多分NTR系エロゲだと思うので、寝取られないように頑張る

胡椒こしょこしょ

天気雨編

自分が狙われる側ということを、彼はまだ知らない

『えーと、まぁ端的に言えばこちらの手違いで本来死ぬべきでないタイミングでお前は死んだ。これは私の責だ。しかし、一度死んだ人間を再度生き返らせるわけにはいかん。だからこそ帳尻合わせということで別の世界に転生させることにしたのだ。』


これが人の部屋であればその人間の精神状態を心配する程に白く何もない部屋の中。

大きな顔を模した彫像のような物が宙に浮かび、荘厳な声で僕にそうのたまった。

僕はその言葉を聞いて、『へぇ~異世界転生って本当にあったんだ』とか『いや、帳尻合わせとかそんな真面目腐った声で言うなよ』ってことだった。


普通なら、もう一度生を受けられることを喜ぶべきなのかもしれない。

勿論、僕だって別に無神論者というわけでもなければ反出生主義ってわけでもない。

死んだときだって、最後に目にしたのは焼け落ちた建物の天井から見えたのは雲に覆われて星が一つも見えない夜空だった。

あんな、気づいたら自分死んでたみたいなそんなふざけた最期だったんだ。

形はなんであれ、もう一度生かしてもらえるんだったら生きる時間が欲しい。


けれど、僕には一つ懸念があった。

それは顔の....多分神様?っぽいのが言っていた言葉。

これから僕の転生する世界は...所謂ゲームの世界だって。

...そう言われると事情、変わってこないか?


そりゃまぁ....普通に考えればゲームの世界って聞いたらテンション上がるのが普通の反応かもしれない。

けれどまぁ、よくよく考えてみて欲しい。

たまにさ、生きるだけでも苦行みたいな世界観のゲーム...あるよね。

例えば最初から全人類ほとんど死滅してて、もう一度人類再興の為にロボットか何かが頑張るとか、そもそも世界自体がバグってる上に生きてる人間みんな頭おかしくて~とかさ。

世の中娯楽が飽和する程に色んなゲームが出ている分、考えれば考える程ヤバげな世界観なんていくらでも挙げられる。


まぁ、仮に?目の前の神様が良心的っぽくてまともそうだったならきっと普通に幸せに生きられる世界に送ってくれるはずだと自分を安心させることが出来ただろう。

でも目の前にあるのは宙に浮いてる巨大な顔の彫像、話は出来てもこちらの話は聞いてくれそうにない。

そんでもって自分の手違いでぶっ殺しちゃったからその分の帳尻合わせとして転生させると抜かしてるのだ。

...この有様じゃあ良心とかは期待できそうにないだろう。

寧ろ良くて無関心、悪くて暇を持て余した神の遊びっていうかサディスティックな愉悦を味わう為に敢えて悪条件に送ってきそうである。





そんなわけで、ある種の大きな不安を抱えながらも僕は光に包まれて転生した。

あの時、僕が抱いた懸念。

それは今となっては半分当たっていて、半分外れていると言えるだろう。


暗く淀んだ空気の森の中。

目の前に居るのは黒いヘドロで構成されたような巨大な蛇のような何か。

『魔』...なんか一言にそう呼ばれてる存在。

妖怪とか幽霊とか、そこら辺の種類とかは色々あるらしいけど共通して言えるのは人の理とは違う物ということ。

半分当たっているって言ったのは、平たく言えば危険な目に合うかもしれない世界だってことだな。


その黒蛇はとぐろを巻いたまま唸りを上げると、ガァァァといった具合に声を張り上げながらこちらに牙を剥きだして今にも飛び掛からんとしている。

けれど、あの蛇の牙がこちらに届くことはないだろう。


一陣の風が吹く。

その瞬間....蛇の身体に×印を描くかのように光の軌跡が走る。

そして目の前にはそれぞれ左右の手に小刀を持って蛇に背を向けてこちらを向いたまま残心を行う女性。

艶やかな長い黒髪を下ろし、くの一...というには少し露出度が高い服装を身に纏っている。

口元だけを隠すような犬のマズルのような意匠の面を付けていた。


「股噛流刀術...<天罰>。」


彼女がそう小さく呟いた瞬間、背後の巨大な蛇がズタズタに輪切りにされる。

どさどさと重量感のある音と共に砂埃を上げながら落ちていく蛇の切り身。

されどこれで終わりというわけでなく切り身の切り口はうねうねと蠢き、それでどころか筋繊維の一本一本が細かい蛇のような形となって噛みつき結びあって再生しようとしている。

正直、見ていて気持ちの良くない光景だが、まぁ驚きはしない。

蛇の魔っていうのは個体差あれど、大体凄い生命力を持ってることは知ってるし。


「うむ、いよいよ大詰め!御屋形様、わたしの腕前...ご照覧あれ!」


すると上空の方から快活な女性の声が聞こえた。

上を見上げれば、ロングヘア―の女性よりかはくノ一らしいがそれでも少し露出度の高い服装を身にまとった髪を一つ結びにした女性が忍らしく大きな凧に自分を括りつけて空を飛んでいる。

目元だけを隠すように犬耳のような意匠の付いた面を付けている。

先ほどまでの女性の面とつなぎ合わせれば、一つの犬の面が出来上がりそうだな。


彼女は凧で空に浮かびながらも、自由になった手で印を結んだ。


「これが私の...!新・股噛流忍術...火遁<鳳・千・火>!!!」


そう唱えると、数多の花火玉を投げる。

野球ボールくらいの大きさの花火玉は再生しようとしている蛇の切り身へと降り注ぐ。

その瞬間、連鎖的に爆発が起きて爆炎に切り身が包まれた。

....これ、忍術っていうかただの絨毯爆撃なんじゃ......。


砂埃が晴れて、哀れにも灰になった蛇の切り身が露わになる。

それと同時に、絨毯爆撃した彼女は凧から降りてきた。


「シュタ....フッ、決まった....。どうだった御屋形様!?わたし、カッコよかったか!?ニンニンっ!」


「御屋形様...私も、頑張った。褒めて欲しい....。」


彼女達は僕の傍に近づくと、それぞれ目元と口元の面を外す。

そして二人はキラキラとした何かを期待した目で僕を見つめる。

すると、僕の隣で一緒に事の次第を見守っていたくノ一...っていうか最早遊女って言った方が相応しいだろうと思うような格好の妙齢の女性が僕ににこやかに笑みを送った。


「確かに術なりなんなりと色々と不出来で言わなければいけないことはございますが....わたくしが出なくても問題ありませんでしたね。娘たちも御屋形様の力となる為、日々修練している....無論、このわたくしめもでございます。だから、貴方様は何も不安に思うことはないのですよ...御屋形様❤」


半分外れていると言ったのは僕の取り巻く環境のことだ。

少なくとも転生してから僕は、生きるだけでも苦行なんてことは全く感じたことはない。

寧ろ、生前よりも恵まれていると言っても良い程だ。


僕の名前は出雲祀里。

魔の浸食から人の世を守り、均衡を保つことを使命とする『鎮守』。

そんな鎮守の長である、出雲家の当主だ。







「お勤めご苦労様でした、御屋形様。娘たちを見守る姿、若いながらも既に一軍の将としての貫禄を持っておられて流石という他ありませんわ....❤御屋形様の慧眼さえあれば、鎮守は安泰でございますね.....。」


座布団の上で食事を前に胡坐を組む...というか、主たる僕が正座など以ての外などというよく分からない理屈で胡坐を組むこと以外を禁じられているわけだが...そんな僕の前に畳の上に直に正座している妙齢の女性が僕に対して目尻を細めて何故だか嬉しそうな表情のまま歯が浮くような言葉で褒めてくる。


その姿は妖艶の一言に尽きる。

娘たちと比べても並外れた実力を持ったくの一ではあるはずだが、寧ろ遊女と言われた方がしっくり来るように気崩した着物越しからは巨乳...っていうか爆乳としか言いようがない大きさの胸と大きな臀部が激しく主張する。

それでも垂れた目尻に形のいい唇、目元にある泣きボクロ、身体付きやアップにした黒髪が相まって上品な大人の女性の色香を煮詰めたかのような蜜のような甘さと暴力的なまでの母性を感じさせた。


開き直るわけではないが...正直、こんな女の人が目の前に居たらそりゃジロジロと見てしまうのは無理もないんじゃないかと思う....。

開かれた胸元から見える谷間、なっっげぇ~~~もん....。

現状男子高校生くらいの齢である男には色々と目の毒だ。


股噛陽貴。

正直変な苗字だなっとは思うが、これは元々真神家だったけれど彼女たち以外の真神家の人間が魔によって全滅して我が家に取り込まれた際に忠誠の証として一文字足して『真神』から『股噛』になったらしい。

色々旦那さんの事とか思い詰めたんじゃないかと思ったが、どうも陽貴さんと旦那さんは政略結婚で愛がなかったらしくて夫も妾に走っていたから特に家の名前が変わることに思うことはなく、寧ろこの名に今では誇りを抱いているくらいだと。


...まぁ、そこら辺の難しそうな話は僕のお世話係にして現在の鎮守の実務を一身に担っている澪が知っているだろう。

そもそもなくなる予定の真神家が我が家に取り込まれて仕えることになったのもなんか僕の意向らしい。

正直、まっったく覚えていない。

いや、本当....生まれた頃から自意識はあるんだけど意識レベルっていうか思考の明瞭さ?って奴は身体に引っ張られるらしくて。

幼い頃の記憶なんて今では朧げに思い出せるか出せないか程度のレベルでしか残ってない。

だからこそ偶にその時のことを話に出されると凄く困るわけだが。


「いや、僕はただ見ていただけ...ちょっ、...はむ。....見てただけでなんもしてな....むぐっ。」


といっても、僕はただ後ろから二人を見ていただけで何もしていない。

それなのにそこまで持ち上げられても、面映ゆいというかなんていうか....。

そんな気持ちから弁明しようと口を開くと箸でご飯をすっーと差し出されてしまい、放置するのもなんか悪くてつい口に入れてしまう。

自分の左右に目をやると、顔立ちが似ていながらも髪型や雰囲気、服装までもが違う対照的な双子の姉妹が笑顔を見せながら、箸を持って飯をこちらに差し出してくる。


「そんなことないぞっ!御屋形様が見ていてくれるからこそなんだぞっ!はい、あ~ん!」


元気よくこちらに箸を差し出してくるのは股噛結衣。

一つに結んだ黒髪に凜とした目つき、向日葵のように快活な笑みを浮かべる口元。

額当てがあるなど忍びらしさはあるものの、胸元が開いて胸元が見える。

股布はふんどしのようになっており、尾骨辺りにリングがあるらしくそこに股布を通すことで余った布の部分が尻尾のようになっていた。

魔と対峙する時に付けている目元を隠す犬面と合わせると、なんだか犬を模したような忍装束である。


「結戌の言う通り。....私たちの背中を御屋形様が見守っている、手綱を握っていてくれているって思えると力が湧いてくる。だから、わたし達の成果は御屋形様の成果.....そんなことより私は鮭の身をほぐしておいた。私の方が結戌よりも御屋形様の為に工夫した。是非食べて欲しい.....。」


ジ~~ッと僕を見つめながら皿ごと持ってほぐした鮭の身を差し出してくるのは股噛久遠。

下ろした黒く長い髪に表情に乏しく人形のように整った容貌、こちらに投げかけられる切れ長の双眸。

下半身を結衣が身に着けていたようなリングを通すタイプの股布を身に着けているが上半身は陽貴を彷彿とさせるような少し丈の短い着物を羽織り、鎖骨辺りから胸元を隠すように撒かれているサラシからは....あー、聞こえが悪いかもしれないが下乳がまろび出ていた。

双子で上と下、胸の隠れていない部分がちょうど違うんだな....って何とはなしに思ってしまったものだ。

どちらにせよ、魔と対峙する際の口元を隠す犬面と合いまって、犬を模しているような忍装束である。


「なっっ!!自分だけ株を上げるつもりか...!卑怯だぞ狗遠!」


「知らなかった?...忍は汚い。忍びらしさって奴?....いつも言ってる癖にそんなことも知らないの?」


静と動...対照的な雰囲気ながらも似た顔付きの二人の女性が睨み合う。

まぁ、二人は陽貴の娘で双子なのだから似ているのも当たり前なのだが。

僕としては幼い頃から自分に仕えている年上の女性だ。

そして今、そんな大人の女性が僕を挟んで前のめりになって睨み合っている。

そうなれば、必然的に両方から当たってしまうわけで....。


「ちょっ...近っ......」


左右から腕に押し付けられる柔らかい感触。

なんかほんのりと良い匂いするし....。

間に挟まれてドギマギとしていると、目の前に正座している陽貴は二人の娘を見て呆れた顔で溜息を吐いた。


「はぁ....仲が良く、御屋形様と距離が近いのは構わないけれど....今は廻忠の儀の時です。慎み、早くこちらに来なさい。」


「わ、分かりました母上....。」


「分かった母さま。」


二人は陽貴に言われると、おずおずと僕の元を離れて自らの母の横に並んで正座した。

そしてそんなバツが悪そうな顔をしている自分の娘たちに一瞬目を配ると、僕に対して微笑みかけてくる。


「余計な時間を取らせてしまって申し訳ありません御屋形様。早急に儀を始めますわ。」


「い、いや僕は別に.....というか、長いこと仕えてくれてるわけだし、そんないちいちやらなくても....。」


廻忠の儀というのは僕が幼い頃からずっとやっている、出雲家...並びに主人にあたる僕に対して忠誠を再度誓う儀式である。

けれど、....この儀式に僕はいつになっても慣れないのである。

なんていうかこう....見ているとその、親の前で自分が見ているちょいエッチな深夜アニメのCMが流れた時みたいな気恥ずかしいっていうか見てはいけない物を見ているような気持ちになるっていうか。


「いえ....御屋形様が私たちに信を置いてくださるのは偏に恐悦至極なのですが、そう言うわけにもいきません。だって....。」


けれど、僕の言う事に被せるようにして陽貴は断る。

そして口元に笑みを浮かべた。

その笑みはどこか妖艶で、けれどその眼光はどこか鬼気迫っているような感じがした。


「我々『畜生道』は、貴方様の飼う狗なのですから。常に示さなくてはなりません...我々は御屋形様にとっての剣にして、召使にして、....都合の良い胎盤であるということを....❤」


畜生道っていうのはこう...僕も良く分かってないけど多分部隊名的なニュアンスなのだろう。

正直、なんで畜生とかそんな名前にしたのか澪に聞いてみたいものだが.....。

母親のとんでもない爆弾発言。

それを聞いて頬を赤らめる二人。

けれど、彼女達は僕を真っ直ぐに見つめて首を少し上げる。


それは三人...母娘の首に刻まれた出雲家の家紋を模した意匠の首輪のような紋様を見せつけるかのようだった。

死してなおも消える事のない契約術式。


「真神結衣改め、股噛結戌。」


「真神久遠改め、股噛狗遠。」


「真神陽貴改め、股噛孕貴....ここに宣誓致します。」


改めっていうか、ほとんど苗字しか変わってないのだが....。

そんな僕のいつもの戸惑いを他所に彼女達は三つ指つく。

そして宣誓とやらを始める。


「「「貴君の一声で敵を滅し、

貴君の一声で身を削り、

貴君の一声で股を開き、情欲を満たし、

貴君が命ずれば戯れであったとしても胎盤...子宮すらも捧げます。

どうか今日も、御身に媚びる為に恥じらいなく名を捨て、貴君に首輪付けられ手綱を引かれ足元に這いつくばり侍ることを喜び、情けなく御身に頭を垂れて許しを乞う以外の能なき我ら畜生の痴態生き様を笑ってくださいませ.....❤❤」」」


そう言って三人は額を床に擦りつけて、僕に平伏した。

陽貴は耳が紅潮する程度だが、結衣ははぁはぁ....❤と荒い呼吸で肩が震えているし、久遠に至っては何故かお尻が上がってどことなく滑稽な姿になっている。


目の前で平伏する美女三人。

確かに生前よりも今の僕は恵まれていると言える。

今目の前で広がる光景もサディスティックな気質の人物であれば、たまらない光景であろう。

しかし、....この光景は常に僕を不安にさせた。


だって....都合が良すぎないか?

僕は別に特典とか持ってるわけじゃないし、そもそも戦う力を持っているわけでもない。

ただただ出雲家に生まれたら棚ぼた的な感じで物心ついた頃には彼女達が傍に居た。

言うなれば、僕はなーんにもしてないわけである。


流石に、僕もそこまで鈍感ではない。

多分...彼女達に好かれているっぽいのは分かる。

胎盤云々とか媚びるとかそういうのはちょっと...ほら、生前と今含めて童貞でそういう経験ないのでよく分かんないんだけど....。


けれど目の前の女性たちを勝ち取る努力をしたわけでも、好かれる努力をしたわけでもない。

強く成ろうとしたわけでもないし、組織の長としての運営も僕が若いからという理由で今は澪にやってもらっている。

要するに、彼女達はなんかよく分かんないけど忠誠を誓ってくれているわけである。

いや幼い頃になんかあったらしいけど結局僕自身の記憶に残っていないなら同じだろうし、ガキの頃に出来る事なんてたかが知れてるだろう。


こんななんにもしていないのに恵まれてる~なんて状況に、あの『こっちのミスでぶっ殺しちゃったから辻褄合わせに異世界行ってくれやw』みたいなことを一方的に告げる奴が飛ばすか...?という事である。

正直、考えにくくないか?

そうなると色々考えてしまうのが人間の性。

奴はゲームの世界に転生させると言っていた。

僕はこの世界で仮にも17年間生きてきたのだ。

ならば周囲の世界観や目の前の女性たちから得られた情報でおおむね世界観状況を予想できるはず。


そうして考えていくと、とある恐ろしい仮定が成り立つのである。

まず一つ目、この世界には魔という存在が居てそれに対抗する存在は鎮守という...まぁ僕が名目上長である組織が対抗しているわけだ。

そして目の前のくの一。

この時点で多分この世界は和風ファンタジーということが分かる。


そして目の前の彼女達の紋様のように、この世界には契約みたいな物があってそれを結ぶと相手を服従させることが出来るっぽいということ。

それにくの一というには露出度が高すぎる普段の装束。


加えて出てくる魔はなんか触手系も居るわけだし、高位の魔は人間と同等以上の知能を持っているらしい。

そして僕は戦う術を持っているわけでもなく、後ろで彼女達が戦うのを眺めているだけ。

それなのに過度に持ち上げられている。


因果関係もなくて弱くて何かしたわけでもないのに、未亡人とその娘の姉妹二人と既に自分を慕ってくれる人が居る。

これって...要するに奪われる布石じゃないか?

もしかして....この世界ってNTR系のエロゲの世界じゃね?

こう...露出度高い系の強い女が快楽で籠絡されてNTRされる系の和風ファンタジーって感じで。


うん、なんかそんな感じする!

だって俺、動画サイトでそういうエロゲのプレイ映像で抜いたことあるもん!!


そうなると、なんか辻褄が合うしな!

昨今のエロゲではNTRされる男側がプレイヤー側から見れば、こりゃ寝取られてもしょうがないわwって感じのキャラクター像にされることが多い。

戦闘では役に立たなくて、優しいけどなよなよして男らしさがない。

それでいて自分のことを始めから好いてくれている女の子たちに甘えていたり、やれやれ....みたいな態度を取っている感じ。

そしてチンコが小さい....これはまぁ僕のは結構前よりも大きいんじゃないかなとは思うが、比較対象が必然的に魔になるだろうから、馬の化け物とかだったら勝負にならんだろう。


こう...そりゃそんな優しいだけのなよなよしている男なんかよりも極限状態だったら男らしくて自分を負かすくらいの強さ、もしくは狡猾さがあってエッチが上手くて気持ちいいオスが居るならそっち行くっしょ!今まで女に甘えてたツケなんだわwwwって感じのキャラクター造形がされがちだ。


...それってさ、今の僕と何が違う?

生まれた頃からなんかそういう魔と戦う組織の長で。

なんにもしていないのに、若とか御屋形様って呼ばれていて綺麗な女の人が僕に忠誠誓っていて。

それでいて僕は強くもなければ何か出来るというわけでもない。


...こんなの奪われるに決まってるじゃん。

これ絶対あれでしょ!魔に捕まって最初は絶対負けたりしない!って言うけど結局堕ちる奴じゃん。

なんか魔の強い奴とかに今こうしてやっているみたいな感じの全裸土下座とかして忠誠誓ってさ。

首元の出雲家の家紋象った感じの紋様は上書きされてなんかエッチなマークに変えられてさ。

そんでこう....帰ってこないな~ってなってる僕の元にビデオレターが届くって感じでしょ。


うぉ...えぐいな。

そりゃ僕は別にグロじゃなければなんでもイケる口だからNTRで抜いたことだってある。

けれど当事者になるのかもしれないとなると、そりゃ心穏やかではいられないよね。


別に、僕は彼女達と寝たわけではないので厳密にはNTRではないのかもしれない。

けれどこうして好いていて忠誠まで誓ってくれている、幼い頃から親しみ深いお姉さん達が魔に好き放題やられて一転僕に敵対するようになってビデオレターで中指立てながら僕の罵倒とかしてきたら僕は耐えきれるのだろうか....?

いーや、絶対耐えられないね!

普通に悲しいわ!あと普通にこの強さした戦力3人敵になるとか考えたくないわ!!


だとすればどうするか。

魔と対峙するのを辞めるかっていうのは現実的ではない。

これは鎮守の使命であって、僕の一存でどうにか出来る問題でもないだろう。


どんな場合でも、周りを変えるのは難しい。

それは今の世界でも、生前でも変わらない。

だったらどうするか....その答えは一つしかない。


自分が、変わるしかないんだ。


僕がある程度、誇れるような...ていうかなんか出来ることがあればそういう寝取られてもしょうがない寝取られ男の特徴から抜け出すことが出来るんじゃないだろうか。

僕には畜生道...っていうか股噛家の彼女達のような身体能力はない。

そして、組織を動かすには経験以前に年齢が足りなくて携わらせてもらえない実質的な置物状態。

だったら出来ることと言ったら後方支援だけだ。


幸い、僕は鎮守の長。

そして世話係だった澪は陰陽道っていうのが使えるらしい。

つまりは魔法職?的なサムシングだろう。

それなら僕に才能があるかは分からないが、身体能力が問われる物よりもとっつきやすい。


もう既に澪にこの前教えを乞うて、色々指導してもらっている真っ最中だ。

陰陽道を覚えて後方支援出来るようになれば、僕も彼女達に貢献することが出来る。

ただ後ろで木偶の棒みたいに見ているだけの日々は終わるってワケだ!


仲良かった人に嫌われるのはやっぱりキツイ。

だからこそ....これが転生して最初の頑張り時って奴だな。

そう考えると、なんだかやる気が湧いてくる!

よーし、どこまで自分がやれるか分からないけど...頑張るぞっ!






こうして平伏する股噛家の女性たちを前に内心意気込む少年、出雲祀里。

されど、彼は知らない。


この世界はネット上で主人公がネット民に「赤ちゃん」と呼ばれる程に甘やかされるし、寧ろ寝取られるどころか敵キャラの女が主人公の貞操狙って仲間キャラとしてガチャに出たりするような優しい世界()のスマホゲーであるということ。


読みが同じで気づいていないが、結戌や狗遠、孕貴然り本来の名前をもじる形で読みが同じ卑しい漢字に置き換わった名前が彼女達の名前であり、苗字の股噛には真神の名に一文字足すことで犬が自分の股を舐めたり噛んだりする様に当てはめた意味合いがあり、彼女達が契約しているのは出雲家ではなく彼個人であるということ。


そして目の前の彼女たちは彼が幼い頃に、自分たち以外の家の人間が全滅して行き場のなくなった自分達を家に引き入れてくれた一回り年下の男の子にみっともなく一家同時に屈服ガチ惚れ初恋キメたこと。


鎮守の澪を始めとする上層部が本来受け入れるはずのなかった彼らに対して提示した全ての権利を主である出雲祀里に献上して家名もこれからは子孫に至るまで主に名誉も誇りも貞操も捧げて都合の良い走狗であるということを示す股噛に変えるという条件すらもガチ恋した男の子の傍に居る為だけに受け入れて、本来の名前をあっさり捨てて卑しい名前を自分から受け入れた筋金入りのガチ恋マゾ雌ワンワン母娘であるということ。



そんなただでさえガチ惚れ屈服してる初恋マゾ雌ワンちゃんを前に、自分達の役に立ちたいから頑張っているなんて知られたら一体どうなってしまうのか。


敵キャラの女が主人公の貞操狙って仲間キャラとしてガチャに出たりするようなスマホゲー世界観で、本当は狙われるのは自分なのに寝取られる側だと思って無防備で居るとどうなってしまうのかを。


彼はまだ知る由もなかった....。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る