年越し私のまったり編

第361話 振り返り、色んなことありましたね伝説

「お前ら、こんきらー! クリスマスの私です」


※『こんきらー』『こんきらー!』『名乗れ名乗れw』『昨日まで感謝祭だったのに、クリスマスイブに配信してくれるとはなんというありがたみ』『はづきっちには頭が上がらない……』


「いやあ、そうなんですけどねー。私はオリ曲発表したり、あちこちのステージに顔出ししたくらいで、なんか流されるままだった気がする。なのに巷では私の歌が日本を救ったとか持ち上げられててですね、解せぬ」


※『本当に不思議そうな顔してて草』『自覚しろw』『はづきっちはもう女神扱いだからな……』


「本当にござるかあ~? ということでですね。今日は昨日の感謝祭の振り返りを雑談配信でですね。ちょっと映像とかはスクショでしか出せないので申し訳ないんですけど」


※『オンラインチケット有料だもんね』たこやき『12/31までアーカイブ視聴可能なオンラインチケット、まだ発売中だぞ!』


「あっ、宣伝ありがとうー」


※おこのみ『現場に行ったのだがコラボメニューにやっつけられてしまった……』『あれは一人で食うものではないw』おこのみ『同志三人と挑んだんだが……』もんじゃ『ああ、あの量はきつかった……』


 リスナーさんの中にも、たくさん会場に行った人がいるなあ。

 宿を取って泊りがけの人も多かったみたい。

 クリスマス近辺だから宿代高かったでしょう。


 それじゃあ配信、やっていきましょー。


「まずはこの一枚なんですけど、ビクトリアと野中さんが並んで歌ってますねー」


※『すごいサプライズだった!!』『ビッキーのトークショーしてたら、なんか客席から招くんだもんな』『アバター被った野中さん出てきた』


 そうそう。

 私の歌の後、ビクトリアのステージだったんだけど。

 まずは彼女が主演しているアニメの主題歌を歌った後、色々お喋りを始めた。


 私とアメリカで会った話とか、日本で今頑張ってる話とか、後はアニメとラノベがどれほど好きで、どれほど読み込んでそろそろラノベデビューもしたいと思ってることとか。

 ビ、ビクトリア、ラノベ書くのか……!!


 そこで、野中さんも参戦してきた。

 ワーッと沸く会場。

 二人の軽妙なトークの後、二人で歌ってるエンディングテーマが流れたので、デュエットしてビクトリアステージ終わり。


 実に濃厚だった。

 一人で……野中さんが来たとは言え、あれだけ会場を盛り上げて見せるビクトリア。

 本当にすごい配信者になったなあ。


 私は裏でチョコバー食べてたよ。


 なぜか野中さんが控室まで当たり前みたいな顔して入ってこようとして、スタッフに止められて「アギャー」とか言ってた。

 サッとやって来たカンナちゃんが、野中さんを回収して別の舞台袖に引っ込んだらしいけど。


 そうそう、カンナちゃん、なうファンタジー所属の配信者なんで、勝手に別のイベント出たらいけないんだよね。

 だから、一瞬だけバーチャライズして野中さんをさらっていった時は、これはこれで会場が盛り上がった。


※『やっぱはづきっちを見に来たんだね』『愛だねー』『てえてえ』


 コメント欄は私と野中さんとカンナちゃんの話で盛り上がっている……。

 そうか、これはてえてえになるのか。


「で、イノシカチョウでしたけど、みんなソロで歌ってましたねー。頑張ってて私は目頭が熱く」


※『はづきっち直属の後輩三人だもんな』『うち二人は今年の春デビューとは思えない貫禄』『もみじちゃんなんかもう第一線だもんなあ。今年の頭にデビューしたばかりなのに』『えっ、もう年の瀬!?』『時間が経つのはやいねえ』


「うんうん、三人のリーダーが今やもみじちゃんだもんね。彼女、コンサートから帰って、実家のパン屋さんでケーキを作る手伝いをしてたそうなんで本当に頑張ってます。体力もすごいので鉄人もみじと私は密かに呼んでいる」


※『鉄人ww』『女子につけるあだなじゃないだろw』


「それで三人が一緒に歌ったのは良かったよねー。イノシカチョウの今年の総決算という感じでした! 三人とも、またどんどん上手くなるから楽しみにしててね」


※『はーい』『はづきっちが普通に進行が上手くなっている』『後輩のアピールまでサラッと……』『さらにできるようになったな』


 場数をめちゃくちゃ踏みましたので……!!

 プライベートの人間関係は全然ですが、仕事だとかなりグイグイ行けるようになった。


「次に、カナンさんとファティマさんのコンビだけど……。ここはカナンさんが寸前まで温泉アピール旅配信してたので練習が間に合わなくて一曲のみ」


※『旅系異種族配信者の第一人者になっちまったな』『日本の名物を日本人じゃない人に紹介されると、なんか嬉しくなるよね』『普通にうちのじいさんばあさんもカナンさんのファンになってるよ』


 カナンさん、新しいファン層を獲得しているなあ。

 あの人だけ旅番組だからな……!


 今後も、月一で旅配信するらしいし。

 その後の二人の歌は、初々しさもあって好評だった。


「ファティマさんがやっぱりエッチだったよねえ」


※『エッチ言うなw』『清楚とセンシティブ一歩手前のぶつかり合いだった』『さらにできるようになったな、イカルガ!』おこのみ『見た。興奮した。はづきっちの歌で涙腺破壊されてたのに、ここでまた盛り上がったら腹の中のものがまた出てきそうになった』


 あの二人の正反対なキャラクターコンビは魅力的だよねえ。

 今度はファティマさんとも旅に出て、二人で温泉に入って欲しい。


 二人とも食レポ上手そうだし!


「三棋将はまあ、さすがでしたねー」


※『イカルガの男性ダンスユニット!』『カモちゃんよく狩衣で踊れるよなw』『かっこよかった!』『バングラッドキレッキレだった』『トリット、羽が邪魔にならないの凄いな』


 イカルガの新星たる三人、なかなか好評の様子。

 女性だけじゃなく、男性ファンもついてるし……。


「ちなみに私の裏で、カモちゃんがリスナー参加型麻雀配信してますねー。カモちゃん自分に符を貼り付けて運を落としてるそうです」


※『イブに麻雀www』『流石すぎる……』


 なお、今配信しているのは私とカモちゃんくらい。

 イノシカチョウは家族と過ごしてるし、ファティマさんは同郷の仲間と集まってるみたい。

 カナンさんはエルフ仲間がパーティを開いてくれると言うのでお呼ばれ。


 トリットさんはマイペースなので、今頃どこかで遊んでるのかも。

 バングラッド氏は……いたいた。

 他の配信者のチャンネルで、当たり前みたいに対戦してる。


 みんなマイペースなのだ!

 あ、ビクトリアは通信でご両親とお喋り中ね。


「じゃあここで配信は終わりで……よいクリスマスを……」


※『おいおいw』『はづきっちの最後の〆があっただろw』『歌い終わったら、ブラックナイトが乱入してきてはづきっちをハグして持ち上げようとしてたな』『そのブラックナイトを逆に持ち上げて振り回すはづきっちの超パワー』


「あひー! あ、あれは公衆の面前でちょっとセンシティブになりそうでしたので!」


 虎になれ、をラストに歌った後、感激してブラックナイトさんが飛び出してきたので、私は彼女をひょいっと持ち上げてステージの隅っこに置いたのだった。

 いやあ、これもどうやら兄の仕込みだったみたいなんだけど。

 びっくりしたなあ。


 ブラックナイトさんも、「私よりもパワフルな女の子初めて。ますます好きになっちゃうわ」とか言ってたし。

 その後、また乱入してきたカンナちゃんと野中さんと、なんかわあわあ言い合ってて、これもまた盛り上がった。


 私のステージなのでは?

 で、まあ、最後は四人でなんかトークをして、グダったところで背後のスクリーンに『イカルガエンターテイメント大感謝祭大成功!』みたいな文字が浮かんで終わったのだった。


 本当に大成功でござるか?


 最後のアレは、兄を問い詰めておこう……。


「そんなわけで、クリスマス配信終わりです! 私はブッシュドノエルを食べるよ……」


『せっかくだから二倍食べよ。二人で』


「いいねいいね」


※『さらっと分身しおったw』『おつきら~』『はづきっちもベルっちもメリークリスマース!』


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