第14話

 主人公が別荘へと案内してくれるというので、苦笑い浮かべながらも「一緒についていきます」と了承したオーガン。それを反対するウシノノ。だけど、偽兄貴から救ってくれた主人公を強気で追い出すことはできない。シノは大丈夫だと励ましながらクロチアたちはただついていくしかできない。

 一行は村についた。麓を超えれば別荘地がある。そう話しをしていた。主人公は水を汲んでくるといい、離れた。オーガンたちは馬車から積み荷を降ろし、寝床を作る。ウシノノとクロチアは焚火をする枝を探しに出かけシノは、村でおすそ分けしてもらった魚やら野菜やらと調理に図る。

 森のなかでウシノノは本音を漏らした。

「オレ…かっこわるいかな」

「かっこわるくはないよ、ただ無様だけ」

 クロチアは励ましとも取れないことを言う。

「ばか! そこは嘘でもカッコよかったっていえよ!」

「わ! ばか!」

 クロチアの髪をくしゃくしゃと揉む。

「おれさ、オーガンみたいに力持ちでもなければシノの姉貴みたいに器用でもない。クロチアみたいに足が速いわけでもない。おれさ、ここにいる意味ってなんだろうなーって思ってさー。兄貴はなんだかんだといって頭の回転が速くて、おれみたいなバカでもちゃんとわかりやすく教えてくれたりと…おれ…兄貴のことを……気づいてもいなかった。おれ…兄貴のことを……くっううぅう」

 クロチアはウシノノを見つめたまま、「ウシノノは力が強いじゃん。俺らを守ってやってほしいって兄貴がいっていたぜ。俺はウシノノのいいとこはそうやって他人の大切に思ったり悲しんでいられたりできるって思うんだ。ぼくは、悲しみというのがよくわからなくてさ。兄貴がいなくなったいまでも、かなしいとかさびしいとかよくわかんないんだよね」そう言ってクロチアは枝を腕いっぱいに持ち上げ「いこ! シノ姉貴がまってる。そんな顔をしなくても、いつも通りに笑っていれば、みんな笑ってやれるさ」その言葉が励みになったのかウシノノは嬉しそうに「うん」と答えた。

 枝を集め馬車に戻ると、そこにいたのは片腕を失ったオーガンと血まみれにって倒れているシノがいた。

「シノ姉さん!? オーガン兄さん!?」

 クロチアが叫ぶと同時に、ウシノノはその辺にあった石を拾い、思いっきり討伐士の服を着た奴らに襲い掛かった。だが、高齢の男はすかさず素早い動きで石を握っていたウシノノの右腕を切り取った。振り下ろすと同時にからぶり自分の腕を見たウシノノは悲鳴を上げた。

「うわああああ! いたい! いたい”い”!!」

 その場に崩れ泣きさけぶ。

「あれ? 傀儡なのに痛がっているぜ」

 舌を出している男は痛がっているウシノノを見下ろすようにしていった。

「情報によれば、傀儡だと…これはどう見ても人間だ。しかも亜人までいる。情報は嘘だったのかもしれん」

 黒髪のショートヘアの女は内心焦りながら平常心保っていう。

「どうしますか。もし、討伐士が人間を殺したと広まれば…」

 高齢の男は武器をしまいながら黒髪のショートヘアの女に近寄りながら訪ねた。

「功績に響くだろう。…失態は我らの部隊に響く。死人に口なし…傀儡がやったと言い訳して片付ける」

 黒髪のショートヘアの女は止む得ないと、腹をくくりその場で生きているであろうオーガンを殺した。ウシノノを殺そうとするが逃げられてしまう。クロチアも一緒に逃げようとしたが、討伐士は素早い。クロチアは一瞬にして首なし死体となった。

「うわああああ!! 主人公!! 主人公オオオ―――!?」

 首が飛ぶ。ウシノノは主人公に助けを求めるも、その声は風によってかき消されてしまう。最後のあがきとして投げた石は討伐士にはあたらず馬車にあたり、壊れてしまう。だが、壊れた音により主人公を呼び戻すことはできたが、彼らの希望は無残にもここで幕を下ろしてしまうのであった。

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