破局前提のカップル

タケバタケ

0話目

「好きです、付き合ってください!」


梅川夕也は春休み告白をした。

高嶺の花とわかっているけど一か八かで学校のマドンナ桜宮麗奈に。

桜宮麗奈は勉強も運動もできて、その容姿と明るい性格で皆に好かれている。

彼女との関係は一年生の時にクラスメイトでそれなりに話す程度だった。けど過ごしていくうちに気になった。この気持ちは好きだと多分思う。

だから高校生で彼女が欲しかった俺は進級前の春休み玉砕覚悟で告白した。

俺は緊張しながら返事を待っていると


「良いよ、付き合っても」


驚いた、まさか付き合って貰えると思っていなかったから。けど理由はなんだ。


「ありがとう桜宮!・・・けど本当に良いのか?」


「うん、良いよ。私、恋愛してみたかったから梅川君なら知っているからね」


そんな軽い気持ちで?嬉しいけど嬉しくない、そんな気持ちで付き合っても良いのか?


「けど私たち長く続かないと思うの。期限付きでこの関係について改めて相談しよう。嫌になったら別れる、最高で一年後この関係について話し合おうね」


「ああ、わかった。俺も同じ考えだった」


やっぱりそうだ、向こうもわかっているこの関係が長く続くわけがないと。

そして俺のこの気持ちも薄いと。

好きになったのは桜宮が美人だから?それとも皆に優しいから?そんな軽い気持ちで告白したと桜宮もわかっているはずだ。

だけど桜宮はチャンスをくれたんだ、だから大切にしよう。


「じゃあ、これからよろしくね、梅川君」


「こちらこそ、よろしく桜宮」


そう返すと


「私たちって変だね、付き合う前からこの関係が長く続かないと思っているんだもん」


確かに変だ、初めからそんなこと思っているカップルなんて珍しいな。


「そうだな、それなのに付き合うもんな」


「だね、私たちって本当に好きって気持ちはないのに付き合っちゃうよね。う~んそれなら・・・梅川君、私を惚れさせてみてよ」


桜宮のお願いは難しいと思うけど、


「・・・ああ、わかった全力で頑張るよ。俺はこの関係が終わっても良い思い出だったと後悔させないつもりだから」


これだけは叶えたい。チャンスをくれた桜宮の為にも。


「えへへ、よろしくね。すごくカップルぽいね」


笑いながら桜宮は言う。


「当たり前だろ、一応カップルになったからな」


俺は世間一般的にはカップルだと思いたい。短い関係で薄い気持ちだとしても


「私たちの関係って何て言うかな?」


「それは簡単だよ」


「うん、そうだね」


「「破局前提のカップル!」」


俺たちは笑い合う、短い期間かもしれないけど最高の思い出にしよう!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

破局前提のカップル タケバタケ @kimako07

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ