渡海!私のお隣奪還編

第454話 大陸のお仲間救出作戦伝説

 いきなり中国との通信が回復したらしくて、迷宮省から直接連絡が来た。


『あちらの党主導者が替わったものと思われますね。現状、国家の北部を放棄、南部に暫定首都を置いている状態のようです』


「凄いことになってた!! ……というかもしかして、強制的に上がすげ替わってしまったのでは」


『こちらもそう予測しています……! 近年稀に見る大被害です。恐らく、人口で言えば三億人以上の』


「あひー」


 すごい話をされてしまった!

 大変じゃないですかー。


 何の情報も出てこないと思ったらそんな事になっていた。


『暫定政府はとても協力的です。というか、面子を重視していたら電撃作戦で国土を侵食され、判断を下す前に首脳陣が全滅した可能性も……。だから、この現状を見ていた方が暫定政府を立てている可能性が高いです』


 昔は貿易でいろいろなものをやり取りしていたから、異常があればすぐ分かったらしい。

 だけど今はダンジョン化で大きなやり取りが難しくなっているし、ダンジョンコアを用いて様々な代用品を作れるようになっている。

 だから通信が途絶すると外の状況が全然分からなくなるのだ!


 多分、魔王の仕業だろうなあ……。

 ヤバい人だなあ。


「じゃあ私はどうすれば……? まさか……」


『はづきさんもうすぐ夏休みですよね。救出作戦に行ってください!』


「や、やっぱりー!!」


 とんでもないことになってしまった。

 世界の主要な国々には、ジーヤの名を持つ強大なデーモンが出現、侵攻を開始してるらしい。

 各国は協力してこれに対抗してる様子です。


 で、孤立してる国なんかは通信途絶して、気がついたら何をやっても全く連絡できない状態になっている。

 これ、あっちが本気になったからこちらが仲違いしてる余裕がなくなった感じじゃないです?


 そんなわけで、イカルガにも連絡が行っていて緊急会議なのです。


 インターネット会議をするよ。

 本社には社員の皆さん、そして兄。


 インターネット側からはそれぞれの配信者。


『幸い、日本は勇者パーティと別働隊がいるため、守りが厚い。むしろ世界で最も安全な場所になっていることだろう。空中ダンジョンへの対策も確立された』


 私の活躍で、ダンジョンコアを用いた装着型ドローンみたいなのが一気に普及したらしい。

 迷宮省が使ってたカラスみたいなやつね。

 やっぱりこれからは、みんな飛べないと!


『故に、中国の現状を押し返すため、イカルガは最高戦力を向かわせることにする。向こうの人口は多い。同接を稼ぐチャンスだぞ』


「本音が出た!」


 ざわつく私たち配信者側!


『はいはい! じゃあ、うちも行きます!! あっちは友達がいるから!』


 もみじちゃんが挙手した!

 あっちにはチェンファちゃんがいるもんね。

 私もメイユーを助けるぞー。


 それから、兄が何人か指名した。


 こうして誕生するイカルガスペシャルチーム。


 私、もみじちゃん、カナンさん、バングラッド氏!

 あれ? 普通にイカルガ上位ランカーだけで構成されてない……?


 やる気を感じる……。


『イギリスとやらも面白かったが、中国とやらも楽しみだな!』


 バングラッド氏、来たるバトルを思い浮かべて今から楽しみそう。

 この人は私との組み合わせで作戦領域が無限に広がるからなあ……。


 そしてもみじちゃんとカナンさんは、イカルガにおける面制圧の専門家。

 不思議パワーと魔法の力でダンジョンを一網打尽だ!


『だが、こちらにも事情がある。具体的には学生は夏休みに入るまでは待ってもらっていいだろう……。現在、各国からの義勇配信者が中国入りし、ダンジョンを攻略している。北部地方のほとんどがダンジョン化しているそうだ』


 これにはみんな、驚きの声を漏らす。

 そりゃあびっくりですよ。

 あの広い国が半分ダンジョンになってしまったとか!


 こうして発令された、中国奪還計画。

 私達は準備をしながら、夏休みの到来を待つのだった。


 その前に期末テストですねえ。


 我が家にイノシカチョウがわいわいとやってきて、テストに挑む。


「うち、絶対に補習にならないようにしなくちゃ!」


「チェンファのためだもんねー」


「私は色々あるから助けに行けないけど、二人には万全の状態で頑張ってもらわないとね」


 ぼたんちゃんも協力的~。

 手伝えないのはお父さんの故郷とか色々問題がありますからねー。


 彼女は向こうだと同接数のバフが受けづらい可能性があるわけだ。

 で、はぎゅうちゃんは……。


「あたしは全然行っても良かったんだけど! でも社長がなー。なぜかあたしに日本に残りなさいって言うんだよなあ。なんでだろうなあ」


「そりゃあ、はづきちゃんがいない状況なんだから力押し要員は貴重になるでしょ」


「あたし、力押し要員!?」


「ええ。瞬間的ならイカルガ最高のパワーを叩き出す猪又はぎゅうは手放せないでしょ」


「女子に言う言葉じゃなくない!? ああ~、また普通の恋愛が遠ざかる~」


 頭を抱えるはぎゅうちゃんだったが、ちゃんとテスト勉強は進んでいるのだった。


「みんなちょいちょいマルチタスクが得意になってるねー。よきよき」


「そりゃね、あたしたちも配信一年以上やってるとね……」


「コメント読みながら配信するもんねー」


「私はもともと得意だったわ」


 ぼたんちゃんは優秀だったもんね!

 そんなわけで、期末テストに突入!


 そして突破!

 私ももみじちゃんも赤点を免れ、夏休みが到来するのだ!


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