18
◇
まさか、あの人嫌いの希輝が自分から協力を申し出るなんて!
衝撃が大きすぎて、希輝の強い視線におされるがまま「うん」と頷くことしか出来なかった。
ふらつく足取りのまま教室に戻り、自分の席へと腰かければ、気づいた友樹が慌ただしく駆けつけてくる。
「昨日に引き続き、なんの用だった?」
「……俺にもよく分からない」
魂がぬけたような表情を友樹に向けて、小さく溜息を吐く。
希輝は噂なんか気にしないと言っていたけど、俺はともかく、相手は歩くだけで噂されるような人物だ。
本人が気にしていなくても、俺は気になって仕方がないんだけど。
「まあ、本人がいいって言ってんだから良いのか……?」
正直、小指に絡まった赤い糸の解き方を、俺一人では見つける自信がなかったから、一緒に探すという言葉にホッとしたのは事実だ。
色々と気がかりなこともあるけど、赤い糸が解けるまでは希輝の言葉に甘えても良いのかもしれない。
「――と言うことで、作戦会議!」
人気がなくなる放課後を狙って集まった空き教室で、右手で天を指せば、希輝の呆れたような視線が返って来た。
「なんでそんなに張り切ってるんだ?」
「だって人嫌いな希輝君が、自ら俺に関わろうとしてくれてるんだぞ? 張り切らない筈がないだろ!」
ニコニコと笑みを向ければ、希輝の視線が横にスッと逸らされた。
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