第305話 わちゃわちゃ、イギリス上陸伝説
「なんか普通にヨーロッパ上空がダンジョンになってましたねー。怖いですねー。蹴散らしちゃいましたけど」
※『身も蓋もないんよw』もんじゃ『本当にジェット機はここにダンジョンが発生していたことを知らなかったのか……?』『あっ、ドイツの方のSNSがめっちゃ盛り上がってる! 青空が戻ってきたって』『まーた開幕早々偉業を成し遂げてしまったのか』
機長さんと副機長さんも拍手してる。
遠くにいる管制室も、快哉を叫んでるみたいだ。
海外の人は陽気ですねえ。
「まあ偉業が何かはわからないですが、スパッと晴れてた方が気持ちいいですし、さっきまで寝てたんでちょっと運動をしたい気分だったのでちょうどよかったです! なんだったんでしょうねー、あれ」
※もんじゃ『傲慢がはづきっちを呼んだということは、このルートを飛べば勝手にはづきっちが仕事をしてくれると踏んでいたんだろうな……』『あ、そっか!』『遭遇したデーモン全て殲滅するガールだもんな』『正しい判断だ』『頭いいな傲慢』
みんなでルシファーさんを褒めている。
謎の人気だ。
「リーダー、もうやっつけちゃったの!? ダンジョンに入って何分かしか経ってないじゃない! バングラッドは『きら星はづきに任せておけばいい』とか言ってずっとゲームしてるわよ」
「うんうん、さすがにジャンボジェットで突っ込んだらね。ダンジョンもイチコロだからね。あ、イェーイイェーイ」
機長さんと副機長さんとハイタッチ。
あと、アテンダントの人たちともハイタッチして帰ってきた。
「あなた凄いわ! シスコを救ったって聞いた時は、こんな日本人の女の子が? って半信半疑だったけど、私が間違ってた。ハヅキ! あなた本物のヒーローだわ!!」
「おー、センキューセンキュー!」
アテンダントの人は英語で喋ってるけど、私はリスニングレベルが上がったので、日常的な英会話くらいならできるのだ!
言葉を英語変換するのに必死で、言い淀んだり迷う暇が無い。
サクサク喋れる。
うおお、私、コミュ強みたいではないか。
「でもリーダーの英語の返答は、英語がよく分かってない日本人そのものなのよね。不思議」
「あまり多くを語らなくていいのではないかと思いまして……」
「やはりリーダーはちょっとコミュ力に難ありでは」
日本に来てすっかりコミュ強になったビクトリア。
今だと声優業界の人たちともラジオでお喋りできちゃうもんね……!!
そ、それに引き換え私のコミュ力の成長は……!
「きら星はづき、戻ってきたか! 何を凹んでおる? お主はあれだろう。コミュ力とかいうちゃちなものではなく、存在としての格が向上した! 我が戦った時はまだ人間に片足を突っ込んでおったが、今のお主とは我が全力でやり合っても一矢報いれるかどうかだぞ! 自信を持て! わはははははは!」
※『女子を励ます時に発される言葉ではないw』『この上なく的確だけどなw』『はづきっちはちょっとずれてるのがやっぱ最高なんよ』おこのみ『センシティブもな! 寝起きでちょっと寝癖ついてて薄着のはづきっちがヨーロッパを救った!』
いつも通りな人がいるぞ!!
こうして賑やかにわいわいと騒ぎ、ご飯を出してもらってもりもり食べた。
ははあ、中華ですねこれは。
チャーハンと油淋鶏(ユーリンチー)みたいなのが大変美味しい。
締めに中国茶をいただいた。美味しい。
「イギリスとしては紅茶を飲んでもらいたいのだけど、歴史的経緯からすると、我が国が輸入しようとしていた最初のお茶はこっちだったわけ」
アテンダントさんに色々解説してもらう。
Aフォンが随時翻訳するので、リスナーのお前らにも分かりやすいぞ!
※『ほー』『そうなんだ』『なるほど』『へー』
「ほへー、参考になります」
※『はづきっちが俺らと全く同じ反応返してて笑う』
私もお前らと中身は大体一緒ですからね!
飛行機は欧州を抜けて、ついに海へ。
その向こうにイギリスが待っている。
本来はここまで、空のダンジョンが広がってきていたらしい。
ルシファーさんはこれを迂回しながら日本に来たけど、さすがに避けきれなくなったから私をダンジョンに突っ込ませた……とか?
配信はここで小休止。
トイレ休憩を終えてから、イギリス上陸配信です!
「えー、イギリスが見えてきました。陸です」
※『そりゃあ陸でしょうw』『なんだと思ってるんだw』
「イギリス料理は食べたこと無かったんで楽しみですねー。ルシファーさんはですね、中華とインドが美味しいし、最近は和食のレベルも高いよって言ってました」
※『海外の料理~!!w』
言われてみれば……。
フィッシュ&チップスくらいは食べてみよう。
私はそう決意した。
ロンドンのヒースロー空港に着陸です。
今回は、空港にモンスターが溢れてるなんてことは無かった。
ルシファーさんが頑張ってるそうなんで、イギリスはそこまでやられていないっぽい。
飛行機がドシンと降りて、滑走路をガーッと走った。
タラップ車がやって来て、出入り口にくっつく。
アテンダントの人がなんかうやうやしい感じで私たちを出入り口へ招いて……。
私がヒョコッと顔を出したら、ウオーッ!!と大歓声が上がった。
な、なんだなんだー!?
たくさんのおしゃれな人たちがずらっと並んで私を出迎えている。
で、その先頭には偉い感じのおじいさんと、隣にドヤ顔のルシファーさんだ!
「ロンドンへようこそ、ミス・ハヅキ! 私と君が揃えば、キングダムの安泰は約束されたも同然だ!」
「あ、あひー」
なんかとんでもない状況に、私はか細い悲鳴をあげることしかできないのだった……!!
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