~改革の章~
改革の工房 ※
「すいません、ココの実を3つ、いただけますか?」
「おぉライアちゃん、今日も毎度ね!」
今現在、ライアは街の中央通りにて、最近は工房に向かうたびに、ココの実のジュースを買っており、出店の店主も、ライアが来たと、すぐにいつもどうり、ココの実を3つ、用意してくれる。
「ライアちゃんが買いに来てくれるようになってから、“あのかわいこちゃんの通う店”ってんで、毎日盛況だよ!」
「そんなこと無いですよ?この店のジュースが美味しいから人気になるんですよ!…それじゃ、ありがとうございました」
そろそろ工房に向かおうと話を切り上げ、“またよろしくねー”と店主に見送られる。
「この街も4か月かぁ……馴染んだなぁ…」
中央通りから、少し外れ、工房に向かうライアは、独り言ちる。
ライアがこのリールトンの街に来てから、実に4か月の月日が経ち、生活は安定していながらも新しい事に挑戦などして、過ごしていた。
―――ガチャ
「失礼しまーす…!」
「あ、…ライア様、おはようございます」
「あ、ユイさん、おはようございます!中に失礼しますね」
工房に入って、玄関の掃除をしていた小さい女の子、ユイさんに挨拶をしてから、実験室まで向かう事にするライア。
――――トントントン
「…先生、入りますね?」
一応、この部屋に居るであろうリネットに配慮し、扉をノックしてから、実験室に入る。
「うむぅぅん………」
「まぁ、寝てますよね…」
リネットは実験室の床に、丁寧にも布団を敷きながら、その上に色々な道具を散乱させたまま眠っていた。
「せんせーい!朝ですよ!…というか、自分の部屋で寝てください?ユイさんが悲しみますよー?」
「………ん…?ライア…です?……はぁぁぁ……はふ…」
リネットは何ともマイペースに背伸びをしながら目を覚まさせていく。
「いやぁ申し訳ないのです…実験室が片付いているとどうも、そこで寝ながら研究すればいいのでは?と考えてしまってですね…」
「はぁ…私はそんなつもりで片付けたわけではないので、ご自分の部屋で寝られてください?」
そう、実は今は、最初に見た散らかりきった実験室がちゃんと整理整頓、掃除の行き届いた部屋になっていて、そこでリネットは寝ていた。
つまり、ライアはこの4か月で、必要な知識を取得し、≪錬金術≫を確保していた。
その結果で、先に部屋の掃除をするという事になってしまったが、それはしょうがないと、ライアは考えていた。
「まぁ…頑張るです…。それはそうと、ライアは今日もギルドに傷薬の納品ですか?」
「そうですね…あと少しだけ在庫が欲しいという事なので、それを納品したら私も魔道具の研究とかしてみたいので、その時は教えてくださいね?先生?」
元々ライアが≪錬金術≫を取得するという話は、ギルドに傷薬を作って、卸してほしいという話が発端で、その約束通り≪分体≫をフル活用して、傷薬を作って行ったのだが…
(さすがに、1人1本を30分かけて作る傷薬を1週間ちょいで2500本も…さすがに面倒だった…)
傷薬は錬金術で作った瓶で保存するからなのか、賞味期限のようなものはないらしく、多少の劣化はあっても使えないという事はない為、大量の在庫を作らされるハメにはなってしまった。
「ライアが傷薬を大量に作ってくれたから、魔道具研究が出来る状態になったのです。それ位、任せてくれなのです」
「楽しみです…っとそれじゃ私は傷薬作成の方に取り掛かります…≪分体≫」
リネットにそう言ってから、ライアは分身体を“13体”出して、全員に傷薬を作成させる。
ライアの分身体はヤヤ村と受付の6人と冒険者組4人は出したままなので、ライアの≪分体≫レベルが23以上まで、成長している。
「よし…ひとまず、分身体の方はこのまま作らせて…そういや、昨日の冒険者組から≪経験回収≫してからは、ステータス確認してなかったね…疲れてたし…」
そう独り言を言いながら、スカートのポケットに入っているステータスカードを取り出し、確認してみる。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
名前:ライア
年齢:15
レベル:50
種族:人間
クラス:錬金術師
体力:16000/16000
魔力:35000/35000
攻撃力:81
防御力:53
素早さ:100
知識力:111
器用さ:262
スキル
≪分体≫24
≪経験回収≫24
≪家事≫15
≪格闘技≫25
≪潜伏≫19
≪分割思考≫10
≪剣術≫12
≪ステップ≫19
≪農業≫17
≪解体≫9
≪細工≫5
≪変装≫19
≪裁縫≫8
≪自己回復≫8
≪索敵≫16
≪魔力操作≫20
≪変声≫14
≪槍術≫11
≪投擲≫10
≪状態異常耐性≫4
≪礼儀作法≫2
≪錬金術≫6
称号
討伐歴【▽月間】
ゴブリン 【211】
オーク 【56】
ツインハンドベア【0】
オーガ 【47】
ワイバーン 【0】
モーム 【156】
ビックバット 【79】
バイパー 【64】
ゴーレム 【88】
ブラックウルフ 【142】
登録者【▽全表記】
シュリア・アンデルセン
セルス
ミリー
カズオ
ネリヤ
ゼル
ミリアナ
タリス
リネット・リールトン
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
今現在はこのようなステータスになっており、かなり変わった所がある。
クラスの部分が“錬金術師”になっているが、実は、この“クラス”なのだが、ギルドで簡単に変えることが出来る。
クラスの部分と、称号は冒険者ギルドなどにある、魔道具で書き換えや、消去が出来るので、これは≪錬金術≫を取ってから、リネットに「錬金術師に変えておけば、何かあった時に優遇されるから、変えておくのです」と言われ、ギルドで変更させてもらった。
「お?昨日のでレベル50に上がったんだ…それに、≪分体≫も23から24になってる」
ヤヤ村を出る前くらいから、分身体の経験値をフルに集めてもレベル50にはずっと行っていなかったが、ちょうど昨日で溜り切ったらしい。
ちなみに、レベルは上がれば上がるほど、必要になる経験値が多くなっていくので、ほとんどの人が15とかまでしかレベルを上げずに、天寿を全うするらしい。
「…≪分体≫」
「ん?またライアが増えたのですか?…そのうちライアだけで、村が出来そうですね…」
「ハハハ…」
自分しかいない村など、聞きようによってはホラーだが、それも少しだけやってみたいかも?と考えながら、作業を進めていく。
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