第25話 ルロウとの再会
子供たちが絵本を選び終わると、余りものを台車に積んで片付ける。
一人だったが大したことのない作業だ。
一つ一つ絵本を丁寧に積み上げていると、いつの間にか終わっていた。
「残念だったチュウな」「ロードの宝物は子供にはわからないチ―」「やっぱりその絵本わかりにくいんだチャア」
お気に入りの絵本の表紙を見つめる。
微妙にリアリティを感じる背景、それにミスマッチなスライムというキャラクターの絵柄。
(あまり手に取ろうとは思わせてくれない絵柄なのはわかる……)
「でも、面白いと思うけどな~~そんなによくわからない話だったか……?」
子供の頃に好きだった話が今になるとどう感じるのか気になって、久しぶりにその絵本を読んでみようと手を動かした。
「よう、ロード……」
絵本を開く寸前に、声を掛けられた。
「ん……? ルロウ」
この前、知り合った旅のオオカミが座っていた。
「き、奇遇だな。こんなところで会うなんてよ」
「そうだな。ひょっとしてここはお前の故郷だったりするのか?」
「いや、違う」
「そうか(……怪我はホントに治ったのか)……王国から出てたんだな」
「ああ、旅の続きだ。ここへは噂を聞いて立ち寄ったんだ。竜に襲われた村がどんな風になってるか見ておこうと……あわよくば竜ってのも……そっちは何してんだ?」
「ああ、俺たちは悪い竜に襲われた村の復興の支援をな。まだ、向かわなくちゃいけない場所があるから急いでる。あとはマヤガヒシ街とワカワカ村に行くんだ」
地図を確認してから教える。
「オレが朝見て来たところだな」
「ほんとか? どんな様子だった? 犠牲者とかいなかったか?」
「ああ、ここほど酷くもなかったし犠牲者もいなかったってよ」
「そ、そうか。良かった」
「おお~~犠牲者0チュウ」「よかったチー」「とりあえず一安心だチャア」
「そうだ、ケガ人は?」
「マヤガヒシの街は一応医者がいたはずだ。ワカワカ村は大丈夫だってよ」
「そうか、教えてくれてありがとうルロウ」
「それより聞いたか? 竜の近寄れない山の事……」
「ん? 竜の近寄れない山?」
「あるらしいぜ。被害に会わなかった民たちがそこに集まって避難してるんだとよ」
「そんな話、王国に届いてないぞ」
「まぁ、そのうち届くんじゃねぇか」
「どうして、竜は近寄れないんだ?」
「さぁな、山にいる奴らなら理由がわかるんじゃないか……?」
(その理由がわかれば、悪い竜はストンヒュー王国には来れなくなるのかな……)
「ルロウ、その山どこにあるか知ってるのか?」
「知ってるが、行く気か?」
「ああ、気になる。本当に山に竜が近寄れないのかどうか」
「ロード仕事は……?」「王様に支援活動を頼まれてるチーよ」「山なんか後で良いチャア」
「何言ってるんだ。もし竜が近寄らない方法があるのなら聞いておいた方がいいだろ。ストンヒュー王国だって絶対安全ってわけじゃない、いつ竜が来てもおかしくないんだ。同じことをやれば竜が来る確率も下がる。皆も不安でいるはずだ。少しでも和らげないと……」
ネズミたちはそれ以上止めようとしない。納得してくれたらしい。
「そういうことなら協力しよう案内させてくれ」
「ロード、でも2カ所行くところが残ってるチュウ」「怪我人がいないみたいだからロードは必要ないかもチー」「代表は必要なんじゃないチャア?」
(そうだなぁ~~誰かに代表を変わってもらおう)
「誰が……いいかな」
自分の代わりが務まりそうな人を探し、ある人が目についたのでその人のところに向かう。
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