ちゃんとちんちんの皮を剥いて洗って差し上げていますの。

「かえで~、もみじ~。赤ちゃん来たよー。かずひとちゃんですよー。仲良くしてあげて下さいねー」



みのりん、魂の出前ラーメン喫食出産からしばらく。


おうちに赤ちゃんが初めてのいらっしゃいませとなり、玄関を開けた瞬間に、5歳の女の子2人と1匹がズドドドドと音を立てて走ってきた。



「すごーい。おとう、もっと見せて、見せて!」



「かわいいねー!」



俺が抱っこしている赤ちゃんを双子ちゃんが覗き込んだ。




「早速赤ちゃんをお風呂に入れるぞ!2人とも手伝ってくれ!」



「わかったー」



「きれいなバスタオル持ってくる!」



沐浴用。プラスチック製である赤ちゃん用のバスタブ。そこに温めのお湯を張り、裸にした赤ちゃんをちゃぽちゃぽしながら、柔らかいタオルで顔やおケツなどを拭いてあげる。



俺はパンイチになってその役を担い、その横で同じくパンイチになったかえでともみじが興味津々で見守る。



その後ろの脱衣所で、微笑ましい表情をしたみのりんが赤ちゃん初めてのお風呂をスマホで撮影。



さらにその足元では、一体みんなして何の騒ぎかと、きゃらめるちゃんがうろうろしていた。




沐浴が終わった赤ちゃんをみのりんにパスして、今度はお姉ちゃん達2人をお風呂に入れる。



「お股は自分で洗って下さいねー。お股とおケツは自分で洗って下さーい」





ギャーギャーと大騒ぎしながら3人で体を洗い、大きな浴槽にゆっくりと浸かる。



「2人共わ、赤ちゃんって、どうやら3時間に1回のペースでお母さんからミルクをもらわないといけないらしいねん。だから、みのりんも大変だからパパがいる時はパパに頼って、ママには優しくしてあげてな。後、みんな赤ちゃんに夢中になると、きゃらめるが寂しがって拗ねちゃうから、そっちも構ってあげること」



「わかったー!!」



「じゃあ、もみじも赤ちゃんにおっぱいあげるー」



「もみちゃん、それ5歳の子のボケちゃうんよ。ところで2人は大人になったらやりたいことはある?」



「わたしは野球選手になるー!」



「かえでちゃんはやっぱりそれかー!いっぱいご飯食べて、いっぱいトレーニングして、いっぱい寝るんだよ。人の2倍は最低頑張らないとね」



「おとうも、わたしにバッティングとピッチング教えてね」



「おう!任せろ!もみじちゃんは、何かなりたいものある?」



「ん~、分かんない」



「分かんないはあかんなあ。5歳になったら将来のビジョンみたいなものを持っておかいと。ほら、もみじちゃんはゲームが好きだから、ゲームクリエイターになったら?たくさん面白いゲームを作ってくれ」



「パパが言うならそれにするー」




「さあ、今日からの交流戦は東日本リーグの本拠地ウィークに移りまして、ビクトリーズは宇都宮で、広島カルプスを迎え打ちます。非常にビクトリーズは現在好調で、2位の埼玉とは2ゲーム差というところまで来ています。解説はお馴染み大原さんです」



「1ヶ月前まではね、最下位に近いところにいたんですが、新井が復帰してからは本当にすごいですねえ」



「新井が復帰してからの1ヶ月でビクトリーズは17勝8敗。最大8あった借金が現在は貯金3。さらに交流戦でも首位に立てるチャンスがあるという位置にいます」



「そういった意味でも、週の頭。この初戦はなんとしてでも取りたいですねえ。連城君の出来にかかっていますよ」



いつも絶好調です!完封いけます!と、クラブハウスからうるさい連城君が今日こそは本物なのだろうか。



初回を軽く2つの三振を奪う完璧な立ち上がりを見せた。





カキッ!!




バットのやや先。しかし、三遊間に低い打球を上手く運んだ。初回先頭で並木君が出ると、場内は大歓声に包まれる。




「2番、指名打者………新井!!」



「「ドワアアアアァァァッッー!!」」



打席に入る前にスタンドに向かって、まあまあ落ち着きなさいと、そんな風にして素振りをしてからバッターボックスに入った。




並木君は右ピッチャーのスライダーに上手く反応してレフト前ヒットだった。バットの先だったが、ヒットに出来たのはベルトの高さにボールが来たから。



つまりは甘いボールを打っていったのだ。俺もそういうボールを狙っていく。



そして並木君には足がある、盗塁がある。それを警戒するとなれば、速いボールで入ってくる読みでいける。



真ん中高め。自分でも改めてびっくりするくらいに、バットがスムーズに出た。



スカァンッ!



真っ正面の夕暮れ空に白球が上がる。




「打ったぁ!!センターだ!センター下がる!センター下がる!!新井の打球がなんとスタンドに向かっている!伸びている!!風も押している!!バックスクリーン、入ったか!入っ………フェンスです、フェンス、フェンス!フェンスダイレクト!さあ、並木は俊足だ!!3塁を一気に回る、回る!!


………ボールは返ってきません!!ホームイーン!!タイムリーツーベース!!記録が伸びました!!21!!なんと、21打数連続ヒット!さらにプロ野球記録を更新する1打となりました!あわやセンターバックスクリーンへのホームランかという当たりでした」



「センター以外ならスタンドに入りそうな打球になりましたけど、初球からしっかり合わせていきましたね。本当に調子が良さそうですよ」



ぱーんと放った打球がぐんぐんと伸びていきセンターのフェンスダイレクト。



完全にかずひとパワーですわ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る