第350話 満腹! 試食会伝説
「あー、師匠がめっちゃ食べるモードに入ったので、あたしが説明とかして行きますね」
おいしっ。
どの料理もおいしっ。
私とベルっちだけ普通に量を出してくれていいんだけど。
「あたしたちイノシカチョウの三人は、これです。もみじのもみじ肉パン、あたしの猪肉串焼き(豚肉)、ぼたんのルーローハン定食。もみじとあたしのは小腹満たしだけど、ぼたんのはガッツリお腹膨れるんで覚悟しておいて。ビクトリア先輩はえっと」
「私はこれよ。ビクトリーバーガー。肉の他にトルティーヤチップスを挟んでアボカドソースを掛けたの。タコスから着想を得たわ」
「本格的ぃ! サイズは小ぶりなんで、安心してくださいね。あたしもさっき食べましたが、ウマーでした」
むむっ、はぎゅうちゃんの解説が上手い。
彼女にこんな才能があったなんて……。
でもよく考えたら、イノシカチョウで一番一般人寄りの人なので、練習すればどんなのでもそつなく出来そうなタイプではある気がする。
なお、猪肉串焼きは甘いタレが掛かっていてこれも美味しい。
「ファティマはどう? あっ、グラブジャムン……!! これは歯が溶けるやつ。虫歯がある人、開催日までに治療して来てくださいねー」
「とーっても甘いですよ。はづきさんを歯が溶けると悶絶させた甘さ、皆さんも体験しに来てくださいね」
※『なにげに一番やばいやつw』『いやあ、イカルガのコラボメニューは多彩だなあ……!!』『国際色が豊か過ぎるw』
「それでカナンさんは? え? うどん!? カナンさんが踏むの? それは人気出そう……」
「私が丹念に取った出汁を使う。精霊の愛子たちよ、渾身の掛けうどんを味わうがいい」
「旅行して回って、すっかり日本文化に馴染んでしまったエルフの人でした。それから男子チームは全員飲み物だから、サクッと楽しめるんじゃないかな? これで全部? メニューは師匠が二種で。合計十二……。十二!?」
「俺が出した」
ここで挙手する兄!
この人、何を作ったんだろう。
※『斑鳩様の料理!?』『予約欄に無かったんだけど!?』
「俺の発表と同時にメニューにアップされる。予約を頼むぞ」
※『絶対予約する!』『食べなきゃ!!』『まさか斑鳩のメニュー食べられるなんて!!』『その日まで死ねない~!!』
コメント欄がえらいことになっているぞ!
この人も本当に人気があるなあ。
「諸君、刮目せよ!! これが俺のスペシャルメニューだ!」
兄が立ち上がり、指をパチンと鳴らした。
この社長、楽しそうすぎる。
運ばれてくるメニュー。
こ、これは……!!
「超真っ赤な紅茶と凄く黄色いチーズケーキだ……。あれ? 紅茶が赤、チーズケーキが黄色……。これ、社長の二丁拳銃をモチーフにしてるんだ!」
※『な、なんだってー!!』『はぎゅうちゃんの解説力がめっちゃ高いんだけどw』『MCうめえw』『盛り上げてくるじゃんw』『なるほど、斑鳩様の拳銃……!!』
謎は全て明らかになった。
そして私は全てのメニューを試食したので満足した。
「美味しかったー」
『色々な味が楽しめるよねー』
「あっ、師匠たちが現場に復帰しました。マイクお返しします?」
「はぎゅうちゃん上手いからお任せするよー。それじゃああとは私たちのメニュー? これファッジです。持ち帰りできるタイプのお菓子で、お手軽にエネルギー補給!」
※『はづきっちのガス欠を救ったという』『イギリスの干しキャラメルみたいなのか!』『甘そう』『はづきっちだから甘じょっぱいんじゃないか?』
鋭いリスナーがいるな……?
塩味をほどよく加えて、塩キャラメル味にしてあるのだ。
水とはづき特製ファッジでミネラル補給ができちゃうぞ。
これはみんなにも好評。
そして、甘いメニューが多いので、兄の紅茶とカモちゃんの日本茶がガンガン消費されている。
リスナーさんたちに、かなり食欲を喚起したのではないだろうか。
コラボフードがバリバリに売れそう。
みんな、大いに食べて欲しいー。
で、最後に私のメインメニュー。
これは普通にスペシャルサイズで出てきた。
みんなで分けて食べよう。
「空海両断ゼリーソーダです」
ドンッと会議机の中心に置かれた大きな器で、一瞬みんな静かになった。
『きら星はづき。これはパーティサイズか?』
バングラッド氏から質問が来た。
「これは数量限定のスペシャルサイズで、基本的に一人用です。2000kcalあります」
私の発言で、どよめくコメント欄。
※『おいおいおいおい、俺等の胃袋死んだわ』『コラボフードの次元を超えているのよw』『やばいでしょこれは……!』『五千円するぞこれw!!』『納得ではある……』『シェア専用じゃんw』
「あ、でも五十人分しか用意できないスペシャルなので……。私直筆のサイン付き色紙と特製コースターがもらえます。ただしお残しは厳禁なので……」
※『命がけで行くしかねえ……!!』『サインとコースターを山分けして、二人でシェアするのが最適解だなこれは』『なんて恐ろしいメニューだ……』
コメント欄がヒリついて来たな……?
「ちなみにコースターは普通のとミニサイズにもついてくるんで安心ですー。こちらに普通サイズのも並べておきます」
※『ゼリーソーダのマトリョーシカなのよw』『はづきっちのコラボメニューを食うのは覚悟がいるな……』『ミニサイズでも370kcalあるの!?』
なお、お味の方は大変美味しいと評判だった。
試食会配信はこうしてオチがついたところで終了。
みんな、当日イベントにはお腹をペコペコにして参加してください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます