コミュ症勇者に魔王様が優しすぎる件について

蜂乃巣

プロローグ


「よくぞ、ここまで辿り着いた勇者よ...?」


魔王城の玉座にて、金色の長髪と碧眼を持つ華麗な少女は勇者と呼ばれる一人の少年に戸惑いを込めたお決まりの台詞を投げかける。


「魔王...。この世界のためにお前を倒す...?」


黒髪に翠眼を持つ少年は、精悍な顔付きで魔王と呼ばれる彼女に、こちらもまた戸惑いを込めた言葉を返す。


「いや、待て待て待て。」


「どうした?」


「なぜ、貴様...一人なのだ?」


「なぜか...と聞かれても。逆になぜ一人ではいけない?」


「いや、だって...神託で告げられたのではないか?仲間と共に魔王を討て、と。」


「な...なぜ貴様が神託の事を知っている?!」


そう。この神託というものは限られた者にしか告げられない。謂わゆる極秘事項というものだ...何故彼女が知っているのか。


「いや、今はそんな事どうだっていいだろう?


「いや良くないだろ?」


「もう一度問うぞ。勇者よ...なぜ貴様、一人なのだ?」


「それを聞くか、魔王よ」


少年は眉を顰め、彼女を見据える。


「...」


誰にも言ったことのない。自分だけ...否---唯一両親だけが知っている秘密。

それは、、、


「俺はコミュ症なんだ...」


「は...?」

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