第343話 コラボメニュー合体伝説

  さて、準備した材料でお料理をするぞ!!

 となった時。

 私は思い出した……!


 料理の一品は、ルシファーさんがくれたあの甘い乾燥キャラメルみたいなやつにするんだということを!


 ということは、私とベルっちが分担していたこのスイーツはどうするべきなのか。


『はづきが止まった! あ、そっか、一個はファッジだったもんね』


 ネットでお菓子の名前を調べたベルっち。

 ようやく状況を理解したらしい。


「ということは……。私たちは大きく方向転換しないといけない」


 私の決意を込めた宣言に、コメント欄がざわついた。


※『どゆことー……!?』『メニューの方向転換!?』『なんでファッジにそこまでこだわるのw』


「ファッジはガス欠起こした私を救ってくれた特別なお菓子だからですねー。美味しかった……。で、私たちが考えたコラボメニューはですね、これが絵で」


 デザインした時に描いたイラストを見せる。

 ゼリーを割るチョコバーと、ソーダに突き刺さるプレッツェルバー。


※『海と空の大魔将!』『あのスペクタクルがスイーツに!?』『なんちゅう発想だw』『でも、確かにそれじゃあ二つのメニューだもんな』『はづきっちで三種類出したら?』


「一応用意できる枠があるんで……。私は二人分もらったということでですねえ。じゃあここで決を取ります。アンケート機能使いますねー」


 私はサクサクとAフォンに打ち込みをし、お前らにアンケートを表示した。


1・空の大魔将ソーダ

2・海の大魔将ゼリー

3・海のゼリーを断ち、空の綿菓子を貫く


※『3つ目に雄々しい選択肢が来たぞ!!』『これしかないじゃんw』『完成形が想像できない~』


 3に票が集まっていく!

 両方使えないかなーと思って用意してみたんだけど、みんなこういうの好きねー。


 ということで、ソーダとゼリーのいいとこ取りをしてこっちで行きます。

 レモンソーダを器に満たし、青いゼリーを乗せて、これをチョコバーで割る……つもりだったけど、細いとチョコが溶けちゃうことが発覚。

 ここは太いチョコバーにした。


※『結果的にカロリーが増した!』『綿菓子の支えもチョコバーになってる!』『綿菓子は可愛いサイズなのね』『黄色い綿菓子~』


 そう、これで完成です!

 フルーツポンチとかを盛るような器にレモンソーダ、ソーダを覆う青いゼリー(ライム味)、そこを割るチョコバーと、突き刺さって綿菓子を乗っけたチョコバー!


 なお、ソーダを飲むためのストローは別で付いてきます。

 ストローに綿菓子を載せる案も思いついたけど、それじゃあお腹は膨れませんからね……。


 多分、お値段もそれなりにしてしまうと思うけど、そこはこのボリュームに免じて許して欲しい……!


※『映える~』『チケット買えたから絶対予約する!』『楽しみすぎる!』


「ぜひ食べて食べてー! 味は自信作……! 想像した通りの味だから」


※『想像した通りの!!』『いいですねえ……』『見た目は派手だけど中身は堅実w』


 横で早速ベルっちが食べ始めている。


『うん、ゼリーとソーダ。お腹には溜まらないから、そこはチョコバーで許してもらえると』


※『これをヘルシー扱いははづきっちだけなのよw』『カロリーが凄そう』『カロリーと言えばはづきっち、ダイエット進んでる?』


「はあーい、進んでます! めっちゃくちゃ体動かしてます! 足首とかシュッとしてきました。ほらほら」


 私がジャージの裾をまくって見せると、キュッと引き締まった足首が見えた。


※おこのみ『うおおおおおおおおおおありがとうありがとう!!』『センシティィィィィブ!』『だがこれなら健康的!』


 変な喜び方をされた!

 とりあえず、私とベルっちで運動してカロリーを消費し、体を絞って行っているのだが。

 かなり効果的な気がする。


 ちょっときつめだった去年のワンピースが着れるようになったもんね。

 ちょっと胸だけがきついけど。


『うんうん、胸のお肉だけ落ちない。というか、姿勢が良くなって上半身に筋肉が付いた結果、むしろ胸は大きくなったという』


「大胸筋の上に載ってしまった」


※『な、なんだってー!!』『こりゃあとんでもないことですぞ』『確かにはづきっち、去年よりも全体的な肉付きが良くなったと言うか、体格も良くなってるもんな』


「ハードな配信の賜物だったんですが、実はあまりにも力をつけすぎてしまったために、ダンジョン攻略でそこまでカロリーを消費しないことに……。なので、今は配信に加えて運動してカロリーを使ってます!」


 ふんす、と鼻息も荒く腕まくりして、力こぶを作ってみた。

 できた。

 去年はぷにぷにだったのにー。


 ベルっちが、ぷにぷにの下のカチカチを触り、ぶらーんとぶら下がった。


※『片腕でベルっちぶら下げておるw』『女子の膂力じゃないだろw』『この間も配信で300kg上げてたもんな……』『ゴリラに腕相撲で勝ちそう』『多分勝つ』『霊長類最強女子……!』


「そんな大げさな……」


※『大げさでもなんでもないのよw』『ゴリラに大魔将は無理でしょ……』『そっか、この人大魔将倒してるんだよなw』『霊長類どころか地上最強でもおかしくないわw』


「おっと、なんかそんな話をしていたらお時間が来てしまいました。えーと、この空海両断ゼリーソーダがですね」


※『名前ーっw!!』『必殺技かよw』『必殺技だったわ』


「ですねー。こちらは今、イカルガでもこの動画見てて、メニュー見ながらブラッシュアップしていくと思うんで、会場に来た人はぜひ楽しみにしててください! あと、ファッジはお持ち帰り自由なお菓子として今ガーッと生産をですね」


※『今回もはづきっちは生き急いでいる……w』『絶対業務量が半端ないよね、この人』『学校の勉強と両立してるの本当にござるかあ……?』


 本当です!

 こうして配信は終わり。

 空海両断ゼリーソーダには、たくさんの予約が集まったらしい。


 それなりにいいお値段になると思うんで、みんな貯金してもらえると助かります……!!


 そんなところで、ザッコに連絡が……。


『はづきちゃん?』


 受付さん! もしや、兄との三角関係に決着が……。


『はづきちゃんとベルちゃんの二人で、各社横断でフィギュアとプラモになる企画が持ち込まれたから! 明日会社まで来てー!』


「あっはい」


『なんか大変なことになってる』


 ベルっちは他人事みたいに呟くのだった。


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