第3話 回避不能
「授業をはじめます。」
はぁ、大嫌いな国語の授業がはじまった。
あれ。
いやそんなはずは…。
ない!
国語一式忘れた!
きのう宅習で国語ネタを使ったから全部机の上のままだ。
どうしよう…。
動揺をかくせないまま、とりあえずランドセルの中をさぐるフリをする。
教科書だけとかだったらまだ言いやすいが、さすがに一式はいいにくい。
しかも相手はクソまじめで口うるさい国語の植田!
ランドセルをあさりすぎるのもあやしまれるので、いったん手をとめる。
さてどうしたものか。
先生が教室に入ってから教壇に上がるまでのタイミングがいちばん言いやすいがそれももう過ぎてしまった。
「はい今日はP40の文をひとりづつよんでもらいまーす。」
徐々に僕の番がちかづく。
そして僕は意を決して席をたった!
「どうした?森岡。」
「きょ…教…トイレに行ってもいいですか?」
「なんだ、休み時間行ってなかったのか?はやく行って来い!」
クスクスとクラスメイトに笑われながらオレはなぜかトイレに走った。
心臓をばくばくさせながらおしっこをする。
おしっこをするとなぜか自然と涙がこぼれ、緊張がとける同時ににブルッと体がふるえて安堵が心中に広がった。
その時間はずっとトイレにいる僕だった。
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