同窓会

第1話

ジリリリ

電話が鳴る。

今時珍しい、電話の音。

まあ、わかりやすいからいいか

出る（面倒くさい）

「もしもし」

『あのう・・・佐倉真くん？』

「はい、俺ですが・・・」

『おれ、難波義一だけど』

「難波・・・義一・・・」

しばらく考える。

「あっ、高校の時の」

『ああ、そうだ。覚えていてくれたか』

そりゃあな・・・

「で、何のようだ？ご機嫌伺でかけてきたわけではないだろう？」

『ああ。実は今度同窓会をすることになって・・・』

「却下」

電話を切ろうとする。

『みんな、お前に会いたがってるぜ』

「俺は、会いたくない」

『そいうなよ。あの子も来ると思うぜ』

「あの子って？」

『美奈子だよ。本原美奈子』

「本原さん？」

『そうだ。お前の好きだった女の子会いたいだろう』

少し考える。

「待ってろ。訊いてみる」

『誰に？』

「その美奈子に。今、隣にいるから」

『えっ？」

数分後。

「美奈子から。行けないからごめんと」

『ちょつとまて、なぜ隣にいる」

「３年前に結婚したから」

『聞いてない』

「ふたりきりで挙げたからな。おそらく誰も知らないよ」

そう。

俺と美奈子は、３年前に結婚した。

俺は漫画家になるという夢を叶え、彼女は声優になった。

そして、自身の作品がアニメ化され、その主役を彼女が演じる事になった。

そして、今に至る。

「あなた、これから大変だね」

「まあな」

「楽しそうね」

「ネタが増える」

「ポジティブになったね」

「お前のおかげだ」

今は、とても楽しい。