第286話 元長官のアバター作るぞ伝説
大京さんの家でいろいろごちそうになってしまった。
私としては、配信者の心得みたいなのを私なりにお伝えした感じ。
受ける戦い方するのがいいですよ!
大京さんのそのままだとあまりにも身も蓋もないんで!
とか教えたのだ。
そうしたら後ろでビクトリアが、「リーダーに身も蓋もないって言われるのは釈然としないわね……!!」なんて言うのだ。
どうしてだー。
活発な方の奥さんが、「はづきちゃんの戦い方を見てると、嗣也の若い頃を思い出すなあ。現役に戻るんでしょ? うふふ、ときめきが戻ってきちゃう」とか。
スレンダーな方の奥さんが、「今の嗣也さんも素敵だけど、若い頃の彼はまた別の素敵さがありましたもんね。楽しみだなあ」
なんだなんだ。
未だにイチャイチャしているのだろうか……?
そういう設定のアニメとかゲームとかラノベみたいなところだなあここは!
なので、奥さん二人から、大いに大京さんをサポートして欲しいとお願いをされたのだった。
そして帰宅!
「えーということでですね、大京さんのアバターを作っていこうと思います」
※『ヌルっとスタートした!』『最近ずっとヌルヌルだよなw』『すっかりベテランの顔をしてるぞw』『はづきっちがアバター作るの?』
「政治的な圧力とかで、他のデザイナーさんはなかなか自由に動けないみたいなんで」
※『それ言っちゃう!?』『いや、ある意味はづきっちは法からも自由になりつつある人なのだった……』『誰もはづきっちを止められないのに、発言の波及する力は配信者随一だからな』
「まあ私がやれば前例ができるので、有耶無耶になると思います! あっ、他の配信者の人が迷宮省のサポートが切れちゃって苦戦してるんで、逆凸でフォローしながら作業しますね! とりあえずAフォン操作用に蠱毒式神を出してですねー」
ローアングラー式神、アンチと違って割と言うことを聞くので、便利なお手伝いさんとして使っているのだ。
「そうそう。がーっとAフォンでピンチっぽい配信を見つけて、向こうとザッコで繋いでー。そうそう。友達登録してない人だったらツテを使って……。あ、じゃあこっちでは作業していきますね。大京さんはこんな感じの体型で身長が185センチで」
※『ガチムチやん!!』『でけえ!』『背丈だけじゃなく色々でけえ!』
「でもアバターはシュッとした感じにしましょうねー。その方が人気が出ますし。実はBL作品とか読み漁ってキャラデを研究しててですね。こんな感じの……。あ、BLっぽくするとシュッとしてても肩幅は広いままで手は大きくなるんですよー」
※『サラサラ描くじゃん』『色の塊で当たりを取ってその中に線画を載せてくスタイル』『描いてる人ですわこれは』『元長官の輪郭の中にすっぽり収まる細身のアバターじゃんw』『ええんかw!?』
「ええんです。武器はウォーハンマーだそうなんで、こう、探検家っぽい格好をですね……。顔立ちは割と俺様系で」
※『顔がいい……』『これで大京元長官のバリトンボイスで喋ったら夢女子大量発生でしょ……』『今から私同担拒否する』
女性リスナーさんからは好評なようです。
大京さんは本人も足が長いから、ここは全然いじらなくてよい。
「本人より細身ですけど、肉付きは割とこう、細マッチョ的な感じで……。あの女性リスナーさんにアンケートです。露出度はどこまでいけます?」
ここでアワチューブのアンケート機能を使用する。
バリバリ動画やネチョネチョ動画でも同じ感じで……。
1・露出なし。口元も覆って眼光の鋭さをアッピル。
2・肩出し。セクシーな筋肉に覆われた肩から二の腕までをむき出しにしてさり気ないセクシーをアッピル。
3・へそ出し。袖なしジャケットにへそ出しのシャツ。鍛え抜かれた腹筋も拝めるセクシー欲張りパック。
4・ブーメランパンツ一丁。
男性陣がワーッとブーメランパンツに詰めかけた。
わはははは、お前たちはカウントから除外だあ!
そのための囮がブーメランパンツよ。
日本と中国の女性リスナーさんの意見がワーッと割れる。
なるほどなるほど、露出なし、肩出し、へそ出しで意見が割れるな。
「えー、じゃあここは私が頑張ればいいだけなんで、全部実装しましょう。ボタン一つで切り替えられる感じで。年齢的には二十代後半くらいの外見で大人っぽく……。あ、ブーメランパンツは実装しません」
男性リスナーたちから、『そんなー』という声がたくさん届けられた。
ネタで選択肢を決めた人たちに決定権などないのだー。
こうしてサクサクとアバター制作が進んでいく。
当たりを付けてからの作画はザッとこんなもんか。
一時間くらいでざっくりしたデザインが完成した。
これをツブヤキックスに投げて反応を見る。
ちょっとワイルドな探検家ルックだね。
これなら、チャラウェイさんや八咫烏さんとコラボしても大丈夫でしょう。
黒胡椒スパイス『うおーかっこいー!! はづきさんってキャラデザまでできちゃうんですね!!』
あっ、スパイスさんからレスが付いた!
いつの間にか、チャラウェイさんたちともコラボするようになっていたバ美肉配信者だ。
夏休みの終わりには登録者一万人だったのに、もう十万人を超えてるとか。
とんでもない。
世界は逸材を発見してしまったな……。
「そうなんですよー。でも、あくまでアマチュアに毛が生えてくらいで……」
『スパイスもですね、実は自力で受肉した配信者なんでー』
「えーそうなんですか! すごーい、私と一緒だ!」
『あの、今度コラボしませんか? お互いセルフ受肉同士でどこかのダンジョンを攻めません?』
「いいですよー、ぜひぜひ! ザッコのフレンド申請は後で送りますね」
ここまでやり取りしたところで、蠱毒式神が応援が必要な配信者とのフレンド登録が完了したらしい。
よーし、行くぞー!
全国、辻逆凸応援配信の開始なのだ!
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