憂う人
土と手
第1-1話 上村の憂鬱
私、上村悠紀は今一つの悩みを抱えている
それこそがこの「器」である
私の深く狭い友人の中で最も仲の良い友人である渡部一真が出張土産にと渡してきたこの「器」
なぜ私が「器」などという抽象的な捉え方しかしないのか、
それはこの「器」の形状のせいである
この「器」外見は小さめの丼ような外見である
これだけなら私はこの「器」を大きめの茶碗や小さめの丼と呼び使っていただろう
ところがどっこいこの「器」
絶望的なほどに分厚い
先程気になって厚みを確認したところ縁3センチ底5センチと一寸法師以上のびっくりするほどの厚みがあり無論中身もさして入らないので使い所と言えばフィンガーボールとしてぐらいだろうか
我が家は寿司屋でもフレンチレストランでも無いのだ「器」が使える訳もなく我が家の食器棚奥底に眠ると思われた
すると次はこの「器」、なんともまぁ運の悪いこと食器棚に入らないのである
このままでは我が家に乾いたフィンガーボールが常在してしまうことを私は恐れこの「器」をどうにかしようとしている…
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