第5話

自分がどこにいるのか、分からない。ここはどこなのだろう。何も見えない。それもそのはずで、私には視覚がなかった。それでもなお、彼女はそこにいた。そこにいて、笑っている。あるいは泣いている。笑っているからといって、楽しんでいるわけではない。泣いているからといって、悲しんでいるわけではない。すべてはそのようである。窓の外は炎。めらめらと燃え盛って、イソギンチャクみたい。海の底。彼女は沈んでいる。

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