第342話 コラボメニューを考えよう伝説

 進路相談は一段落。

 というか、イギリスを考えるならルシファーさんだよねーということになり、今はアポを取ってるところ。

 時差もあるし、ルシファーさんはイギリスの復興で忙しいし、手が空いたら話をしてくれると思う。


「さて、じゃあコラボメニューの考案なんですけど」


『ふむふむ』


 この場にいるのは、私、ベルっち、ビクトリア。


「私のは既存の料理のアレンジでいけるけど、リーダーたちのは違うわよね」


『何かオリジナリティが高いのを求められている気がする……』


 ベルっちが遠い目をした。

 私と記憶を完全同機してるから、過去の思い出も全部カバーしてるもんね。


「じゃあ何がいいかな? 昔のアーカイブさらってみて、印象的なエピソードのやる?」


『印象的なエピソードしかなくない?』


「リーダーのダンジョン配信、割とどれもこれも、ネチョネチョのアーカイブだと全編クライマックスシリーズって呼ばれてるわよ」


「な、なんだってー!」


 知ってましたけど。

 濃厚すぎて連続で見ると胸焼けするレベルらしい。


 私は普通に配信をしているつもりだったのだが……?

 個人的には、カンナちゃんを嫉妬の大罪から助け出したやつが印象深いなあ。

 でも、一年前だし。


 最新なら、ちょっと記憶に新しい、海の大魔将と風の大魔将をやっつけたやつにしようかな?


『あ、はづきの考えたこと分かった。大魔将でしょ。あのへんが妥当だよね。あんまりキャラ濃くないから記憶が薄れていってるけど』


 ベルっちのセリフに、ビクトリアが「何言ってるのこの人」って目をした。

 世界規模だと印象的だけど、私個人からすると途中途中のイベントや交流の方が記憶に残ってるんだよね。

 アメリカ遠征とか今でも覚えてるもん。

 カイワレ元気かなー。


「まあいいわ。じゃあリーダー、サクサク決めて行きましょ。実際に作って調整する期間もあるんだから、早いほうがいいわ。リーダーは絵が得意なんだから、二人で描いちゃったら?」


「『なるほどー』」


 それは確かに。

 私はPCで、ベルっちはタブレットでさらさらとお料理イメージの絵を描いた。

 私の担当は海の大魔将。


 描き上がったイラストに、簡単に色を付けてある。


「青いゼリーを、ゴボウに見立てたチョコバーを真ん中に埋めて真っ二つに割るイメージで。東京湾決戦ゼリー! タコさん型ビスケットが大魔将ね」


「ビスケットにもプレッツェルバーの短いのをくっつけるのね。ゴボウが刺さってるイメージ? なるほど……。シンプルだけどわかりやすいわね。ゼリーにチョコバーというカロリーモンスターなのは置いておくとして」


『できたよー。空の大魔将だから、ここはもっとかるーいやつで。イエローキングをイメージした黄色いソーダに、雲っぽい綿菓子をプレッツェルバーにくっつけて刺したやつ』


「ゴボウはチョコバーかプレッツェルなのね……。綿菓子とソーダ! なるほどぉ……。すごい発想だわ」


 ビクトリアが唸りっぱなしだ。

 結局、アイデア一発目でOKが出た。


 どれも、ゴボウで何かを真っ二つにするイメージだもんね。

 じゃあ早速試作してみよう! ということになった。


 今回のコラボメニュー、リスナーさんに見せて試作してもいい? と兄にお伺いを立てたところ。

 ザッコですぐにOKと返ってきた。

 さすがの反応速度!!


 というか、受付さんとファティマさんの三角関係のはずだけど、兄の動きが全く変わらないなー。

 あの人、色恋の重要度が凄く低い人なんではないのか。

 いや、私も人のことは言えませんけど!


『私たちの場合、配信で忙しいからねー』


「そうだねー。あ、そろそろお料理配信始まるよー」


 ということで。


「『こんきらー!』」


※『こんきらー!』『こんきらー!』『今日は最初からはづきっちとベルっちの二人だ!』『最近はどっちかだもんなー』『一応同一人物なんだけどねw』


「えーと今回はですね。イカルガ大感謝祭で出るコラボメニューをですね、試作していこうと思います」


『二人で2つメニューを考えたから、楽しみにしてて!』


※『うおおおおおおお』『楽しみすぎるー!』『食べたーい!!』『人気ですぐ売り切れそう……』


「コラボメニューは予約制なんで、予約しておけば絶対食べられますよー」


※『な、なんだってー!!』『予約予約予約』『これは転売できないな』


 みんながワーッと、イカルガが委託しているチケットサービスに殺到した。

 あっ、サーバーダウンですって!


※ブラックナイト『私なんてこのために日本に行くんだもの。絶対に予約よ!!』いももち『ぜ、全部食べたい! だが年齢から来る胃袋容量の低下が……』カンナ『じゃあわたくしとシェアしましょう。ツイスターで培った絆ですわ』いももち『カンナちゃーん』『コメント欄でビッグな人たちがどんどん発言してるぞ!』『カンナちゃんおるやんw』『カンナちゃんと絡めるいももち……一体何中さとななんだ……』


「みんな落ち着いてー。まだ開催まで1ヶ月半ある」


『うんうん、チケットサービスは他のコンサートやイベントのチケットも販売しているから、落ちちゃったら他の人が迷惑するからね』


※『はぁい』『魔王ベルゼブブが凄く良識的なこと言ってて草』『はづきっちより常識がある……?』『同一人物だからな。はづきっちの光の部分が実体化したんだろう』『魔王なのにぃ?』


 な、なんだとー!

 まあ、私は寛大だからこんなことで怒らないのだ。


「それじゃあですね、これからメニューを作って行くんでですね、瞠目せよお前ら」


※『いきなり威嚇してきたぞw』『はづきっちが強気だな……!』『何を出してくるんだ……』


 みんな興味津々。

 コラボメニューがたくさん売れて欲しいなーと思いつつ、調理開始なのだ。


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