オープニング

令和5年5月5日。富山県砺波市、外気温24℃

となみチューリップフェア2023からシャトルバスで帰り、イオンモールとなみでお土産を買い増ししてから富山駅方面へ移動中

(車に積むとはいえ、30㎏のコシヒカリと大量のおいしい水を買っていたのはどうかしてるとは思ったが)


「あっちぃなあ。」

「んなら、そのコート脱げや。」

「薄手のコートは直射日光を防ぎ、通気性の良い服装は気温の高い場所では逆にすごしやすい。」

「※1 どっかのマンガで聞いたような……」


不穏な音が鳴る。

緊急地震速報です。石川県で地震が起きました。

スマホにメッセージが流れる前に減速、ハザード焚いて路肩へ…間に合わない!

揺れ!!!!!

少し遅れて衝撃。


---目が覚めたら、すっかり暗くなっていた。いつの間にか後部座席にいて、兄の自慢のコートがかけられていた。とりあえず生きているらしい。

時間を見ようとスマホを取り出すとストラップに着けていたはずのとなみチューリップフェアで買ったナザール・ボンジュウ(トルコ周辺地域で見られる目玉の形をした魔除けのお守り)が粉々に砕け散っていた。


「ごん、お前だったのか。」

一人上手をやっていると外で焚き火をしていた兄が気が付いたらしい。

心配そうに覗き込み、安心した後でこう言い放った。


「簡潔に説明しよう、ここは異世界だ。」


え、なんで?


本編に続く

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