喋らない陰キャ(脳内は独り言まみれ)

「脳内で思考を巡らせるのも良いが、偶には人と話し合うのも良いものだぞ」


 ……たしか、小学生の頃に出会った近所のお姉さんの言葉だ。今は言葉とそのお姉さんがきれいだったことしか覚えてない。だが、推測できることはある。


 まず、この言葉が出てくるということは、彼女は僕の性格を知っている……長い間関わったか、僕が話したか、だ。


 前者なら記憶に残っているはずだが記憶はないので、仮に後者が正しいとする。


 じゃあ何故僕は彼女に自分の考えを話したのかだが、それがわからない。自分の性格は自分がよく知っている。絶対に他人に話すタイプではないことも。


 しかし、記憶に残ってないのならそれぐらいしか……。いや、もあるな。


 まぁ、いずれにせよ今の僕には関係ない。関係あるとしてもこの言葉だけだろう。


 閑話休題。


 確かに人と話してから見聞が広まることもあるだろうが、僕は議論になると白熱してしまうタイプ……故に議論した相手との関係も壊れかねない。


 だからこそひとりで考え込んでいるのだが、一般的なのは話し合いだろう。話し合いでは多くの意見が飛び交い、納得し、反論し、結果を出すときもあれば出さなくてもいい……それが、話し合い。


 話し合いは結果がどうなったかよりも人と関わることで見聞を広めることを目的としている。僕は逆に結果だけを求めようとしてるので性に合わない。


 もちろん結果だけを求めても良いことばかりではないが、自分の中で強い意見を作れると考えると役に立つことも少なくはない(そもそも意見を言う相手がいないが)。


 でもやっぱり人との関わりを断って生きていくことは現代の日本では無理に等しいので、話し合いの方が良いのだろう。


 いや、というより熟考と話し合いは別の行動だ。熟考は『ひとりで考え答えを導き出す』という行動、対して話し合いは『みんなの意見を持ち合い、色々な意見を知る』という行動。



「そもそも比べること自体アホらしかったな」





 ……そんなアホらしいことを考えながら、帰路に着くのであった。

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