそこからすぐに魔王に決戦を挑む感じで」


『は、早い……!』


『想定外の速さだ!』


 今はVR空間にて、なんか偉い人たちと会議中。

 私がぶち上げた計画を聞いて、みんなざわついている。


「だってゆっくりやってたらジリ貧でしょう。なので、いけそうな時に全リソースを注ぎ込んでやります」


『むむっ、君ほどの配信者がそう言うなら……』


『話に聞いていたのと全然キャラが違う……!』


『こんな軍略に長けた面があったなんて』


 私もですね、将来とか卒業旅行が掛かっていますので!

 終わらせられるなら速攻で終わらせるのです。


「えっと、なのでこう、皆さんに無茶振りをするんですが、明後日までにこれを準備して下さい……」


『えっ』


『えっ』


『は、速すぎる!』


「よろしくお願いしまーす。多分それ以上時間が掛かると被害がドバーッと拡大するという予感がですね……」


 ということで、偉い人会議終わり!

 私が戻って来たら……。


 はづきが目の前でパチパチ拍手していた。


「さーすがベルっち、物怖じしない~」


 私は元の姿……魔王ベルゼブブに戻った。


『はづきだと緊張しちゃってあれだもんねー。あのRTAを世界全体に強いる計画ははづきの発案だけど。本当にこれ、ギリギリで回るやつでしょ。速度が異常~』


「でしょでしょ。じゃあ戻ってー」


『ほいほい。ゆーはぶこんとろーる』


「はーい、あいはぶこんとろーる!」


 ということで、きら星はづきとベルっちは一つになりました!

 表立っての活動ならベルっちがとにかく強いね!


 あとは、もみじちゃんとバングラッド氏にも情報を共有して、カナンさんは廊下を挟んだ部屋をノックして、お茶がてらお喋りして……。

 完璧なのだ!


「国の方で向こうとの連絡とかやってくれてるのでー。あと飛行機も用意して」


「なるほど、だったら安心だな。私のエルフネットワークでは、世界の情報が集まってきているぞ。例えば……北方にある大国が中国の放棄された北部地域に侵攻したが、彼らの軍事力では魔王のダンジョンに太刀打ちできずに全滅している。文字通り全滅だ。一兵も戻ってこなかったようだ」


「ほへー、こんな緊急事態に領土をかすめ取る感じで! 人間~~」


「この世界の人間も、色々いるのだな……。私が見ていたのは上澄み中の上澄みだったらしい」


 遠い目をするカナンさんなのだった。

 あと、その情報って凄い極秘なやつじゃない?


 ……ま、いっかあ!

 その後、お茶を飲んで過ごしたのでした!


「それではづき、期末テストはどうだったの? この世界ではそれなりに重要なのだろう?」


「毎度毎度サラッと全教科90点台キープで……自己採点だけど」


「いつテスト対策をしているんだ……?」


「仕事の合間に……。あと授業は受けたら忘れないんで……。私は走らなくなると多分永久に立ち止まるので」


「走り続けずにはいられないのね……!」


 そうかも知れない!


 こうして期末テスト結果が貼り出され、はぎゅうちゃんがちょいちょい赤点を取って補習になり。

 うん、彼女をメンバー入りさせなかったのは……正解!


 頑張って勉学を修めて、ついでに日本を守っておいて下さい!

 ぼたんちゃんは、はぎゅうちゃんのサポート。


 で、私ともみじちゃんは終業式後の荷物と制服を家に置いた後、即座に出発するのだった。

 カナンさんも連れて、駅前で迷宮省のお迎えカーと合流!


 そのまま空港に向かいます。

 おっと、頭上を飛翔体が追い越していった。

 バングラッド氏だ。


 そしてやっぱり空港……というか米軍の基地に到着。

 ここから発進するのだ。


「我々がチャイナを救うために飛行することが、かの魔王を打倒するために人類が手を結ばねばならないというメッセージになる」


 基地の偉い人がそう言っている。

 なるほどなあー。


「表向き、形式的なメッセージになるとしても、この絵が世界にどれだけの影響をもたらすか。カリフォルニアを解放した、新世代の自由の女神、ハヅキ! 今回も期待しているよ!」


「あっ、はい、よろしくお願いします」


 私はペコペコしながら握手した。


「オー、謙虚」「ヤマトナデシコ……まだ存在していたのか……」


 色々適当なことを言われてるんですけど!

 あと、腕組みしながら仁王立ちするバングラッド氏はめちゃくちゃ警戒されているのだった。

 遠く巻きに完全武装の兵士の人たちが……!

 魔将その人ですからねえ……。


「先輩は基本、外国の人受けがいいですよねえ」


「そう……? そうかも……?」


「やっぱり創作物でイメージされる大和撫子っぽく見えるからじゃないですかね。緊張して大人しいだけだとしても、言う事は言うじゃないですかー」


「そうかな……。そうかも……」


「それでいざという時はガツーンと動いて、みんなを助けるヒーローになるでしょうー」


「それは大和撫子とはちがくない……?」


 私は一体、どういうキャラだと思われているんだ……!

 あっ、じゃあ基地から飛行機、発進です!



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