記憶

 「俺の夢はな、竜斗」

静留が、呟いた。

「ヴィランやヒーローって分けられずに、familiarの皆が、楽しく過ごせる事なんだ」

照れくさそうに笑う静留。

俺も、つい笑ってしまった。

「静留は、良い子だね」

「?」

静留は、分かっていないのか、キョトンとしていた。

其の顔が間抜け面で、くすっ、となる。

「…俺、お母さんが厳しくてさ」

ヒーローであるお父さんに誇りを持ってて、俺がヴィランって知ったら、多分倒れるだろうなぁ…。

「ずっと、俺…『竜斗』が解らなくて」

静留は、何も言わない。

其れが、心地良かった。

「でもね、静留。静留とDioを組んで、familiarを結成して…其の時、漸く解ったんだ」

俺は、静留の目を見つめた。

「『嗚呼、これが、“竜斗”なんだな』って」

くすくす笑う竜斗。

俺達の間に和やかな時が流れ始めた直後。

―――ザザッ―――

『ヴィランの諸君』

突如、目の前に出現したモニター。

俺達は一気に、戦闘態勢になる。

『君達に最後のチャンスを与えよう』

「……はァ?」

静留は警戒の声を上げた。

『私はヒーロー連合の理事長・連。君達ヴィランを救う者さ』

「俺達、を…?」

『明日、正午に政府…ヒーロー連合に来てくれ給え。来なければ…其の者達を、排除する』

其れは…死刑宣告同然だった。

静留も分かったようで、会議室に幹部、幹部候補生を集めた。


……思えば、アレが原因だったのかも……

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